1月2日(水)
朝、受験勉強の娘を残し、春日部の実家に行き、そこから東武伊勢崎線に乗って両親とともに浅草寺へ初詣。
40年来続いている杉江家の年始行事であるけれど、小学校高学年からつい数年前まで嫌で嫌でしょうがない行事でもあった。初詣も両親と過ごすことも面倒で、退屈で、鬱陶しいだけだった。
それがどうしたことか今では一年で最も愛おしい日となり、心待ちにしている。青空の下、仲見世商店街の行列に並んでお詣りし、凶ばかりのおみくじを引いて、セキネで肉まんとシュウマイを買う。やげん堀で一味を、舟和で芋羊羹を手にし、つるやで鰻重を父親からご馳走になり、雷おこしを買って帰る。
毎年毎年まったく同じことをしており、それもまた以前は苦々しいことだったのに今は心底うれしい。変化しないことを忌み嫌っていた若い頃と変化なきことに安心を感じる年齢になったということなのだろうか。
あと数年で傘寿となる母親が、鰻が苦手なので天ぷら定食を食べながら耳が遠くなりつつある父親の耳に口を寄せ、声をかける。
「お父さん、幸せだね。家族で浅草にお詣り来て、美味しいもの食べられて。あと何年来られるかね」
その母親はお賽銭を投げた後、なかなかお寺から出てこないと思ったら、行列に並んで我が娘のために合格守を買ってくれていた。