この本には『かなわない』(?)植本一子選書フェア

写真家が紡ぐ文章は、文章家のそれとはどこか違うのでしょうか。それは私にはわかりませんけれども、写真家、植本一子が繰り出す文章にはめっためたにやられてしまいます。

カメラは現実を正確に写し取るのかどうか。それももちろん私にはさっぱりわからないことなんですけど、植本一子がタバブックスより刊行する『かなわない』において描き出される彼女自身の日常の記録は、現実かどうか事実なのかどうか、正確がどうかなんて読んでてどうでもよくなってしまう。小説だとおもえばそうだろうし、私小説として読んでもいいだろう、あるいはスキャンダル含みの暴露本か。どう読んでも刃がとんでくる。そして読まれた彼女の方にも。そこは平等。とにかく物騒な一冊に仕上がっております。

植本一子は本を読む。ときにすがるように、薬を服用するような手つきで。そういう描写がちょいちょいある。彼女の表現のモチベーションを支えるうえで読書が一定のウェイトを占めていることは間違いないはずだ。『かなわない』という本を読了して即、選書フェアをやりたいとぼんやり考えた。するとどうでしょう。レジで接客している私の視界に植本はいた。えらくちょうどいいタイミングだったので、速攻その場で選書ならびにフェアへの協力を依頼。ご快諾いただき、当フェア企画は実現しました。

開催日時 2月中旬から3月中旬
会場 ブックス・ルーエ 一階フェア台
問い合わせ先

0422(22)5677 担当花本