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5月15日(木)

 高野秀行さん、そして編集発行人の浜本とともに10時24分東京駅発あさま515号の人となり、一路、第3回梅棹忠夫・山と探検文学賞授賞式に行われる長野へ向かう。ところがブックデザインを担当したカネコッチも同乗してくるはずが、その姿をいくら探しても見つからないまま新幹線は無常にも走りだしてしまった。

「どうしたんだろう?」
「あいつ忙しいから徹夜で寝坊しちゃったんじゃないの」
「まあ一本後の新幹線でも式には間に合うから」

 連絡もないなか心配していると次なる停車駅上野からひょこひょこと乗ってくるではないか。

「おれ、上野のほうが近いから」

 そういって鞄からパソコンを取り出すと私たちの心配はどこ吹く風と、本のデザインを始めるのであった。

 11時50分、長野着。
 三人は「やっと着いた」という感じで駅から見える山並みに声を上げているが、私は「戻ってきた」気分である。

 なぜならちょうど一年前、私は『謎の独立国家ソマリランド』のヒットと何かしらの賞を受賞できるよう善光寺へお参りに来ていたのだ。まさに満願成就。

 長野といえば平安堂書店さん。その上のホールで授賞式は行われた。長野県知事を始め、梅棹忠夫氏を尊敬し山と探検を愛する人たちに囲まれ、その中心には受賞者である高野秀行さんと『謎の独立国家ソマリランド』があった。万歳!

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