7月3日(月)うんともすんとも言わないパソコンと格闘する日
ここのところ気づけばトークイベントやサイン会や講演会などで毎週休日のどちらかは出勤している。
おかげでなんだか生活のリズムが崩れており、月曜もまったくリフレッシュされないままどうにか気持ちを盛り上げて会社に出社するも、パソコンの電源を入れたところ、本来であれば「ジャーン」と音がするはずがまったく無音。
無音どころか画面は黒いままで、パソコン内部からハードディスクを読み込むカリカリ音もしなければ、電源が付いたことを知らせるランプも点灯しない。
焦ってはいけない。これは私が電源ボタンを押し間違えただけで、しっかり押せば、いつものようにパソコンは立ち上がるはずだと深呼吸をひとつふたつし、ボタンをゆっくり慎重に押すもやはり何ら反応がない。
焦ってはいけない、焦ってはいけない、焦ってはいけない......考えれば考えるほど冷や汗が流れてくる。そして気づけばゲームセンター嵐なみの連射で電源ボタンを押しているが、それでも我がパソコンはうんともすんともいわない。
終わった。我が人生終わってしまった。メールはスマホで読めるものの、ここには大切なデータがたくさん入っているのだ。「バックアップしたほうがいいですよ」「ドロップボックス使いなさいよ」誰かが言っていたことが走馬灯のように蘇る。しかし時すでに遅し。パソコンは動かないのだ。私にはもうお手上げの状態であり、Facebookで嘆き悲しむことしかできずにいた。
するとその嘆きを見た元S書店、現ネットワーク会社に勤めるKさんが、午後会社が休みになったので今から本の雑誌社に行って見てみましょうかとメッセージをいただく。まさかそんな優しい人がいるのだろうかと驚いていると、本当にKさんは颯爽と現れ、まるでお医者さんのように診断すると、いくつかの道具をつかってパソコンから大切なデータをサルベージしてくれたのであった。もう二度と会えないと思っていた大切なデータが目の前にあることが信じられない。あとはどうやらハード的な問題らしいので、アップルストアへ持っていくよう教えていただく。
Kさんが書店時代、私は特に何かしたわけではなかった。それなのにこんなに優しくしていただき、いったいこういった恩はどう返したらいいだろうか。時間が経てば経つほど泣けてきて、結局自分も人に優しくすることでしか恩返しできないと気づく。
角田光代『今日も一日きみを見てた』(角川文庫)読了。
どちらかといえば犬派だった角田さんが、ある縁で飼いだした猫トトとの日々を綴ったエッセイ集。かつて飼っていた猫の匂いや足裏のぷにょぷにょ感をまざまざと思い出し、涙がとまらない。猫、また飼うか......。