12月26日(金)
仕事納め。
といってもパソコンやら資料やらすべて持ち帰り、年末年始も家で仕事をするのだから、要するに出社しないだけ。会社納め、と言ったところか。
夕方、どうにか持ち帰れるところまで仕事を片付け、コンビニにビールと乾き物を買いに走り、助っ人アルバイトとともに納会。
毎年年末になると野球の選手に例えたらどれくらいの成績か自己査定するようにしているのだが、今年は打率.263、ホームラン5本、打点13といったところ。しかも前半戦は、前年の『謎の独立国家ソマリランド』による好結果(打率.325、ホームラン32本、打点89)から来た燃え尽き症候群でほとんど試合に出場できずにいたわけで、もしプロ野球選手のような年俸制だったら良くて現状維持、代理人の交渉がうまくいかなければ大幅ダウンの可能性もあったことだろう。
去年の今頃、私はどれだけ気持ちを奮い立たそうとしてもまったく燃えるものがなく、ただ惰性で仕事をしていた。そして惰性で仕事をすることがイヤになり、もう出版業から離れようとも考えていた。
そんなとき書店員さんとして、というよりはひとりの人間として最も尊敬するNさんが定年退職することになった。私は思わず最終出社日に飲みに行く約束を取り付け、横浜へ向かった。そして花束を抱えたNさんとふたり、焼き鳥屋のカウンターでポツポツと話した。いや聞いておかなければならないことをひとつも聞き漏らすまいと必死になって伺った。するとNさんの口からこんな言葉が飛び出した。
「(燃え尽きちゃったときは)休めばいいんだよ。すっかり休んだらまたやりたくなるから」
長い時間、本当に長い時間、働いてきたNさんの言葉は、私の心にすっと入り、すとんと収まった。サラリーマンだから実際に休むわけにはいかないけれど、気持ちを無理矢理奮い立たせるのではなく、熾火を熾火としたまま放置し、またそこに薪がくべられる日を待てばいいということか。
それから一年、私は今、また火がじんわりと燃え始めるのを感じている。もう一度、本や雑誌と、なによりも「本の雑誌」と真剣に向き合える気持ちになり始めている。
テーブルに並んだ缶ビールが空になったので「よいお年を」といって会社を出る。神田明神にお参りし、上野駅まで歩いて帰った。
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2014年も大変お世話になりました。
来年もよろしくお願いします。
ありがとうございました。