3月13日(水)
半休を取って、娘の卒業式に行く。高校ともなれば父親が行く必要もないのだけれど、娘が通っているのは私の母校でもあり、このチャンスを逃すともう母校の門をくぐることもなかろうということで、妻とともに門出を祝いにいく。
式の途中で表彰があり、娘の名前が呼ばれたのでなにごとかと思ったら、皆勤賞なのであった。しかも今年1年ではなく、高校3年間一度も休んでいないのだという。
父親である私は3年間のうち1年分くらいは登校しておらず、娘は私の分も学校に通ってくれたということだろう。あっぱれ。
それにしてもこの皆勤賞の娘が、幼稚園の入園日翌日から小学校2年になるその日まで、毎日毎日「幼稚園に行かない」「学校に行かない」と泣き叫び、時にはトイレに籠城し、ときには玄関でひっくり返り、ときには嗚咽しながら私の顔面を叩き続けたとは信じられない。
毎日朝が来るのが憂鬱で、いったいこんな日がいつまで続くのだろうかと思いつつ、諭し、手をつなぎ、抱きかかえ、丸坊主になり、自転車で送るなどしてどうにか休まずに幼稚園に送り届けていた自分を褒めてやりたい。
娘の成長と30年前自分がこの卒業式が行われている体育館で先行きのまったく想像できない人生に不安を抱えて座っていたときのことを思い出しつつ、ハンカチで涙を拭い無事卒業式も終わる。娘よ、好きに生きろ。仲間を大切にしろ。楽しんで暮らせ。
教室で友達と別れを惜しむ娘を残し、妻と帰る。ちょうど昼時だったので、駅ビルにあった「天丼てんや」に入ると、妻が「てんやに入るの二度目だね」と微笑む。
結婚してから生活に追われ、ほとんど夫婦や家族で外食することもなかったので、妻にはかつて「てんや」で食事した日が特別な日として記憶に残っていたのだろう。
妻も私も高校を卒業して働き出しているので、何やら今日でひとり子どもを育てあげた気分。私たちも今日何かを卒業したのかもしれない。