« 前のページ | 次のページ »

3月15日(月)

  • 十五匹の犬 (はじめて出逢う世界のおはなし カナダ編)
  • 『十五匹の犬 (はじめて出逢う世界のおはなし カナダ編)』
    Alexis,Andr´e,アレクシス,アンドレ,瑞人, 金原,亜希子, 田中
    東宣出版
    2,090円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 東京及び埼玉のコロナ新規感染者はまた少しずつ増えており、気の抜けない状況なのだが、電車はコロナ前の8割程度の混みようで安定してしまっている。

 そんな中で読むのはあまりに不釣り合いな『羆撃ち久保俊治 狩猟教書』(山と渓谷社)を読みながら8時半に出社。

 かの名作『羆撃ち』(小学館文庫)を書いた猟師・久保俊治氏のこれまでの狩猟で培ったノウハウがあますことなく詰められた一冊なのだけれど、読み物としても大変優れており、頭と心はすっかり北海道の大自然の中で、熊やシカといった動物たちと対峙している気分。コロナのことも、昨日わが浦和レッズが横浜Fマリノスにコテンパンにされたこともすっかり忘れて没頭し、神田駅まで乗り過ごしてしまう。

 本日は社員各自諸々切羽詰まっているらしく、事務の浜田、経理の小林、編集の松村と続々と出社してくる。私も切羽詰まりながら今夏発売予定の単行本2冊の原稿を読み進む。六本木のブックファーストさんが閉店されると封書が届く。がーん。

 ここのところ昼に、朝にぎったおにぎりを持ってきて食べている。そうするとお金がまったく減らないことに気づく。

 当初、お金を使わないことはいいことのように思えていたのだけれど、なんだかそうなるとお金を使うことにやけに敏感となり、週に一度外食ランチデーに食べる650円のラーメンや750円の唐揚げ定食がその対価に値する味だったのかなどと小賢しいことを食後に考えるようになってしまった。

 それどころか外食でお金が減らなければその分、本がたくさん買えると考えていたものの、やはりここでも妙にケチくさくなっており、本屋さんで本を手にして長考することが増え、持ち時間がカウントダウンされる中、本日も古本屋さんの均一棚で見かけた200円の文庫一冊すら買えずに棚に戻したのだった。

 お金が貯まることは一見幸福のように思えていたのだが、どうもそうではないらしい。

 午後、本屋大賞発表会の下見。今年は例年使用している明治記念館が改修工事を行っているのとコロナ感染防止対策としてマスコミ向け発表会となるため、場所を出版クラブに移しての開催。出版クラブは神楽坂から神保町に移転しており、会社から歩いて5分とかからず至極便利。

 思えば第1回、第2回の本屋大賞は移転前の出版クラブで開催したわけで、移転しているとはいえ16年ぶりの帰郷となり感慨深いものがある。

 その後、営業。ジュンク堂書店池袋本店のKさんよりアンドレ・アレクシス『十五匹の犬』(東宣出版)をおすすめいただく。その代わりに私は砂原浩太朗『高瀬庄左衛門御留書』(講談社)をおすすめする。そういえば書店員さんと交わすこういう会話を私はもっとも楽しみにしていたのだ。それこそが本屋大賞の原点なのだった。

« 前のページ | 次のページ »