2008年11月 かまど猫しもやけ号 No.305
新刊めったくたガイドは、三橋曉が全力疾走で駆け抜ける、悪党どもの生き方に胸を熱くさせれば、牧眞司は待ってましたの残雪『暗夜』をもっとも普遍的な文学と太鼓判。大森望がM・ジョン・ハリスン、27年ぶりの邦訳に驚愕すれば、宇田川拓也は不穏な魅力ただよう恩田陸の異界にどっぷり。永江朗がリービ英雄『仮の水』を読んでお腹ゴロゴロになったと思ったら、東えりかは現役ワナ猟師の歳時記に原始の実感を堪能! そして北上次郎はグレッグ・ルッカ『哀国者』を前に、シリーズものを再び考察。さあ、おじさんの予言ははたして当たるかのか、注目してくれぃ!
そして今月は、宮田珠己が八犬伝の謎とこじつけを読み解けば、高野秀行は「0円ハウス」をめぐる二人の奇才にコロンブスの卵をグシャっと潰しまくり。江弘毅と中場利一の岸和田コンビがだんじりパワーで4ページをぶっ飛ばせば、吉野朔実はチャン・イーモウ演出の北京オリンピック開会式にかぶりつき! さらに大河隔月連載「日本SF戦後出版史」は第1回日本SF大会がいよいよ開催!! 「空気嫁」松村がジョー・ヒルにしみじみして、おお、今年もそろそろ「おすすめ文庫王国」の季節。『「本の雑誌」炎の営業日誌』の発売(無明舎です)に胸も高鳴る、すすきも揺れる、「本の雑誌」11月号なのだあ!
目次
今月の一冊
ブックス・墨瓦蝋泥加/謎とこじつけに満ちた八犬伝の世界 宮田珠己
トヨザキ社長の「寄らば斬る!」/名刀・川崎徹の文体を味わう 豊崎由美
特集:車を捨てよ、本を読もう!
出版界「鉄人」座談会/鉄道本オールタイムベスト23はこれだ!
これぞ宇宙尺取り虫航法だ! 中村 融
駕籠も舟も必要ない、忍法移動術&妖術超乗り物 青木逸美
魔法のバスと夢のエレベーター 金子のぶお
自転車小説十傑/自転車のあらゆる楽しみが詰まった青春小説 大矢博子
読者アンケート/この乗り物に乗りたい!
自在横丁/
・今月の林カケ子 林カケ子
・ミミ中野のこれいただくわ ミミ中野
・古本屋セドロー君の午後 向井透史
SF音楽の箱 鏡明
南の話/みんなまだ読み終わってないのに 青山南
新刊めったくたガイド
全力疾走で駆け抜ける悪党どもの生き方を見よ! 三橋曉
残雪『暗夜』こそがもっとも普遍的な文学だ 牧眞司
M・ジョン・ハリスン27年ぶりの邦訳に驚愕! 大森望
不穏な魅力ただよう恩田陸の異界で遊ぶ 宇田川拓也
リービ英雄『仮の水』にお腹ゴロゴロだ! 永江朗
原始の実感に溢れた現役ワナ猟師の歳時記 東えりか
『哀国者』の激しさにシリーズものを再び考える 北上次郎
活きのいい新米弁護士シリーズにわくわく 穂井田直美
グラスに浮かぶ歴史の味わい 神谷竜介
各社思惑乱れ飛ぶ“夏の100冊”今年の結果は? 田口久美子
四半世紀をかけた渾身のSF叙事詩『神獣聖戦』完結! 山岸真
妄想が詰まった竹林 書店に現る 近藤庄太郎
豆本女子の凝りに凝った作品にびっくり! 柴口育子
“自分だまし”は大切な能力なのだ! 渡邊十絲子
信州料理の名脇役梅の復活 川上賢一
坪内祐三の読書日記/『鏑木清方文集』全八巻が一万円! 坪内祐三
ミーツへの道/だんじり編集部 江 弘毅
吉野朔実劇場/北京的開会式 吉野朔実
ヒーローたちの荒野/ユーモアとシリアスの中間をいくシリーズ 池上冬樹
高野秀行の辺境読書/コロンブスの卵がグシャッと潰れる傑作 高野秀行
日本SF戦後出版史/第一回日本SF大会開催の巻 高橋良平
岸和田DNA/オカンのビンタ 中場利一
“普通の主婦”の日々がカッコいいのだ! 大矢博子
「裏切り」と「破滅」のある英雄冒険神話 吉野 仁
「閉店時間」に見るケッチャムの核 霜月蒼
殺人から本泥棒まで全米犯罪実録傑作選 柳下毅一郎
掲載図書索引
コラム・今月のお買いもの 目黒考二
続・棒パン日常/「変」になる 穂村弘
三角窓口/稲垣足穂はマスクをして読め! 他
長島千尋のうきうき道場 長島千尋
歩く旅ひとやすみ/崩れの季節 沢野ひとし
今月のお話/ウ・リーグ最近事情 椎名誠
後記