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2月26日(金)

  • 新編 越後三面山人記 マタギの自然観に習う (ヤマケイ文庫)
  • 『新編 越後三面山人記 マタギの自然観に習う (ヤマケイ文庫)』
    田口 洋美
    山と渓谷社
    1,045円(税込)
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  • 熊を殺すと雨が降る―失われゆく山の民俗 (ちくま文庫)
  • 『熊を殺すと雨が降る―失われゆく山の民俗 (ちくま文庫)』
    遠藤 ケイ
    筑摩書房
    990円(税込)
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『新編 越後三面山人記』田口洋美(ヤマケイ文庫)読了。宝物のような本だった。

 県営ダム建設のため全戸移転、昭和60年に閉村した山形県と隣接する朝日連峰の山塊深くにあった新潟県岩船郡朝日村三面(みおもて)の生活そのもものを仔細に観察したルポルタージュ。

 雪深い冬には集団で狩りをし、家ではテゴやミノを編み、生命が一気に芽吹く春が訪れると、シバ伐り、田植えの後、山奥に建てた小屋に居を移しゼンマイ採集、緑濃くなる夏になれば山に火をつけ焼き畑、川に入って魚採り、実り多き秋にはキノコや木の実を拾う。

 自然とは、なんて豊かなんだろうか。
 いやそうではない。
 三面の山人たちが育んできた知恵によって自然を享受し豊かにしているのだ。代々工夫し、受け継ぎ、集落がダムに沈むまで、ずっとそうやって暮らしてきたのだ。こういう暮らしこそが「生きる」ということなのだろうと思う。最も憧れる「生きる」がここにある。

 帰宅後、遠藤ケイ『熊を殺すと雨が降る』(ちくま文庫)の隣に並べる。

 芳林堂書店さんが自己破産を申請。
 自分たちが作っているものが世の中の人たちに必要とされていないんじゃないかという想いに苦しめられる。

2月19日(金)

  • 新編 越後三面山人記 マタギの自然観に習う (ヤマケイ文庫)
  • 『新編 越後三面山人記 マタギの自然観に習う (ヤマケイ文庫)』
    田口 洋美
    山と渓谷社
    1,045円(税込)
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 公立高校へ願書出願に行く娘と一緒に家を出る。自分が15歳のとき、もう親なんかいなくても生きていけると思っていたけれど、駅の反対側のホームに立つ15歳の娘はあまりに小さい。過ぎ去る電車をいつまでも見つめる。

 発売前にプルーフで新作が読めるのはうれしいのだが、本が出る頃に熱が冷めてしまっていることが少なくない。

 ということで熱が冷める前に書いておくけど、3月30日発売予定の安藤祐介『不惑のスクラム』(KADOKAWA)は、本を読んでこんなに泣いたのはいつ以来だろうかと驚くほど、ハンカチ大活躍の人情スポーツ小説だ。

 40歳以上が集まる(若干年下もいるけど)不惑ラグビーチーム・大江戸ヤンチャーズを舞台にしたこの小説がここまで胸に響くのは、週末のラグビーと月曜日から金曜日のウィークデーの日常がしっかり融合されているからだろう。ラグビーなんてちっとも知らなくても号泣だ。まだ2月だけれど上半期ベスト1決定。

 浜本と浜田がお休み。あとひとり休んだら学級閉鎖か。

 とある美術館の売店で店長をしている大ベテランの元書店員Iさんから電話。今年で定年になるそうなのだが、なんと、その後、地元で本屋さんを開店するという。

 すごい時代になってきた。こんなにあちこちに独立書店がオープンする時代が今まであっただろうか。少なくとも私がこの業界に入ってから四半世紀の間、こんなことは一度だってなかった。いつだってオープンするのはチェーン書店で、町の本屋さんは閉店する一方だった。

 それがここ数年どうだろうか。つい最近オープンした荻窪のTITLEさんしかり、京都の誠光社さんしかり、かもめブックスさんしかり。あちこちに個性あふれる本屋さんがオープンしているではないか。

 大きな数字を見ればもちろん本屋さんはどんどん減っているのだけれど、何か別のものが今、生まれようとしているのは間違いない。こんなにワクワクする時代がやってくるとは思いもしなかった。

 三省堂書店さんに寄って、田口洋美『新編 越後三面川人記』(ヤマケイ文庫)を購入して帰宅。

2月18日(木)

 朝、4時起床。近所のコンビニへ車を走らせ、「週刊文春」を買いにいく。私にとっての「文春砲」は、元少年Aの写真ではなく、「文庫本を狙え!」。冒頭の「もちろん、一番の主人公はサッカーだ。」という言葉に、涙があふれてくる。

 リニューアルとともにあゆみブックスから文禄堂に店名の代わった文禄堂高円寺店さんを訪問。このスペースでカフェができるというのに驚く。また奥の棚は稼働式になっていて、イベント時には中二階の下に収納されるという。カフェ+雑貨+イベントという新書店三種神器を兼ね揃えた(雑貨はないけど)本屋さんに生まれ変わった。おそらく多くの書店さんが見学にくるだろう。

 帰宅すると注文していたMichael Kennaの写真集が届いていた。感動。

2月17日(水)

 頭の中がモシャモシャするので代休する。
 20キロほど走ったらモシャモシャが消える。
 体調を整える、には心も含まれていることを忘れてはならない。

 少年団の練習から帰ってきた息子が、足の指を骨折したかもというので慌てて整形外科へ。

 骨折ではなく、しもやけだった。

2月16日(火)

 休む間もなく、今月の新刊『50代からのアイドル入門』の見本出しで取次店さんを廻る。先月まで5軒廻っていたものが、今月は4軒になってしまった。新刊見本を提出するところがどんどん減っていくことに戦慄を覚える。

 これまで午後までかかっていたものが、午前中で終わる。見本を出し終えたら、どっと疲労に襲われる。

 会社に戻って、心のなかの与那国と葛藤する。

2月15日(月)

 与那国。
 与那国を離れる前に山口陶工房を訪れる。
 昨日、共同売店で見かけたコーヒカップがどうしても忘れられず、与那国でただ一軒の窯元まで足を運んでしまった。

 早朝の工房は薄暗く、引き返そうとしたところ、奥から陶芸家の山口和昇さんと息子の晋平さんが顔を出す。来意を告げ、工房のなかで作品を拝見させていただきつつ、話を伺う。

 飛行機を乗り継ぎ、大切に運んできたコーヒーカップでさっそくコーヒーを飲む。カップを眺め、手に持ち、口をつけると、与那国の自然と工房の姿が目に浮かんだ。

 私もそういう本や雑誌を作りたい。

2月14日(日)

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 与那国島。
 東崎灯台にて、野生の与那国馬に囲まれながら、この地で出版活動をしているカディブックスさんの話を伺った。

 与那国に辿り着き、馬と出会い、馬の気持ちを伝えるために作った『馬語手帖』、馬とともに暮らす思いを綴った『はしっこに、馬といる』というこれまで出版した本は、「馬の人たちに届けば」という想いを越えて、多くの人の本棚に並ぶことになった。

 数百部単位でオンデマンド印刷し、カバーやケースは自分たちでひとつひとつ付け、袋に入れ、島の郵便局から出荷される本は、出版という同じ活動をしているはずなのに、東京と与那国以上に離れているように思えた。

 話が途切れると馬が草を食む音が聞こえてくる。それを聞きながら私は、18歳とき、大学進学をやめ、出版社で働こうと決めたときのことを思い出していた。

 あのとき自分は、どんな本を作りたいと思ったのか。

 必死にそれを思い出していた。

2月5日(金)

 文庫版『サッカーデイズ』発売。
 私にとってとても大切な本なのだけれど、誰かにとっても大切な本になりますように。

 開店前の東京堂書店さんをドア越しに何気なく覗くと入り口のワゴンに大量展開されている。涙があふれてくる。

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 噂通り取次店の太洋社さんの自主廃業が発表となる。来週搬入の「本の雑誌」はどうしたらいいんだろうか。しばし途方に暮れる。
 作った本を読者に届けるのも困難な時代がやってきた。

2月4日(木)

 おじさん三人組の取材で暮しの手帖へ。出版の王道のような会社だった。

「マイブック」に書くのに無印の三色+シャーペンボールペンでは味気なく、終業後、銀座伊東屋へ。改装されてから初めてなのだけれど、なんだかおしゃれになり過ぎてどこになにがあるのやら。

 手頃な値段でカッコいいLAMYのsafari(スケルトン/F)を購入。生まれて初めての万年筆。大人の階段上る。

2月3日(水)

「本の雑誌」の企画会議。2号分決まる。

 不穏な情報が飛び交う。いくら豆を撒いてもダメなようだ。

2月2日(火)

 頭がぐしゃぐしゃするので代休。
 高校受験真っ最中の娘の第一志望校とその隣にある神社まで、お百度参りならぬお百度参りラン。往復26キロ。これで落ちても私のせいではない。

 浦和に出、「鶏そば一瑳」にて「あっさり鶏そば」。ウマい。
 浦和レッズのショップ「レッドボルテージ」でLフラッグを購入。センダイフットボール映画祭で出会った人より、こちらの試みに浦和レッズの旗が届かないと聞いたので、さっそく送付。おそらくレッズの旗が届かなかったのは無関心や不親切ではなく、よその場所によそのチームの旗が掲げられることが、不快な気持ちにさせるのではなかろうかと気遣ったのだと思う。

 お気に入りの古本屋武蔵野書店の均一棚にて粕谷知世の『アマゾニア』(中央公論新社)発見。歴史的傑作小説なのだけれど、誰かに貸したまま返ってこず、そのうち絶版になってしまっていたのであわてて購入。

 ツヤタにてDVD3枚借りて帰宅。よき休日。

2月1日(月)

 休みなしの連勤も体力的にはまったく問題ないのだが、頭のなかがぐしゃぐしゃしている。

 出張費の精算をしていると小学館の編集者から文庫版『サッカーデイズ』の見本が出来上がってきたと連絡あり。

 東京堂書店さんで待ち合わし、「Folio」で受け取る。素晴らしい出来映え。感動。

1月31日(日)

 仙台二日目。書店さんを営業。仙台は7,8年ぶり。書店地図も様変わりするなか、以前からあった紀伊國屋書店仙台店さんを訪問すると開店早々から大賑わい。フル稼働のレジにお客さんの列ができ、棚の前にはお客さんが幸せそうに本を選んでいる。最近ではなかなか味わえない光景に感動を覚える。

 その後、仙台駅に戻ってジュンク堂書店さんや丸善さんを訪問し、古本界隈でよく名前の挙がる「火星の庭」も覗いてみる。

 昼飯は、昨日ワタル社長に無理やり入れられたLINEで友だちに教わった「末廣ラーメン本舗 仙台駅前分店」へ。5人ほど並んでいたのでその列に加わるもまったく進まない。異様に回転率の悪いラーメン屋さん。その理由はお店に入ってみてわかるのだけれど、尋常じゃない汁の熱さ。人生でもっとも熱いラーメンの汁。これではそう簡単に食べ終わらない。

 仙台16時初の「やまびこ」216号に乗って帰京。車中、図書館で原稿整理をしていたワタル社長と打ち上げ。いい出張だった。

1月30日(土)

  • マイブック: 2016年の記録 (新潮文庫 ん 70-18)
  • 『マイブック: 2016年の記録 (新潮文庫 ん 70-18)』
    大貫 卓也
    新潮社
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 今年はこの「炎の営業日誌」を一日たりとも欠かさずに書き記そうと年始に誓ったのだけれど、23日から29日まで何をしていたのかまったく思い出せず、目標潰える。22日坊主。

 それにしても最近記憶力の減退が恐ろしく、前日何を食べたのかすら思い出せない。新潮文庫の「マイブック」を買いに行く。今日から毎日「マイブック」に何をしたか、何を思ったのか、何を食べたのか、正真正銘の日記を記し、そこからこの「炎の営業日誌」を清書することにする。

 というわけで本日は、ワタル社長と大宮駅で待ち合わせ。10時26分発、やまびこ133号に乗車し、一路仙台へ。本日より開催されるセンダイフットボール映画祭に『自分を開く技術』の伊藤壇さんがゲスト出演するため、本の販売&サイン会。

 外は寒いものの、仙台の人はあたたかい。持っていった本はほぼ完売し、ワタル社長と勇気を持って飛び込んだ仙台銀座の「はの字」で牛タン&ホルモンで打ち上げ。これがびっくりするほど安価で美味。箸止まらず。

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 出張というといつも3人部屋やら2人部屋を事務の浜田に予約され、おっさん臭に悩みながら眠れぬ夜を過ごすのだけれど、本日はワタル社長待遇ということ別々の宿泊。ところがカギを開けてみるとなぜか部屋にベッドがふたつあるではないか。深夜、目を開けると、その空白のベッドに誰か寝ている......。

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