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4月28日(火)

 京浜東北線、南浦和始発。一車両80人くらい乗車のうち本を読んでるのは私を含め3人。新聞は2人、スマホは50人くらい。私の前の7人がけの座席は、着席すると同時に全員がスマホを取り出した。電車のなかだけでなく、ホームで次の始発電車を待つ人もほとんどスマホを手にしている。ほんの十数年前、通勤電車の風景はスポーツ新聞とマンガ雑誌だったような気がする。そのふたつはすでにほとんど見かけない。

★   ★   ★

 旗の台。久しぶりに訪問した書店さんにシャッターが降りている。シャッターには小さな紙が貼られていた。

「4月23日をもちまして閉店させていただきます。
 長い間ご来店いただき、ありがとうございました」

4月25日(土)

  • Slow Turning
  • 『Slow Turning』
    Hiatt, John
    A&M
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 来週はゴールデンウィークだし、いろいろデスクワーク溜まっているし、16時にはランチョンで内澤旬子さんの「着せ替えの手帖」取材立ち会いだしと休日出勤したものの、神保町まで来て休日に仕事するなんていうことができるわけがなく、気づけば会社を飛び出し、あちこちの古本屋と新刊書店で本を買い込んでる。ジャニス2号店ではジョン・ハイアットの「Slow Turning」(650円)を発見し、レジに持っていくとなんとゴールデンウィーク・セールで全品200円引きというではないか。あわてて、もう一度棚を徘徊し、買い漁る。

 16時、ランチョン。予約しておいたからよかったものの、まさかの満席。こんな中途半端な時間なのに各テーブル宴もたけなわ。日本もまだまだ捨てたもんじゃない。ただしレコーダーで声が拾えるか心配。ポテト&チョリソー、自慢メンチカツ、チキン唐揚げ、サラダ、ニシンのマリネ、生ビール、ジンジャーエール。19時終了。

 帰路、関根貴大(レッズサポでなくても見に来たほうがいいレベルの選手)のゴールで、我が浦和レッズが勝利したことを知る。最愛の関根くんは、どうやら私がスタジアムに行けない時にかぎって、ゴールを決めるらしい。泣ける。

4月22日(水)

 春になっても新入社員が入らない。
 春といえば新入社員であり、お正月といえばおせち料理であり、クリスマスといえばブッシュ・ド・ノエルなのだが、本の雑誌社はどうやらキッチンの都合で新入社員は採らないらしい。まもなく「本の雑誌」は創刊40周年を迎えるが、ミリオンセラーと新入社員は一度だって経験したことがない。

 嘆いていても仕方ないので、自分が新入社員になることにした。
 この会社に中途採用で入社して18年。18年前、前任者との三日間の引き継ぎで教わったことのうちすでにやっていないことがたくさんある。大切な仕事だからと教わったもののうち半分以上はやっていない。なぜならそれらはほとんどやりたくないことだからだ。

 ホモ・サピエンスの最も大きな特徴のひとつは、上司というものが存在しない場合、やりたくないことはやらなくなるということだ。18年間、野放しの私はその特徴を遺憾なく発揮し、やりたくないことから目をそらし、ときにはそらすどころか目をつぶり、目をつぶったまま山手線を2周する。そのおかげで私は、18年間、ほとんど無遅刻無欠勤無残業と大変健康に暮らしている。

 不思議なことにやりたくないことをやらなくても仕事は減らない。いや私がサラリーマンになってから仕事が減ったことは一度もない。いつだって増えていく一方なのだ。おそらくこれは人口減少社会に起因する現象だと思うが、仕事は日々増えていく。恐ろしいくらい増殖していく。だから私はやりたくないことをやっていない罪悪感を覚えずに暮らしていけるのだ。

 さて新入社員である。
 新入社員はやりたくないことをやらなければならない。いや、みんながやりたくないであろうことを率先してやらなければならない。そうしてみんなに認められたとき、初めて「宮里、これ、やっておけよな」と後輩に言えるようになるのである。ただし本の雑誌社は新入社員が入らないので後輩というものが存在しない。

 というわけで、私は今日から新入社員である。やりたくないこともやる。

4月17日(金)

  • 遠く空は晴れても (角川文庫―約束の街)
  • 『遠く空は晴れても (角川文庫―約束の街)』
    北方 謙三
    角川書店
    500円(税込)
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  • されど時は過ぎ行く 約束の街 (8) (角川文庫)
  • 『されど時は過ぎ行く 約束の街 (8) (角川文庫)』
    北方 謙三
    KADOKAWA/角川書店
    704円(税込)
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 通勤読書は、『雑誌記者』池島信平(中公文庫)を読んで、何かしら菊池寛の評伝を読みたくなっている気持ちを抑え、当初の予定通り北方謙三の<約束の街>シリーズ第1巻『遠く空は晴れても』(角川文庫)。おそらく私の読書ペースでは、これで8巻目『されど時は過ぎ行く』の文庫化(25日)にピッタリのはず。

 午後、『本で床は抜けるのか』の増刷(3刷)が上がってきたので、他の注文品とともに津田沼のM書店さんへ直納。その後、沿線を営業し、夜、川崎へ。書店員さんと食事。

 3時間、ずっと、本の話。どうしたら本が売れるのか、どうしたらお店はよくなるのか、面白かった本のこと、これから出る本のこと。書店員さんと飲むときは、いつもそう。他のことを考えてないのかってくらい本の話ばかり。仕事なのにもう仕事じゃない感じ。いやここまでして初めて仕事なのかも。そしていつも帰りの電車で一人になった時、自分自身が問われるのだ。「あなたはここまで本のこと思ってる?」って。

 そういえば、本屋大賞の中締めの挨拶で、実行委員のTさんは自分のそんな本ことばかり考えている人生について話をしたんだった。

「本屋大賞も含めて毎日どうしてこんなに本のことを考え、暮らしているのか。その時間を婚活とか資格試験をとるとかに使ったらきっともっと違う人生を歩けていたと思う。なんでだろうと思ったんだけど、私は本に恩返しをしているんですよね。子供の頃、本を好きになって、それからずっと、悲しいときもつらいときも友達や家族も信じられないようなときでも、本だけが隣にいてくれた。そんな本に恩返しをしたいんです」って。

 もう少し頑張らないとな。私も本に恩返しするために。

4月16日(木)

 まだ太陽に暖められる前の緊張した空気を、まるで流氷を打ち砕いて進む砕氷船のようにして走る。腕、足、顔、地肌を晒したすべての箇所で、朝を感じる。7キロ。

 通勤読書は、一昨日、芸術新聞社のAさんと昼食をとったカフェ・ヒナタ屋で購入した「雲遊天下」120号(ビレッジプレス)。特集の田川律さんと津野海太郎さんの対談が面白い。

 本日は事務の浜田が取材立会いのため留守番。溜まっているデスクワークを片付けるのにちょうどいいかと考えていたけれど、これが一日電話や来客が多く、しかもいくつか手間のかかるモノゴトもあり、まったく自分の仕事はできず。何よりも精神的疲労がハンパない。午後にはぐったり。

★   ★   ★

 来週4月23日(木)芳林堂書店高田馬場店にて、『本で床は抜けるのか』刊行記念として著者の西牟田靖さんとゲストに岡崎武志さんをお招きし、トークイベントを開催します。本で床が抜けそうな人、蔵書整理にお悩みの方など、ぜひぜひ役立つ話満載になる予定ですので、ご予約を! 詳細はこちら

4月15日(水)

 通勤読書は、今日企画会議があるので刺激になればと、以前坪内祐三さんの原稿で知り、古本屋さんで探索、発見、積ん読の山に置いておいた『雑誌記者』池島信平(中公文庫)。

 ところがこれが私の考えていたような編集者本ではなく、まずなにより良質なエッセイであり、文藝春秋の社史でもあり、ジャーナリズム論でもあり、戦中戦後史でもあり、戦争体験記でもあり、細かいトリビアの詰まった驚き本でもあり、そうしてやっぱり編集者論であるという、何もかもすべてが面白い一冊であった。

 しかしこんな本を読んでしまったら、とても自分には編集や出版などできるとは思えない。うなだれていると最後の一文はこう結ばれているのである。

「戦後、編集者の地位はたしかに上がったと思う。それは、困難ないろいろの条件と戦いつつ、みんながそうした実績をつみあげて行ったからである。私はその将来に対して、もっと楽観している。それは、新時代の教育を身につけた若くて有能な人々が競って、この道に集まってくるからである。わたくしは彼らに期待している。」

 午前中は企画会議。単行本の企画はすんなり進んだものの、雑誌はまったく閃かず、大苦戦。
 ちなみに『雑誌記者』では、菊池寛の企画の立て方についてこのように書かれている。

「菊池さんの頭は非常に思いつきに優れている。思いつきというのは軽いようであるが、企画は考えぬいた末の思いつきが一番大事である。長年の広い人生経験に裏打ちされた思いつきのよさは、雑誌では最も大切なことである。」

 本屋大賞という台風がさり、やっと通常業務に戻る。午後、じっくり営業。帰宅後、久しぶりにランニング。6キロ。

4月14日(火)

  • そうだ、京都に住もう。 (小学館文庫)
  • 『そうだ、京都に住もう。 (小学館文庫)』
    永江 朗
    小学館
    627円(税込)
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  • 慟哭の谷 北海道三毛別・史上最悪のヒグマ襲撃事件 (文春文庫)
  • 『慟哭の谷 北海道三毛別・史上最悪のヒグマ襲撃事件 (文春文庫)』
    木村 盛武
    文藝春秋
    671円(税込)
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  • ヒマラヤに雪男を探す: X51.ORG THE ODYSSEY アジア編 (河出文庫)
  • 『ヒマラヤに雪男を探す: X51.ORG THE ODYSSEY アジア編 (河出文庫)』
    佐藤 健寿
    河出書房新社
    902円(税込)
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  • 空飛ぶ円盤が墜落した町へ: X51.ORG THE ODYSSEY 北南米編 (河出文庫)
  • 『空飛ぶ円盤が墜落した町へ: X51.ORG THE ODYSSEY 北南米編 (河出文庫)』
    佐藤 健寿
    河出書房新社
    902円(税込)
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 まず何より本日最も大切な仕事は、娘が図書館で借りた本を駅に新設されたポストに返還することである。昨日のような失敗をしないよう家を出る時から「本返す、本返す、本返す、本返す」とつぶやき、無事返還。一仕事終えたので家に帰る......わけにはいかず、出社。

 通勤読書は、昨日大人買いをした北方謙三の<約束の街>シリーズのつもりだったのだが、最新刊『されど時は過ぎ行く』が25日文庫化なのでそれに合わせてタイミングよく読み進められるよう、北方謙三は若干の小休止。

 というわけで積ん読の中から、『そうだ、京都に住もう。』永江朗(小学館文庫)。単行本のときにも読んでいたけど、建築本に外れなし、というわけで再読。茶室のある家に住みたいという思いから、セカンドハウスを京都に求め、町家をリノベーションしていく。京都ガイドにもなっているところがミソ。私も最近、残りの人生をどのように暮らしていくか考えており、生まれたときから海に憧れている埼玉県民としては終の棲家は海の近くと願っているのだけれど、私の場合、どうしたって埼玉スタジアムに縛られてしまう。それが、セカンドハウスという考えを導入すれば夢が叶うことを知る。まあ、それでも夢だけれど。

 午前中、ボイジャーの萩野さん来社。『本で床は抜けるのか』の電子化の話。今作は「マガジン航」連載のため、電子書籍に関してはボイジャーにお任せ。

 午後、いっとき雨がやんだ隙をついて、リブロ池袋本店さんに直納。この売場がなくなるなんて想像がつかない。考えただけで涙が溢れてくる。

 ジュンク堂書店さんにも直納した後、西武池袋線に乗り込み、先日オープンした大泉学園のジュンク堂書店さんを初訪問。コンパクト(といっても250坪あるのだけれど)でもやっぱりジュンク堂はジュンク堂。駅反対側にあるくまざわ書店さんと比べるとその異質さが際立つ。というかくまざわ書店さんのスタンダートぶりに、より感心する。あまり語られることが少ないような気がするけれど、私はくまざわ書店さんのそのスタンダード力とそれが各店に行き渡っている様子に凄味を感じている。

 夕方、納品時にお会いできなかったリブロのYさんを改めて訪問。『慟哭の谷 北海道三毛別・史上最悪のヒグマ襲撃事件』木村盛武著(文春文庫)を購入していると、「河出文庫からすごいの出てるよ!」と佐藤健寿『ヒマラヤに雪男を探す』と『空飛ぶ円盤が墜落した町へ』を教えていただく。おおおお、これはあの名著『X51.ORG THE ODYSSEY』の大幅増補改訂文庫版ではないか!幸せ。

 直帰。雨で走れず。
 長友の体幹トレ30分。

4月13日(月)

  • 傷痕 老犬シリーズ1 (集英社文庫)
  • 『傷痕 老犬シリーズ1 (集英社文庫)』
    北方 謙三
    集英社
    616円(税込)
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  • 風葬 老犬シリーズ2 (集英社文庫)
  • 『風葬 老犬シリーズ2 (集英社文庫)』
    北方 謙三
    集英社
    607円(税込)
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  • 望郷 老犬シリーズ3 (集英社文庫)
  • 『望郷 老犬シリーズ3 (集英社文庫)』
    北方 謙三
    集英社
    607円(税込)
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 朝、娘から図書館で借りた本を返して来てほしいと頼まれる。なにやら駅前に返却ポストができているらしい。単行本を8冊、エコバッグに入れて家を出る。

 そして電車に乗り込んだ瞬間、腕にかかる負担で本を返し忘れたことに気づく。ひと駅行って戻るか帰りに返却するか悩む。気分的には一分でも早く返却してすっきりしたいが、一度進んだ歩みを戻すのも面倒くさい。そのまま出社する。

 先日某所より預かった約1000枚に及ぶ手書き原稿をコピーしていると高野秀行さんから電話。「本屋大賞の後片付けで忙しいときに申し訳ないけど、たまには雑談しない?」とお誘い。雑談は今、私が最も求めていたことのひとつなので、新宿のK書店さんへ昨日朝日新聞と毎日新聞でW紹介された『本で床はぬけるのか』を直納しつつ辺境ドトールへ馳せ参じる。

 いつの間にか2時間。高野さんと雑談していると知らぬ間に時間が過ぎている。私以上に執筆で忙しいはずの高野さんの貴重な時間を正真正銘の雑談でムダにしてしまったことを謝りつつ、営業。

 先日、40周年の40冊を決めるために会社に持参した北方謙三の『檻』(集英社文庫)を再読し始めたと報告したが、そこから私の北方謙三熱が再燃し、未読だった<老犬>シリーズに着手。『傷痕』『風葬』『望郷』(すべて集英社文庫)を一気読み。老いぼれ犬・高樹のかっこよさと見事なまでの完結ぶりに興奮していたところにKADOKAWAのブルドーザー営業・ヘンミーから電話が入る。

「えっ、老犬シリーズですか! 最高ですよね。ところで今月、<約束の街>シリーズの『されど時は過ぎ行く』がついに文庫化されるんですよ。あれ? 杉江さん、文庫で読んでいたから未読なんじゃないですか。もしかしてもしかしてそれどころか<約束の街>シリーズ未読だったりして。こういうときは炎の営業日誌を検索すればいいんですよ。ええええ、『良文堂書店で、<ブラディ・ドール>シリーズの姉妹編である<約束の街>シリーズの『遠く空は晴れても』北方謙三著(角川文庫)を購入し、京成線のなかで読み始めるが、頭のなかに色濃く前シリーズが残っており、なかなかページが進まない。ここはやはり少し時間を置いた方がいいだろう。』ですって。マズイじゃないですか、杉江さん。<約束の街>シリーズも読んでないなんて。6巻でブラディ・ドールの川中が登場するんですよ! <約束の街>シリーズ、角川文庫、よろしく」

 電話が切れるとすぐ三省堂書店に<ブラディ・ドール>シリーズをまとめ買いへ走る。なぜか6巻だけ棚になし。

 夜、そのヘンミーと会う。良文堂書店さんで定期的に行われる「出版営業ガチンコ対決」フェアの結果発表会。今回は人気のある高額商品を選択し、絶対に負けられない闘いだったのだが、結果を見ると2位。そして1位は、ブルドーザーのヘンミー。ブラックホールのような笑顔で私を見つめる。

 23時帰宅。風呂に入り、妙にこっている肩を揉んでいたとき図書館に本を返すのを忘れたことに気づく。

4月8日(水)

  • Bring the Family
  • 『Bring the Family』
    Hiatt, John
    A&M
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 まさかの雪。4月なのに。

 通勤ミュージックは、先日坪内祐三さんから教わったJohn Hiattの「Bring the Family」。恥ずかしながらまったく知らないアーティストだったのだが、恐ろしいほど歌が上手く、その歌唱力に惚れ惚れする。特に「Have a little faith in me」は、意味もわからず涙が溢れてくるほど感動した。対訳のついた日本版を買わなかったことを激しく後悔する。

 本屋大賞は実は発表日当日よりも翌日のほうが忙しい。後片付け、昨日の分の通常業務、そしてここ数年は「本の雑誌」搬入日にあたっているのだ。というわけで「本の雑誌」5月号搬入。今月は小谷野敦さんの「芥川賞卒業宣言」と服部文祥さんの「息子と狩猟に」の特別寄稿がハンパない。

 昼飯も食べず一心に仕事。
 そうして5時半にフケ、一路埼玉スタジアムへ。後半開始前の「歌え浦和を愛するなら!」のチャントから一気にスタジアムの雰囲気が変わり、久しぶりの一体感が産み出されていく。試合は残念ながら1対1の引き分けに終わりACLの道もほぼ途絶えてしまったが、サポートが人数ではなく魂であることを改めて理解する。

 しかしサポートは熱かったが、あまりに寒く、あやうく埼玉スタジアムで凍傷になりかけてしまった。

4月7日(火)

  • 鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐
  • 『鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐』
    上橋 菜穂子
    KADOKAWA/角川書店
    1,288円(税込)
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  • 鹿の王 (下) ‐‐還って行く者‐‐
  • 『鹿の王 (下) ‐‐還って行く者‐‐』
    上橋 菜穂子
    KADOKAWA/角川書店
    1,760円(税込)
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 2015年本屋大賞発表!
 お祝いに駆けつけてくれた自由国民社のAさんから「ついに干支で一回りですね。おめでとうございます」と声をかけられ、もう12年もやっていたことに気づく。そういえば本屋大賞を始めた頃やっと歩き出した娘は、今年中学3年生となり、この日は春休みだったこともあり、猫の手兼社会科見学として会場に連れていってみた。もしかして父親を尊敬してしまうかもしれないと危惧していたのだが、帰りの電車のなかで「あのなかでパパが一番何もしてなかったね」と冷静な判断をしていたので、ほっとする。

 2015年本屋大賞は、上橋菜穂子著『鹿の王』(KADOKAWA)。異世界を舞台にしたというと、その瞬間にじゃあいいやと思う人もいるかもしれないが、上橋菜穂子の描く異世界は一般小説以上に社会構造や世界観にリアリティがあり、本を読み終えたときには自分がその世界にいないことを寂しく感じるほどなので、何も気にせず本を手にとってほしい。上下巻合わせて1000ページを超える超大作だが、至福の読書時間が待っている。すごいぞ、上橋菜穂子は。

4月6日(月)

 明日に控えた本屋大賞発表会の問い合わせを受けているだけで一日終わってしまった。
 疲労困憊だけれど楽しい。そう、本屋大賞は毎年大変だけれど楽しい。この楽しさが伝わりますように。

4月1日(水)

  • 考える練習をしよう (子どものためのライフ・スタイル)
  • 『考える練習をしよう (子どものためのライフ・スタイル)』
    マリリン・バーンズ,マーサ・ウェストン,左京 久代
    晶文社
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 5時起床。朝ラン6キロ。本日も見沼代用水西縁の桜は満開。独り占め。

『本屋大賞2015』の見本を持って、取次店さん廻り。「今年のテーマは文芸復興です」と話される某氏の言葉に深く共鳴す。

 見本廻りを終えた頃、雨が降りだす。会社に戻って、「本の雑誌」の企画会議。衝撃的低調。やっぱり企画は会議をしても意味ないかも。あるいは外部の人を呼ぶべきか。

 夕方、40周年記念特集号に収録する本の雑誌読者座談会の司会進行。途中抜け出し、本屋大賞の会議へ。某会議室を発表会会場に見立ててリハーサル。緊張感が高まってくる。

 帰宅すると小5になる息子が起きていて、「今日はウソをついていいんだよね?」と訊いてくる。「あのね、今日机の引き出しを開けたらドラえもんが出てきたんだよ。いま押し入れで寝てるよ」

3月31日(火)

 5時起床。朝ラン6キロ。見沼代用水西縁の桜は満開。独り占め。

 朝日新聞の別刷りで掲載されていた「イチロー 伝説に挑む」のなかの一節に頬を叩かれる。今季、ピート・ローズがもつ通算最多安打4256本と大リーグ通算3000本安打に挑むイチローだが、その記録もすべて「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところにいく、ただ一つの道だと感じている」と。

 ついついロットで考えてしまう本の売上もまったく同じことだ。一冊一冊の注文が数千部、数万部、数十万部に繋がるただ一つの道。来年度のテーマにする。

 本日、「本の雑誌」6月号で掲載する40周年記念特集の目玉「本の雑誌が選ぶ40年の40冊」を決める座談会があるため、我が推薦本を背負って出社するも、実はひとり20冊までという制限なのにどうしても40冊から減らすことができず。というわけでもう私の40冊がそのまま「40年の40冊」でもいいのではないかと強行採決を迫ったのだけれど、まったくの無視。しかもこれだけ重たいおもいをして持ってきた40冊もほとんど役に立たず。「新日本本の雑誌」創刊を企む。

 不愉快になっていたところ白水社のKさんから電話があり、一緒に昼食へ。Kさんにならって量が多いと噂の近定の日替わり定食に挑戦するも撃沈。ロースカツ、クリームコロッケ☓2、ささみフライ醤油煮☓3はさすがに無理。カウンターでは異動で神保町を離れるらしいサラリーマンが「近定が大好きだったんです。またいつか来ます」と女将さんに挨拶をしていた。

 午後、「本屋大賞2015」の事前注文〆作業。いよいよ。

 40冊持って帰るのも悔しいので一冊ずつ読みながら帰宅することにする。今日は北方謙三『檻』(集英社文庫)。何度読んでも、しびれる。

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