2007年5月 ツメ切り早歩き号
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- 取次搬入：2007年4月10日
新刊めったくたガイドは三橋曉がベールを脱いだ村上チャンドラー『ロング・グッドバイ』にぐりぐりの五つ星を打てば、牧眞司は巨大な赤ん坊に、おちこぼれの象で、木の芽どきを満喫。大森望が世界水準の国産ＳＦ短篇集に、言語道断の怠けっぷりも許したかと思うと、大矢博子は強くて前向きなおばさん小説に熱く共感！ 永江朗が松田美智子のスープのような小説をたっぷり味わえば、東えりかは伝説の編集者・見城徹の総決算に天職という言葉を実感。そして北上次郎は新人・宮木あや子のデビュー作をすごいぞ、ぶっ飛ぶぞ、と絶賛だ！ さあ、あなたも共感して実感して、ぶっ飛んでくれぇ！
今月のゲストは空想少年・大橋博之。謎のマンガ家・酒井七馬を追いかけて評伝をものしたマンガ研究家の謎に迫るのだ。そして今月は北原古本旅がついに水車とチューリップの国オランダに入国！ アムステルダムで「バスカヴィル家の蝙蝠」（？）をゲットし、ハーグでディック・ブルーナのモンスターにバカ本魂を燃やす６ページ。さあ、スケベニンゲン海岸に立つすけべ人間の古本旅・オランダ篇を読んでくれ！ さらに今月は「オン・ザ・ロード」が「ロリータ」で帝国ホーテルに変更されるわ、そっくりさんのハンフリー・ボガードが「君の瞳に乾杯」というわ、植草甚一ブームが爆発するわ、時空入り乱れて春まっ盛り。「日本ＳＦ戦後出版史」もいよいよ「異色作家短篇集」が刊行されて、いざ佳境？ 桜が散っても春は終わらない「本の雑誌」５月号で、さあ、木の芽どきにぶっ飛ぼう！
目次
今月の一冊
吉野朔実劇場／主人がいないのでしかたがない 吉野朔実
酒井七馬を追いかけて 大橋博之
北原古本旅／ブルーナの描いたモンスターを発見！ 北原尚彦
特集：この本にこの賞を
☆この人にあげたいオリジナルの賞から、受賞の損得、祝賀パーティの料理比較まで、いま出版界の「賞」はどうなっておるのかを検証するのだ！
アンケート／読者が創る新・文学賞十二連発！
おまけ特集「この本がこの賞に!?」／いま文学賞はどうなっておるのか
トヨザキ社長の「寄らば斬る！」／『ある島の可能性』に衝撃！ 豊崎由美
二冊の宇宙ＳＦ 鏡明
南の話／ホモ・ポレックスはあぶない 青山南
新刊めったくたガイド
村上チャンドラー『ロング・グッドバイ』に五つ星だ！ 三橋曉
巨大な赤ん坊に、おちこぼれの象、木の芽どきに楽しい小説を読もう 牧眞司
世界水準の国産ＳＦ短篇集が出た 大森望
新津きよみ『ママの友達』の戦う三人を応援する！ 大矢博子
松田美智子のスープのような小説を味わう 永江朗
伝説の編集者見城徹の総決算『編集者という病い』 東えりか
新人・宮木あや子の強力ワンペアにぶっとぶ！ 北上次郎
Ｊ・フットレルへの思いが伝わる『タイタニックの殺人』 穂井田直美
あのころ確かに月には何かがいた 神谷竜介
書店のIT化とレインボーの時代 田口久美子
本邦初台湾の科幻小説短編集 山岸真
世に明かりをともすマッチ広告あらわる！ 近藤庄太郎
大衆ヒーローの代名詞 森英俊
脳のしくみから科学の思想まで語りつくす一冊 渡邊十絲子
第一線の写真家たちが集う北海道自然雑誌 川上賢一
続・棒パン日常／作品予知 穂村弘
三角窓口／もだえ苦しむ数独中毒者の真実！ 他
長島千尋のうきうき道場 長島千尋
坪内祐三の読書日記／『徳田秋聲全集』のききめはたぶんこの五冊だね 坪内祐三
サブカルチャー創世記／植草ブームが爆発した 津野海太郎
悪党どもの肖像／ラニアンが書いた“ギャングランドのお伽噺” 吉野仁
ヒーローたちの荒野／ハードボイルドを排した村上訳チャンドラー 池上冬樹
日本ＳＦ戦後出版史／〈異色作家短篇集〉刊行の巻 高橋良平
自在眼鏡／世界で一番長い書店を台北で発見！他
コラム
・今月の林カケ子 林カケ子
・ミミ中野のこれいただくわ ミミ中野
・古本屋セドロー君の午後 向井透史
岸和田ＤＮＡ／あゝ無情 中場利一
「何をか言わんや」の親用マニュアル雑誌 柴口育子
腸の中から屠畜と土地を描く傑作ルポ 高野秀行
甘いロマンスを嗤うアイルズの確信的犯行 霜月蒼
賛否わかれるマリアンネの仇討ち 柳下毅一郎
掲載図書索引
「死亡推定時刻」の弁護士的読み方 ローヤー木村
歩く旅／カントリー五人組 沢野ひとし
今月のお話／毎日呑んでる取材旅 椎名誠
後記
