10月12日(金)
編集の高野に頼まれ撮影の車出しの予定だったのだが、朝からビシャビシャと雨が降り、自宅待機。しばらくすると撮影中止との連絡が届く。
遠田潤子『ドライブインまほろば』(祥伝社)読了。タイトルだけ見たら書き下ろし文庫のほっこり系かと思うけど、遠田潤子がそんな話を書くわけはなく、相変わらず野茂英雄のトルネード投法並みの常識外のモーションから豪速球の物語を投げつけてくるのであった。
これだけ期待値が高くなっているのにそれを充分満足させる最新刊。いやはやもう脱帽というか、バットを一ミリも動かすことが出来ずに茫然自失の見送り三振だ。
それにしてもこの人が書いている小説はどう表現すればいいのだろうか。イヤミスというジャンルががあるけど、イヤ家族小説と呼べばいいのだろうか?
登場人物全員が大きなマイナスを背負っており不幸のどん底の中でギリギリ暮らしているにも関わらず、マイナス×マイナスがプラスに転化するかのごとくほんの少しの幸せを手に入れる様に安堵する。遠田潤子にしか書けない、まさに遠田ワールド。