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2006年5月 缶切り底抜け号

 4月といえば入学式に入社式、桜とともに気分一新、単身赴任のお父さんも心ときめくが、だがしかし、新しい出会いに浮かれてばかりいていいのか。父よ、これまでの友を忘れたのか! というわけで、本の雑誌5月号は出会いの季節だからこそ、あらためて「友情」を考えてみよう、という提言特集。最強の友情を決定するトーナメント大会と読者がしびれた友情本の2本立てだ。勝ち抜きトーナメントに出場するのはミステリーから時代小説まで、地区大会を勝ち上がってきた12冊。はたして最強の友情に輝いたのは何か、注目してくれぃ!
 新刊めったくたガイドは三橋暁が幽霊退治人が大活躍の軽快コメディに思わず頬をゆるめれば、石堂藍はブラジル音楽の巨匠の一冊にあっと驚く背負い投げ一本負け。大森望がゼナ・ヘンダースン『ページをめくれば』に強烈なしっぺ返しを食らったかと思うと、大矢博子は貫井徳郎『愚考録』のインタビュイーたちにゾゾ~。吉田伸子がほのぼの夫婦小説をじわ~っと心に沁みこませれば、米光一成はまだ全部読んでいない本を読むこと書くことの至福が詰まったオススメ本と大絶賛! そして北上次郎は宮本昌孝、久々の新作をたっぷりと堪能して、うはうはだあ。さあ、背負い投げを食らうか、しっぺ返しを食らうか、覚悟の上で読もう!
 今月のゲストは「少年の夢、夜の夢」の続編を鋭意構想中の戸川安宣。原稿書くにはまず本の整理!と成蹊大学に蔵書を寄贈するまでの顛末を「蔵書始末記」として大公開するのだ。スペースの都合で今回は前編。次回を早く書くようにエールを贈ろう! そして今月は愛を叫ぶ創刊号がキモ~イ!と叫ぶ柴口育子、" カレー屋"タイトルに「ぷちん」!と切れた青木るえかと女子レギュラー陣が怒りモードで絶好調! マーサ・グライムズは勝手に殺しちゃうわ「走れメロス」に駝鳥は出てくるわ編集者は鬼になって首を絞めにくるわ、怪奇幻想、奇妙奇天烈、桜の森の満開の下でじっくり読めば、気分はすっかりホラーサスペンス(うそうそ)。さあ、友よ、本の雑誌5月号を携えて、共に花見に出かけよう!

目次

今月の一冊

吉野朔実劇場/だちょうのメロス 吉野朔実
蔵書始末記(前編) 戸川安宣

特集:最強の友情!

最強の友情決定トーナメント大会
☆SFからミステリー、時代小説に少年小説と、様々なジャンルから集まった友たちがぶつかり合う激烈友情バトルだあ!
読者アンケート/この友情にしびれた!

笹塚日記 目黒考二
都市漂流ゲーム 鏡明
南の話/酒と酒の日々 青山南

新刊めったくたガイド

思わず頬がゆるむロン・グーラートの軽快コメディ 三橋暁
シコ・ブアルキ『ブダペスト』はあっと驚く背負い投げ本である! 石堂藍
ヘンダースンの強烈しっぺ返しに要注意だ! 大森望
貫井徳郎『愚行録』のインタビュイーたちにゾゾッ 大矢博子
ほのぼの夫婦小説『きいろいゾウ』がじわ~っと沁みる! 吉田伸子
読むこと書くことの至福が詰まった大絶賛オススメ本だ! 米光一成
宮本昌孝、久々の新作『風魔』をたっぷりと堪能する! 北上次郎

理屈無用のメキシカン小説『荒ぶる血』に燃える! 穂井田直美
鉄ちゃんと行くパワフル鉄道旅 岩井道
役者もやれば、茶も運ぶ お江戸の人形は働き者 青木逸美
SF賞ゲッター スワンウィックの短篇集 山岸真
発売目前「ハリ・ポタ」第六巻の攻防 永江朗
オマケで世界はまわってる 近藤庄太郎
ウソかホントか意外に知らない遺伝子の話 渡邊十絲子
勇気凛々消防局員の激走記 川上賢一

坪内祐三の読書日記/「編集手帳」は広告タイアップコラムになっていた坪内祐三
サブカルチャー創世記/演劇センター68 津野海太郎
トヨザキ社長の「寄らば斬る!」/S・ダイベックの声を聞け! 豊崎由美
横山貞子翻訳大研究/人物の性格を表す会話文 新元良一
悪党どもの肖像/編集者メンケンの蒔いた種 吉野仁
ヒーローたちの荒野/トレヴェニアンの圧倒的な戦火描写 池上冬樹
日本SF戦後出版史/翻訳ミステリ雑誌三誌鼎立の巻 高橋良平
自在眼鏡/官能作家・大藪シローとは誰だ!?他
コラム
 ・今月の浅沼茂 浅沼茂
 ・ミミ中野のこれいただくわ ミミ中野
 ・銀の輔本の旅 高野ひろし

愛を叫ぶ創刊号がキモ~イ! 柴口育子
“カレー屋”タイトルに「ぷちん」! 青木るえか
体重200グラム減の息詰まる一冊 かなざわいっせい
「黒い報告書」に昭和の魂を見た! 柳下毅一郎
掲載図書索引

続・棒パン日常/〆切 穂村弘
三角窓口/M・グライムズはいつ死んだのか!?他
北原バカ本道 北原尚彦

「アクロイド殺し」の弁護士的読み方 ローヤー木村
歩く旅/あこがれの別荘 沢野ひとし
今月のお話/『小説新潮』「麺の甲子園」東北地区大会取材日記  椎名誠
後記

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