4月24日(日)
埼玉スタジアムでフットサルの予定だったのだが、アキレス腱の痛みがひかず欠席。布団のなかで、届いたばかりの玉稿を読む。
午後、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」観る。冒頭から想像力を掻き立てられるガジェット続出に大興奮。観終えてすぐ、また最初から再生する。
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埼玉スタジアムでフットサルの予定だったのだが、アキレス腱の痛みがひかず欠席。布団のなかで、届いたばかりの玉稿を読む。
午後、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」観る。冒頭から想像力を掻き立てられるガジェット続出に大興奮。観終えてすぐ、また最初から再生する。
朝、学校総体埼玉県予選に向かう娘を駅まで送る。いつの間にか出来ていた高校の女子サッカー部に入部して初めての試合。しかしまだ未登録なので応援のみ。試合に出ずに応援だけなんて何年ぶりだろうか。昨夜、応援S級ライセンスの私が、応援の心構えと主なコールについて伝授した。
ランニング。10キロほど走ったところでアキレス腱が痛くなる。足を引きずり帰宅。ここのところ走り過ぎ。
ツタヤにて「燃えよドラゴン」「ブラックレイン」「マッドマックス 怒りのデス・ロード」を借りる。すぐに「燃えよドラゴン」を観る。
通勤読書は、奥田英朗『向田理髪店』(光文社)。安定の面白さ。さすが小説界の名ボランチ、浦和レッズで言ったら阿部勇樹。
かつては炭鉱の町として栄えた北海道苫沢町もいまや閉山、財政破綻し、子どもたちは成長すると札幌や仙台に出て行ってしまう。そんな田舎町の床屋さんを主人公に、田舎の良さと悪さを絶妙なエピソードで描きだす。その土地を愛し、仲間とともに過ごす暮らしに胸が熱くなる。
今、もしって、読み終えたのは朝なんだけど、夜だったとして、一泊二日の出張を終え、駅弁と奮発したプレモルをキオスクで購入し、新幹線に乗車している間、スマホを見るだけじゃつまらんと本屋さんを覗いている人がいたとしたら、圧倒的にこの『向田理髪店』をおすすめする。
出社。
人生はいつも思いもしなかったことが起こる。起きてはならないことが起こる。3秒前に相手ゴール前にボールがあったはずなのに、3秒後に我らのゴールネットを揺らしていたりする。
悪夢から一秒でも早く目を覚ましますようにと願うが、どうやら夢ではないらしい。
夜、佐野元春ファンのIさんと新松戸Tで酒。つぶ貝の刺身が絶品で噛みしめるたびに今まで味わったことのない貝本来の味が滲み出てくる。教えていただいた日本酒「一歩己」と「鳳凰美田」を飲みながら、ひとり献杯。
通勤読書は、『重版出来!②』。
「お前、給料誰からもらってると思ってる?」
「えっ...? 会社...です」
「読者だよ!!」
というやりとりに目が覚める、というか頬をはたかれる通勤路。そしてその読者とは単なる消費者ではなく、ファン・サポーターなのだ。
しかしその意識や対応が弱いと気づいたのは、『50代からのアイドル入門』の刊行イベントを渋谷のHMV&BOOKS TOKYOさんでやったときのことだ。
ゲストのアイドル西田藍さんのファンへの感謝や対応が素晴らしく、自分は一冊の本や雑誌を買ってくれた人にそこまで感謝の想いを抱いているだろうかとすごく反省したのだった。
帰宅後、『重版出来!』全巻読破。
面白かったけれど、パワーは3巻までで、4巻以降は単なるお仕事漫画&漫画家苦労漫画になってしまい残念無念。もう一度タイトルの意味を問い直し、一冊の本を売るための魂を描き出して欲しい。
通勤読書は、娘から借りた松田奈緒子『重版出来!①』(小学館)。
漫画を読み慣れていないため最初のほうはなかなか世界に入れず、ドラマがよかったのか?と苦戦していたのだけれど、「重版出来」を願うため、あらゆる運を無駄遣いしないよう心がけている興都館社長・久慈勝のセリフに魂を撃ち抜かれる。
そしてちょうど昨夜放送されたストーリに突入すると、もはや周りを気にすることもなく電車のなかで号泣。涙も鼻水も止めることなく、嗚咽をもらす。ここには忘れてはならない出版のすべてが詰まっている。
これから常に『重版出来!①』をカバンのなかに入れておくため、もう一冊購入。バイブル。
帰宅後、小学校の校庭でナイター練習をしている息子を迎えに行き、食事をしだしたのが22時過ぎ。リビングのテレビで妻と娘と息子がなにやら夢中になってドラマを観ていたのだが、妙に聞き慣れた言葉が聞こえて来るので顔を上げると、そこにはよく見る風景が映し出されていた。
「あれ、これ、三省堂書店さんじゃん?」
「あっ、エプロンにそう書いてある」
「パパなんでわかるの?」
そう息子に不思議がられたときには、私の頰を涙が流れ落ちていた。
『重版出来!』素晴らしい。
本に携わる人間の想いと様々なエピソードがとてもリアルに描かれている。
箸を休め、息をとめて鑑賞。
自然と涙があふれてくる。
コミックが話題になっていたのは知っていたのだが、斜に構えて読んでいなかったことを激しく後悔していると、娘が自分の本棚からそそそとそのコミックを全巻持ってやってくる。
「持ってたの?」
「当たり前じゃん。チョー面白いよ」
そろそろ、二代目襲名。
夜、松戸の良文堂書店さんで行っていたガチンコ対決フェアの結果発表会。私がおすすめしたのは、杉江由次『サッカーデイズ』(小学館文庫)、稲泉連『復興の書店』(小学館文庫)、福澤徹三『灰色の犬』(光文社文庫)の3冊だったのだけれど、自著で降格したら立つ瀬がないと冷や冷やしていたら、ぎりぎり9位(11位以下は降格)で残留。
その飲み会で、最近文庫などの仕掛け販売が前ほど売れなくなったという話題になったとき、書店員のTさんが「でもやめたらダメなんですよ。もっと悪くなっちゃうし、売り場がつまらなくなっちゃう。それに売る覚悟があれば売れるから。時間はかかるかもしれないけれど、注文した分は売る。ただ、他のお店で売れてるからとか言って安易に乗っかっちゃったときは、うまく売れないとすぐ返しちゃう。やっぱりちゃんと読んで自分で納得して仕掛けないとね」と。
本作りや営業も一緒だ。
最近、つい短絡的に物事を考えてしまっている自分を大いに反省する。
娘が高校の図書室で初めて本を借りて来る。
借りてきたのは、北村薫『中野のお父さん』(文藝春秋)、初野晴『退出ゲーム』(角川文庫)、中村尚儁『小説版 1/11』(集英社)。もう自分でしっかり本を選べるようだ。
その娘が見せてくれた図書室の写真には、本屋大賞のコーナーが。
まさか在校時、一度も図書室にお世話にならなかった卒業生が関わっているとは思いもしないだろう。
第13回本屋大賞発表! 宮下奈都さんの『羊と鋼の森』(文藝春秋)です!
★ ★ ★
これまで13回のなかで、もっとも開催の危ぶまれた本屋大賞も無事発表までこぎつける。
なぜ開催が危ぶまれたかというと、実行委員会の裏方中の裏方で、スケジュール管理から運営の事務作業までほとんど一手に引き受けていただいているSさんが、去年の夏から育児休暇をとっていたからだ。
これまで甘えてばかりだったので、ここは自立のチャンスと実行委員一同少しは頑張ってみたものの、やっぱりSさんがいなければ会議の開催もままならず、何度も何度も遠方よりSさんのお母さんに上京願い、子守を頼んで会議に来てもらうことになってしまった。
しかもSさんからの指示や確認がなければろくに動けず、そのSさんから届くメールはいつも深夜2時とか明け方4時に送信されたものだった。きっと赤ちゃんの泣き声で起きたSさんが、赤ちゃんを抱っこしながらパソコンに向かっていたのだろう。
去年の発表会では大きなお腹のSさんが、ゆっさゆっさと動きながら的確な指示を出してくれたのだが、今年の発表会ではお腹がぺったんこになったSさんが、獅子奮迅の働きをしていた。
会が終わる頃、赤ちゃんは寝ているよというメールが届き、「じゃあ一杯だけ」と言って、Sさんは二次会にやってきた。乾杯。
★ ★ ★
本屋大賞は仕事じゃない。
ボランティア、というのともなんだか違う。
誰かのために、というよりは、自分のために、やっている。
いや、それもちょっと違う。
自分が愛する「本」のためにやっている。
『本屋大賞2016』の見本を持って、取次店さんを回る。
とある取次店の方から「最近、出版社さんから本気でこれ売りたい、すごい面白いからどうしても読んで欲しいって気持ちがぜんぜん伝わってこないんですよね。もうはじめから文芸書売れないってあきらめている感じで」と言われ、ハッとする。
どこか毎日毎月ルーティンワークに陥っていて、新刊を見ても返品を見ても心が動かなくなっている。本を作り売ることが「作業」になってしまっている。いろんなことに「どうせ」がつきまとう。
満開の桜を見ながら、自分と向き合う。
ここのところ週末は近所のツタヤで映画を借りて観るというのが定番になっていたのだけれど、この週末は進駸堂中久喜本店さんで買った黒川博行『繚乱』(角川文庫)にのめり込み読書。
私のなかには北方謙三壺と黒川博行壺というのがあって、これが2、3年に一度空っぽになると両者の本をむさぼるように読む。ちょうど今、黒川博行壺が空っぽだったらしい。
『繚乱』は、黒川博行の代表作〈疫病神シリーズ〉の二宮&桑原コンビを凌ぐコンビ作『悪果』(角川書店)のマル暴担堀内&伊達が大暴れするシリーズ2作め。今作では警察を退職したふたりが、競売屋の調査員となり、人間の欲望にどっぷりつかる。文庫本600ページ、まさに寝食忘れて読了。
というわけで本日の通勤読書は、『繚乱』読み終えてすぐに近所のツタヤに走り購入した『迅雷』(文春文庫)。まだ黒川博行壺はいっぱいになっていないのだ。
午前中、発表を一週間後に控えた本屋大賞にまつわるデスクワーク。狂ったようにメールを返信し、雑務をこなす。
午後、紀伊國屋書店新宿南店さんに『肉筆で読む作家の手紙』を直納。
仕入れから4階の文芸書売り場に上がっていくと、相変わらずしっかり整頓された売り場にうっとり。推すべきものは多面積みとPOPでしっかり推し、そうでないものはあるべき場所に並べ、教科書のような売り場。居心地が本当にいいお店だ。
購入するか悩んでいた『グローバライズ』木下古栗(河出書房新社)に素敵な手書きPOPが立っており、レジへ背中を推してもらう。
続いて新栄堂書店新宿パークタウン店さんへ向かうも南口にオープンした「バスタ」に目を奪われる。用もなくうろうろ。バスに乗ってどこかに消えたい。
本日より、待望の宮田珠己さんの新連載「たのしい47都道府県 正直観光案内」スタート。宮田さんの知識と魅力大開放の連載です。
特にウソもなく、また新入社員もなく、新年度スタート。
午前中、集中してデスクワーク。本屋大賞の発表が近づいてきているので、メール&電話が激増。合間をぬって、読者の方が送ってくれた、香川県の公立高校入試問題(『サッカーデイズ』が入試で使われた)を解くも、どれも自信をもって答えられず。
午後、直契約のスタートした八重洲ブックセンター本店さんに特製文庫ブックカバーを納品。アルバイト時代の十代後半から背中を追いかけてきたMさんもこの11月で定年だという。追いかける背中のなくなった後、どうやって生きていけばいいのだろうか途方にくれる。
夜、直帰して埼玉スタジアムへ。土、日開催の満員のスタジアムも好きだが、平日開催のスタジアムも大好きだ。ここに来ると、つい数時間前まで頭を悩ませていた仕事のことなんてどうでもよくなってしまう。その感じがたまらなく好き。
6バック、3ボランチという「ウイニングイレブン」のトレーニングモードのようなヴァンフォーレ甲府を、磨き続けてきたコンビネーションで打ち破る。終了間際の失点はいただけないが、森脇のヒーローインタビューに腹を抱えて大笑い。
遠藤、イリッチの加入、ジュビロ磐田戦の凡ミスと瀬戸際に追い込まれていた森脇だが、その後必死にプレイしてきた様子を観てきただけに、笑いの奥にある悔しさと努力に涙が溢れてくる。上手くはないけど、人間臭い、いい選手だ。
9時出社。大急ぎでデスクワークした後、渋谷の東急百貨店本店へ。
「本の雑誌」の図書カード3万円企画のため、宮田珠己さんがMARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店でお買い物するので、その立ち会い。おもしろそうな本を次から次へとカゴに入れていく宮田さん。目に毒なので、写真撮影後は目をつぶる。
15時半終了。宮田さんと別れ、一路、神楽坂へ。
かもめブックスのヤナえもんこと柳下さんが、栃木県小山市の進駸堂中久喜本店さんへ車を走らせるというので、作品社のAさんと相乗りさせていただく。ヤナえもんの運転のもと、東北道を佐野藤岡インターから国道50号線。20時、進駸堂中久喜本店さん着。この一年で、もっとも恋い焦がれた本屋さんのひとつ。店長の鈴木毅さんへのご挨拶もそこそこに店内をうろうろ。地域の人々へ本を届ける使命を全うしながら、本屋さんの面白さを全身で伝えているお店。
『イラストで見る昭和の消えた仕事図鑑』澤宮優(原書房)と『繚乱』黒川博行(角川文庫)をかけ足で買い求め、鈴木店長推薦の「手打ちラーメン俵屋」で話をうかがう。ネギラーメンと餃子、めちゃウマ。
約1時間半の滞在の後、帰路。こんどは4号線を南下し、五霞インターから圏央道経由で東北道へ。浦和インターで降ろしてもらい、22時30分帰宅。営業というよりは遠足に近いが、車内の会話も含めたいへん充実。ヤナえもんに感謝。