« 前のページ | 次のページ »

12月12日(月)

 12.3のシャーレロス症候群からどうにか食事がとれるまで回復す。ただ今でも丸いものを見ると(例えば目玉焼きの乗ったお皿とか一円硬貨とか)、涙があふれてくる。

 朝、都内某所へ直行し、絲山秋子さんと昨年の大晦日のTwitterのやりとりから始まった前代未聞の企み「公開書簡フェア」の電子書籍化の打ち合わせ。

 単行本もなく、雑誌掲載もなく、完全な電子書籍オリジナルというものの制作は初めてで、作業の問題というよりは精神的な部分で戸惑うことがあまりに多く、また手書きで書かれた約400枚の書簡を読み込むのに精神的に疲弊し、夏から匍匐前進で進めてきたのであるけれど、ついに先週できあがり、絲山さんに見ていただく。概ね問題なし。もうあと一歩だ。

 昼、神保町ブックフェスティバルでしたトークイベントのお礼にと主催の東京新聞の方から浜本ともども食事に招かれる。周恩来も訪れたという「漢陽楼」。目の前の通りをいつも歩いているのだけれど、入るのは初めて。名物「清燉獅子頭」が美味。

 出社するとちょうど西村賢太さんからファクシミリで原稿が届いたので、すぐにリライトに取りかかる。すべて終えたところにY書店のKさんがやってくる。出版社と打ち合わせを終えた後、顔を出してくれたそうだ。本当は私が伺わなければならないのに。うれしい。「神田伯剌西爾」でコーヒー。

 最近は雑貨やカフェを併設した店舗が増えているものの、それもすべて下がり続ける出版物の売上をカバーするための方策であり、「本、売りたいんだけどねえ...」というKさんの呟きにすべての思いがつまっていた。

 夜、この秋、残念ながらもお亡くなりになった『尾道坂道書店事件簿』の著者・児玉憲宗さんを偲ぶ会を、古くから付き合いのある出版業界の仲間で開く。「安芸路酔心新宿店」にて、大いに本や業界について語り合い、児玉さんの分も本を作り、売ることを決意す。

« 前のページ | 次のページ »