7月21日(火)
- 『百歳までの読書術』
- 津野 海太郎
- 本の雑誌社
- 1,836円(税込)
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朝、出社してすぐ携帯が鳴る。画面にはリブロの矢部さんの文字。てっきり明々後日、最終日に一日中密着取材せていただくことになっているので、その待ち合わせ場所の相談かと思いながら電話に出ると、いつもと変わらぬ口調で注文の電話だった。
「『本の雑誌』売れてるんだよ。田口さんのPOPのおかげだね。どうする?」
「ありがとうございます。すぐ持っていきます」
「あと4日だから無駄になっちゃうかもしれないけど、ワゴンでやる?」
ワゴンでやるほどの在庫が社内にないのはわかっていた。けれど断るなんて考えもしなかった。
「ぜひお願いします。パネルも作ります」
「じゃあ100お願い。ありがとうサンキューね」
電話を切るとすぐ倉庫に電話し、40分後に取りに行くからと社内在庫の不足分80部を用意してもらう。
倉庫がある瑞江駅に着くと土砂降りだった。参ったなあと雨が跳ねる足元を見つめていたら、倉庫会社の社長さんが、完全梱包した「本の雑誌」を車で駅まで持ってきてくれていた。
「お、おひとりですか?」
「はい」
「重いですよ」
「大丈夫です」
そうは言ったものの80冊の「本の雑誌」はあまりに重い。「いち、に、さん、し......」20歩数えては、持つ腕を変える。
いったん会社に運び込み、納品伝票を書き、ちょうど出社してきた助っ人アルバイトとリブロへ向かう。
リブロにはいつもと変わらぬたくさんの人が訪れていた。売り場もいつもどおりだった。ひとつだけ違うのは、エントランスにあるたくさんのさよならメッセージをスマートフォンで撮る人たちがいることだ。
「着きました」と電話を入れようとしたところ、目の前に矢部さんがいて、携帯電話で何やら話し込んでいる。
「ごめんね。あと4日なんだけど、やっぱり足りないんだよ。えっ、ほんと? ありがとう、サンキューね」
今朝、私に電話した後も矢部さんは注文し続けていたのだ。そして、私だけでなくその注文に応える営業マンが続々と直納にやってきている。
あと4日なのに......。
もう閉店するのに......。
どうしてそこまで......。
その答えを知るために最終日、僕は矢部さんの隣にずっといる。
★ ★ ★
とここまでは先週金曜日に更新しようと書いた日記で、昨日の月曜日はここに記したように、リブロ最終日の矢部さんに密着させていただいた(密着するはずが、矢部さんは一日中まったく歩みを止めず、ずいぶん振り切られてしまったのだが...)。
その御礼方々、浜本とふたり池袋へご挨拶へ伺うとすでに通路とパーティションで仕切られ、パーテンションの内側では慌ただしく閉店作業がされているのであった。昨日はここが立錐の余地もないほど混雑し、多くのお客様がたくさんの本を抱え、レジに行列を作っていたのに...。
浜本とは池袋で別れ、新宿へ移動。紀伊國屋書店さんに40周年記念で飾って頂いていたポスターやら荷物を受け取りに行く。
そのまま営業に出ようと思ったものの、心も身体もくたくた。もう一歩も歩けない...ということで会社に戻る。
津野海太郎『百歳までの読書術』搬入。