4月12日(金)疲労

8時半出社。デスクワークをこなした後、書籍の制作の打ち合わせに池袋へ行く。著者、フリー編集者の渡さんとともに、今後の方針を話し合う。簡単にできる本など一冊もなく、それぞれの本にそれぞれの苦心する点があり、それを乗り越えて本はこの世に生まれるのだった。

夜、家に帰ると、DAZNは新潟の息子が見ていて視聴できず、さらに今頃になって本屋大賞の疲労が全身を襲い、9時にはもう目を開けていることもできず、ベッドで就寝。

4月11日(木)打倒!本屋大賞?

通勤電車の中でぼーっと考える。本屋大賞を作ってもう22年も経っているわけで、そろそろ「打倒!本屋大賞」じゃないけれど、次なる企画というか何かがあってもいいのではないかと。本屋大賞を運営している私が考える必要はないのだけど、私は、とにかく本が売れて欲しいのだ。本が売れて、本屋さんがどこにもあって欲しい、のでつい考えてしまう。

結局、本屋大賞が受け入れられたは、時代あってのことなのだと思う。

『文学賞メッタ斬り』の最初の巻の刊行も本屋大賞第一回と同じ2004年(3月)で、既存の権威的なものの裏側みたいなものがネットも含めて世の中の人に伝わり出した頃で、異なる価値観というかもっと健全なものが求められる空気が振り返ってみれば当時にあったと思う。

それは文学に関してだけでなく、例えばその後の独立系書店やシェア型書店の隆盛に影響を与えた(かもしれない)一箱古本市も、2005年の不忍ブックストリートで始まっていたりして、こちらは漫才の新しい評価軸だけれど、M1は2001年にスタートしたのだった。

それはもしかしたらミレニアムで騒いだあとになにか新しい時代が一夜にしてくるような気がしていたのがそのままの地続きで何にも変わらなくて、そう言った肩透かし感が次なる価値観への期待に変わったのかもしれない。今後、評論家の人に2004年あたりのことを論じてもらうのがすごく楽しみなんだけど、まだそれらの論を見てはいないのだった。

昨日本屋大賞の発表会場に飾られていた第一回の発表会の写真を見ていて思い出したのだけれど、第一回の発表会の際に新聞記者の人が僕の手を握らん勢いで、「こういう賞を待っていたんですよ」と熱く語っていたのだった。

そういう空気があの時代に間違いなくあって、本屋大賞は受け入れられたはずで、ならば今はどういうものが求められているんだろう?とここのところずっと考えている。

本屋大賞がポコっと生まれたわけではなく、セカチューや白い犬やその他、書店員さんの展開によるベストセラー誕生からの流れにあったわけで、ならばやっぱり新しい流れの源泉はもう生まれているかもしれず、どこかにヒントが転がっているのではなかろうか。

あるいは今は時代の変換時ではなく停滞しているときなのかもしれない。いや、もしかすると「売る」ということ自体が今の時代にそぐわなくなっていて、そこから飛躍しないと次なる企画は思い浮かばないのかもとも思う。

いつの日か私が「打倒!本屋大賞」とか叫び出す日が来るのだろうか。

4月10日(水)第21回本屋大賞

朝、9時半に信濃町の明治記念館へ。今日は第21回本屋大賞の発表会なのだった。晴天。それだけでうれしいのに、なんだか今日は朝からワクワクが止まらない。一年に一日、こういう日があるのはいいもんだ。要するにお祭りなのだった。

10時には実行委員会の面々とお手伝いを名乗りでてくださった各地の書店員さんがやって来て、発表会の準備に取り掛かる。

ほとんど学校の文化祭や体育祭のノリなのだけれど、適材適所というかそれぞれプロフェッショナルなのでは?と疑うほどの才能を隠し持っており、チーフというポジションを与えられた私は何もすることがなく、受付に座ってそれを眺めているのだった。おそらく私の適材適所は22年前に有志実行委員を集めたところだったのだろう。

大賞受賞作家に翻訳部門の著者、翻訳家、超発掘本の作家と続々と来場され、会場内ではリハーサルが執り行われ、準備万端、滞りなく第21回本屋大賞は発表となった。

私はわりと共同作業が苦手というか、なんでも一人でできると考えがちな人間なのだが、本屋大賞というものに関わったことで、一人でできないことがたくさんの人の協力のもとで、素晴らしく花開くことが可能になると教わったのだった。

本屋大賞がなかったら私はどうなっていただろうか。

4月9日(火)本屋大賞発表前日

本屋大賞発表会前日というわけで、会社に縛りつけられ、外出禁止を言い渡される。

そんな中、同じく本屋大賞実行委員である丸善博多店の徳永さんがやってきたので、何やら徳永さんに書評のお礼を伝えたいという青土社のエノ氏&担当編集者もやってきてオシャレ三幸園にてランチをする。

その後、徳永さんに『暗がりで本を読む』のサイン本を作っていただき、夕刻までデスクワークに勤しむ。

特別問題なことは起きず。

4月8日(月)本の雑誌5月号

「本の雑誌」5月号ができあがってくる。メフィスト賞、マジックリアリズムとかなり背伸びをした特集が続いていたので、今号では「本の雑誌」らしくのびのびとした特集にしてみたのだった。

そもそもは『百年の孤独』の文庫化の時期を探る取材で向かった新潮社で、焼酎の「百年の孤独」を飲まされ有耶無耶にされる飲み会となり、新潮文庫編集部のみなさんがタイトル付けのこだわりを語っていたところから閃いた特集なのだり

無事できあがってきたので、定期購読者分の封入作業「ツメツメ」に勤しむ。新入社員の近藤も手伝いを申しでてくれたので、2時過ぎに終了する。

その後、しばしデスクワークをし、BOOKS青いカバさんに納品に伺う。

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