1月1日(火)
元日。終日自宅で過ごす。妻は昼寝、高3の娘は受験勉強、中2の息子と私はサッカーゲーム。午後3時、息子と走り初め。正月らしく雲も風もないすこぶる心地良い空の下、キロ5分30秒で10キロ走るも、息子の背中にもうまったく追いつけず。
風呂に入り、ストーブの前でビールを飲み、ラジオ聴きつつ、読書。
昨年、最も飛躍した作家のひとり、今村翔吾のデビュー作『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』(祥伝社文庫)読了。噂に違わぬ面白さ。『童の夢』の大迫力とは異なるけれど、"This is エンターテイメント!"。キャラよし、ストーリーよし、ページをめくる指がとまらない。
それはさておき、帯にある加賀まりこさんの写真を見ていたら、この大女優が懇意にしていた今は無き本屋さん、飯田橋の深夜プラス1とその店長浅沼さんを思い出す。
加賀まりこさんは暇になると深夜プラス1を訪れ、浅沼さんに「何か面白い本ない?」と気さくに訊ねられていたらしい。その問いに当然ながらも浅沼さんは、宮部みゆきや桐野夏生やその他諸々、その時面白い本を推薦し、それを毎度買って帰っていたという。私はすれ違いでお店に伺うことも多く、浅沼さんから「惜しい。今さっきまで加賀まりこさんが居たのに」と何度も残念がられたのだった。
でもそんな全身書店員だった浅沼さんは書店員をやめ音信不通に、深夜プラス1は日高屋になってしまった。
浅沼さん、今どうしてるんだろうか。もしあのままお店があって書店員をしていたら、「ちょっとちょっとこれまだ読んでないの?! 読まなきゃダメだよ、超面白いんだから」と、この『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』も絶対薦めてくれただろう。加賀まりこさんだってきっと浅沼さんの推薦で手に取ったはずだ。
我が本棚を眺めてみれば、そうやって浅沼さんに薦められて好きになった本がいっぱい並んでいる。私の読書の師匠は浅沼さんだったのだ。浅沼さんにまた会いたい。会って本を薦めて欲しい。