2007年9月 ほおずき夜なべ号
新刊めったくたガイドは、三橋曉がリサ・ラッツの探偵家族で、夏枯れもふっとばせば、牧眞司はジョージ・マッカイ・ブラウンの短編集を見つけて、こんな作家がいたとは、と大喜び。大森望がベスターの超B級ホラーに出たな妖怪!と感無量なら、大矢博子はハードボイルド・ペット探偵・最上俊平の再登場に感涙。永江朗が藤谷治の黒い二部作の互いの関係が気になって、こっちを読んではあっちを読み返している間に、東えりかは「中国てなもんや商社」から11年、帰ってきた谷崎光の『北京てなもんや留学記』に興味津々。そして北上次郎は、スポーツの秋にこの2冊を読め! とスポーツ本を2連発! いやいや、秋がくる前に読んでしまおう!
今月から、戦後ミステリーの草創に携わった編集者に日本ミステリーの生き字引・シンポ教授が、当時のエピソードを聞く新シリーズがスタート! 第1回のゲストは、なんと83歳にしていまだ現役の出版芸術社・原田裕社長。戦後の1期生として講談社に入社、以来、山田風太郎に小説を書かせ、書下し長篇探偵小説全集を企画、東都ミステリーを創刊した波乱万丈の編集生活60年は、まさしく戦後ミステリー出版史そのもの。『徳川家康』刊行の裏話や松本清張を泣かせたエピソードも出てくる9ページだ。ミステリーファンならずとも読み逃せないぞ。
さらに今月は坪内祐三が古書価1万円の本を6千円で買う方法を伝授したかと思えば、穂村弘はまだ見ぬあなたに贈る本をリストアップ。吉野朔実がカメラマンへの道を突き進むかと思えば、柴口育子はマンゴー氷もとめてキョースマへの道を一直線。さあ、「どりこの」飲めば暑さも忘れる本の雑誌9月号で、ぼくもわたしも「いいね、いいね、いいね」の大合唱だあ!目次
今月の一冊
吉野朔実劇場/写真を撮ろう 吉野朔実
悪党どもの肖像/アペルが書いたヘルズ・キッチンの若者たち 吉野 仁
特集:エンタメ・ノンフの秋!
青 大将・東 えりか・高野秀行・杉江由次
☆書店で一家離散状態にある多種多様なエンターテインメント・ノンフィクションの棚を新たに作り出すべく、四人の愛好家が立ち上がった!
ヒーローたちの荒野/日本ハードボイルドの原点にあるもの 池上冬樹
出版芸術社・原田裕氏ロングインタビュー/編集生活六十年 新保博久
無限のガイドブック 鏡明
南の話/いいね、いいね、いいね 青山南
50年代若者の成長ハードボイルド『路上の事件』 穂井田直美
業深き政治に生きるひとびと 神谷竜介
白地に黒の太字がうれしい新書の背表紙 田口久美子
ベテラン作家ブリンの娯楽巨篇『キルン・ピープル』 山岸真
社長もダブルでお願いします 近藤庄太郎
珍無類な探偵の珍無類な事件簿 森英俊
だまされない力をつちかう必読の書 渡邊十絲子
日英対訳つきの卓袱料理ガイド 川上賢一
新刊めったくたガイド
リサ・ラッツの探偵家族で夏枯れをふっとばすぞ! 三橋曉
ジョージ・マッカイ・ブラウン こんな作家がいたとは 牧眞司
ベスターの超B級ホラー『ゴーレム100』に感無量 大森望
ハードボイルド・ペット探偵最上俊平ふたたび登場! 大矢博子
互いの関係が気になる藤谷治の二部作 永江朗
谷崎光の興味津々奮闘記『北京大学てなもんや留学記』 東えりか
スポーツの秋に贈るこの二冊を読め 北上次郎
坪内祐三の読書日記/書肆アクセスで加藤一雄の『京都畫壇周辺』が定価で売られていたよ 坪内祐三
サブカルチャー創世記/八十日間世界一周 津野海太郎
トヨザキ社長の「寄らば斬る!」/『エロマンガ島の三人』がス・テ・キ豊崎由美
自在眼鏡/まん丸模様カバーの仕掛けに迫る!?他
コラム
・今月の林カケ子 林カケ子
・ミミ中野のこれいただくわ ミミ中野
・古本屋セドロー君の午後 向井透史
日本SF戦後出版史/筒井兄弟と佐野洋の巻 高橋良平
岸和田DNA/チリ毛男の復讐 中場利一
本格京都情報誌で今日からキョースマ! 柴口育子
奇想天外な米軍の超能力大作戦 高野秀行
日本ミステリに潜む血と背徳の愉悦 霜月蒼
唯一無二のていしん犯罪実話集 柳下毅一郎
掲載図書索引
続・棒パン日常/本を贈る 穂村弘
三角窓口/大阪で本物のマルケスを語ろう! 他
長島千尋のうきうき道場 長島千尋
「正義のミカタ」の弁護士的読み方 ローヤー木村
歩く旅/南アルプス南部の山 沢野ひとし
今月のお話/規則正しい日々 椎名誠
後記