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10月14日(日)

「父ちゃん!」

 グラウンドでは聞きなれない言葉が耳に入る。顔を上げると部活が休みで私の試合についてきた中二の息子が手を挙げ、スペースに向かって走っている。

 幼稚園の運動会では圧倒的なビリッケツ、小学校の少年団では6年間ベンチを守っていた息子が今や中学の部活でレギュラーをつかみ取ろうとしている。続けて入ればいればいつか大きくジャンプする時がくるのだ。もはや私よりずっと上手い。たぶん中二の時の私よりも上手い。

 息子が走り込んでいるスペースは私にも見えていたのだ。

 バスを出す。

 息子に繋がればあとはシュートを打つだけ。今の息子の技術なら簡単に決められるはずたった。

 しかし一呼吸遅れたボールは相手選手にカットされてしまい逆襲を食らう。やばいと思った時には相手の背中を息子は追いかけていた。そして身体を入れてボールを外に出した。

 プレイが切れたので、息子にごめんと声をかける。息子は汗をぬぐって、親指を立てた。

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