東京、三田にそれはある。田町駅から歩を進めてほどなく聖坂を登りきる手前。視界に異様な建造物が姿を現す。
蟻鱒鳶ル。
施主、岡啓輔。設計者、岡啓輔。施工者、岡啓輔。
岡啓輔の依頼により、岡啓輔による設計のもと、岡啓輔自身が職人として建造している。唯一無二のセルフビルド。現在進行形、都市の理想宮だ。そうこのビルは今現在もなお岡の手による建造の只中にある。
岡の著書『バベる!』は失敗や挫折を経て出した成果を報告するサクセスストーリーではない。ビルはいまだ完成に至らず、あろうことか再開発の予定地とされ立ち退きを迫られてさえいる。サクセスどころかかなりの窮地だ。
だが岡が見据えているのは、200年後の世界だ。蟻鱒鳶ルのコンクリートは200年保つと専門家の墨付きを得ている。即興のダンスの如く創られているアートとしての蟻鱒鳶ル、強固な理論で手抜き一切なしに建造された住居としての蟻鱒鳶ル。岡はそれを「売る」という決断を下す。
今回の展示でどのような建築物なのかその一端をご紹介したい。少しでも興味を持ったならば『バベる!』を紐解いてほしい。そしてぜひとも三田に足を運ばれることをお勧めする。
この物件。現代アートに理解があって、お金に余裕がある方には俄然「買い」だとおもいます。
表題の「岡画郎」というのはかつて岡が高円寺で主宰していたアートスペースの名称である。「郎」は誤植ではない。詳しくは『バベる!』にあたっていただきたい。
開催日時 | 2018年6月1日から6月30日 |
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会場 | ブックスルーエ階段ギャラリー |
入場料 | 無料 |
問い合わせ先 | 0422(22)5677担当花本 |