12月3日(月)
昨日、年内達成を目指していた自己最長ランニング記録を塗り替え(二十五キロ)、筋肉痛になっているかと思っていたのだけれど、身体のどこにも痛みを感じずにベッドから身体を起こす。
通勤読書は『群馬・奥利根の名クマ猟師が語る モリさんの狩猟生活』高柳盛芳:語り、かくまつとむ:文(山と渓谷社)。クマ猟師といえば名著『羆撃ち』 (小学館文庫)があり、その著書である久保俊治氏と同様にモリさんこと高柳盛芳氏も基本的に巻き狩りではなく、クマの跡を追い、時には先回りをする忍び猟で、本当にそんなんで獲れるのかと疑ってしまうくらい衝撃的なのだけれど、実際、知恵と体力と道具を駆使して獲っているわけで、他にもナイフの使い方やきのこや魚の捕り方など、同じ人間として自分の生きる力の無さが情けなくなる。
自分はこの何年もずっとそこはかとなく不安を感じており、その不安とは仕事がなくなったらどうしようかという不安であり、要するにお金の心配をしているわけで、その不安を少なくするための方法はお金を儲けるということではなく、モリさんのようにお金をあまり必要としない暮らしにあるのではないかと思い直す。食べるもの、使うもの、そして楽しみを自然から得る──。いかにお金に縛られず自由になれるか、確か私も十代の頃そんなことを考えていたはずなんだけど、気づけば住宅ローンだ、塾の費用だ、大学受験だとお金ばかりに縛られているのであった。
九時二十五分出社。月曜日の朝にパワーを注入してくれる『その出版社、凶暴につき 情報センター出版局クロニクル』を読む。前回、今回とちょうど自分の作業とぴったりなタイミングの事象であり、大いに励まされるというかアントニオ猪木のビンタのように張り倒される。
よしやったるでぇ!とその勢いを借りて帯コピーや著者略歴、これまで恥ずかしかながら添えたことのなかったカバー袖の文章を練る。頭に思い浮かべるのは、本屋さんでカバーやタイトルを見て、興味を持ち手にしたものの、手にした本が本当に面白いのか、あるいは定価以上の価値があるのか不安を抱え、疑心暗鬼にページをめくっている読者。そういう人たちの背中を押して、いや手を引いてレジに連れて行く力のある言葉を捻りだす。
午後、営業。豊洲の紀伊國屋書店さんを訪問すると、きちんと整えられた売り場の中に書店員さんの熱情が感じられるパネルや展開があってなんだかうれしくなる。
夜、会社に戻ると、沢野ひとしさんが神保町取材のため来社。いくつになっても好奇心衰えず、良きものを作ろうという想いを胸に燃やす作家である。
二十時帰宅。アーセナル対トットナムのノースロンドンダービーをDAZNで観る。強烈。