5月8日(木)
2月4日に酒をやめた。
酒をやめたと言うと、みんな理由を知りたがるが特に理由はない。強いてあげるなら厄年が無事にすんだのでその記念にといったところだ。
そして酒をやめて三ヶ月が過ぎて、私は恐ろしいことに気づいた。
それはこの三ヶ月間一度足りとも酒を飲みたいと思わなかったことではなく、酒を飲もうが飲むまいが自分の飲み会での振る舞いがまったく変わらないということだ。
酒をやめたからといって付き合いをやめたわけではない。飲み会に誘われれば、顔を出している。あるいはじっくり話をしたいときは下戸になった私が誘うこともある。
そこでは乾杯のビールも口にせず、ウーロン茶をチェイサーにジンジャーエールを飲んでいるのだが、最初は私が酒を頼まないことに戸惑いを覚える相手もあっという間に私が酒を飲んでいないことを忘れ、あろうことか私があまりに大騒ぎしているものだから、そんなに飲んで大丈夫?と背中をさすってきたりするほどだ。
私の体内には一切のアルコールが入っていないのだから、私は酔っているわけではない。しかし以前酒を飲んでいた時と変わらず、基本的には陽気に、そしてときには暑苦しく語るわけであるけれど、それをかつては酔っぱらったせいと考えていたのだが、どうやらそうではないらしい。私の素の状態なのだった。
ということは酔っぱらうというのはどういうことなのだろうか。
おそらく酔っぱらうということは相当気持ちのいいことなのだ。だからみんなあんなに毎日酒を飲んでいるのだろう。
私はこれまで一度も酔っぱらったことがないのかもしれない。
あるいはもしかすると私は体内でアルコールを作りだす特異体質で、常に酔っぱらっているのだろうか。