2007年12月 せんべい布団消失号
必殺技といえば、なんといっても「あたたたたた!!」だが、しかし。一撃必殺はケンシロウだけの特技ではない。技を極めた名人・達人はごまんといるのだ! というわけで、本の雑誌12月号の特集は「必殺技の研究」。名探偵も「そんなはずない!」と絶句する特殊能力から、ペルシダー人のすごい技、歴代マンガ最強の必殺技に自転車で機関車と競争する「超男性」、はてはスゴ腕戦闘機乗りの女王様に必殺の狂気を武器に探鳥に挑む男たちまで、古今東西の必殺技が一堂に会する南台冬の陣だ! おっと忘れちゃいけない、読者がびびびとしびれた必殺技も一挙公開だぞ!
新刊めったくたガイドは三橋曉が『殺人図像学』の女刑事ロミリアに注目すれば、牧眞司は米国の新鋭・ブラッドフォードが描くダメ人間にでんぐり返しの大共感。大森望が水中ガンダムが活躍する近未来海洋冒険サスペンスを冒険小説ファンにもお薦めすれば、大矢博子は杉本章子『その日』を熱烈支持! 永江朗がリストラ請負人・村上真介の復活を拍手で迎えたかと思えば、東えりかはぶち切れ暴走老人の生態にうーむと納得。そして北上次郎は桜庭一樹『私の男』の静かに暗く、鈍い旋律に、うまいよなあ、と大絶賛だ。さあ、あなたもおこたでぬくぬく読書冬の陣に備えよう!
今月のゲストは第4回本屋大賞受賞作家・佐藤多佳子。本屋大賞の副賞10万円分の図書カードで何を買うべきか、迷っているうちに月日はどんどん経って......ついにレポート提出の日がやってきた! 購入書籍のうちいちばん難解な本が『日本人のための二軸走法』という、その全リストを発表だ。乞うご期待。さらに乙女ライター・山崎まどかが今年いちばん面白かったショッキングピンクの本を報告すれば、津野海太郎はいよいよワンダーランドへひとっ飛び。原点に戻って西村京太郎に挑戦の木村弁護士、オン・ザ・ロードは本当に出るかの青山南と2007年も一気に佳境。沢野ひとし「冬の時間」展は11月29日からのスタートで、小悪魔たちもイケイケドンドン。あたたたたたた!!で、いざ、冬の陣に突入だあ!
目次
今月の一冊
吉野朔実劇場/考え続ける体力 吉野朔実
本屋大賞で買った本 佐藤多佳子
特集:必殺技の研究
・名探偵が推理する……何の不思議もなけれども 新保博久
・ペルシダー人のすごい技!? 風野春樹
・歴代マンガ最強の必殺技はこれだ! 岩井 道
・機関車と競走する『超男性』がすごい! 風間賢二
・スゴ腕戦闘機乗りの女王様 吉田伸子
コラム
・鳶魚も悶絶する必殺技!? 黒津 均
・必殺技の極意は狂気にあり! 黒田信一
読者アンケート/この技にしびれた!
今年いちばん面白かったミランダ・ジュライの短編集
山崎まどか
韓国のエンタメ・ベスト100 鏡明
南の話/彼は本当に美しい 青山南
新刊めったくたガイド
『殺人図像学』の女刑事ロミリアにご注目あれ
三橋曉
新鋭ブラッドフォードが描くダメ人間の日常、カエルのクリスマス 牧眞司
水中ガンダムが活躍する近未来海洋冒険サスペンス 大森望
杉本章子『その日』を支持するぞ 大矢博子
リストラ請負人・村上真介が帰ってきた! 永江朗
暴走する老人の生態に迫る! 東えりか
桜庭一樹『私の男』の静かで暗い旋律に聴きいる 北上次郎
時差ボケも吹き飛ぶ痛快ウェスタン『キューバ・リブレ』穂井田直美
北の大地が生んだ美しい人へのエール 神谷竜介
閑話休題猫の事件簿 田口久美子
こんな怪獣小説を待っていた! 山岸真
乱歩も海野も島田一男も入っていたジュニア・ミステリ叢書 近藤庄太郎
毎月24日は男の生き方講座開催 森英俊
『甲骨文字の読み方』にうっとり 渡邊十絲子
久賀島に残るキリシタン弾圧の歴史 川上賢一
坪内祐三の読書日記/あのオジさんの名前は浅野拓治といったのか 坪内祐三
サブカルチャー創世記/ワンダーランドへひとっ飛び 津野海太郎
よさこい少女マンガ格闘記/映画とマンガでハチクロ世界を考える ビンゴ本郷
トヨザキ社長の「寄らば斬る!」/1100ページの物量作戦にまいった! 豊崎由美
自在眼鏡/日本初! 予告映像つきの本が出た 他
コラム
・今月の林カケ子 林カケ子
・ミミ中野のこれいただくわ ミミ中野
・古本屋セドロー君の午後 向井透史
悪党どもの肖像/ラッセル・ナイの西部小説論 吉野 仁
ヒーローたちの荒野/藤沢周平のサイコ・サスペンス 池上冬樹
岸和田DNA/リョーコは総天然色 中場利一
イケイケドンドンのぶっとびファッション誌! 柴口育子
究極のエンタメ・ノンフは純文学か 高野秀行
通俗ハードボイルドの欺瞞を暴く書 霜月蒼
プリズン・グルーピーの刑務所改善論 柳下毅一郎
掲載図書索引
続・棒パン日常/言語感覚・その2
穂村弘
三角窓口/本誌だけが知っている犯人を追え! 他
長島千尋のうきうき道場 長島千尋
「宗谷本線殺人事件」の弁護士的読み方 ローヤー木村
歩く旅ひとやすみ/雪景色の橋 沢野ひとし
今月のお話/泳ぐような日々 椎名誠
後記