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2008年11月 かまど猫しもやけ号 No.305

 下がったと喜んだのも束の間、原油価格がまたまた史上最高値を更新して、まったく先行き不透明なガソリン価格だが、いずれにしろ1年前に比べたら1・5倍の超高値。こんなに高いんじゃ、車なんて乗っていられないよぉ! というわけで、本の雑誌11月号は原油価格高騰と闘う特集だ。出版界の「鉄人」たちが決める鉄道本オールタイムベスト23(なぜ23なのかは本文を参照のこと)から、奇想天外なすんごい乗り物、さらに自転車小説十傑に、読者の乗りたい乗り物まで、車以外の乗り物に乗りたくなる本がずら〜り。さあ、友よ、車を捨てよ、本を読もう!
 新刊めったくたガイドは、三橋曉が全力疾走で駆け抜ける、悪党どもの生き方に胸を熱くさせれば、牧眞司は待ってましたの残雪『暗夜』をもっとも普遍的な文学と太鼓判。大森望がM・ジョン・ハリスン、27年ぶりの邦訳に驚愕すれば、宇田川拓也は不穏な魅力ただよう恩田陸の異界にどっぷり。永江朗がリービ英雄『仮の水』を読んでお腹ゴロゴロになったと思ったら、東えりかは現役ワナ猟師の歳時記に原始の実感を堪能! そして北上次郎はグレッグ・ルッカ『哀国者』を前に、シリーズものを再び考察。さあ、おじさんの予言ははたして当たるかのか、注目してくれぃ!
 そして今月は、宮田珠己が八犬伝の謎とこじつけを読み解けば、高野秀行は「0円ハウス」をめぐる二人の奇才にコロンブスの卵をグシャっと潰しまくり。江弘毅と中場利一の岸和田コンビがだんじりパワーで4ページをぶっ飛ばせば、吉野朔実はチャン・イーモウ演出の北京オリンピック開会式にかぶりつき! さらに大河隔月連載「日本SF戦後出版史」は第1回日本SF大会がいよいよ開催!! 「空気嫁」松村がジョー・ヒルにしみじみして、おお、今年もそろそろ「おすすめ文庫王国」の季節。『「本の雑誌」炎の営業日誌』の発売(無明舎です)に胸も高鳴る、すすきも揺れる、「本の雑誌」11月号なのだあ!

目次

今月の一冊

ブックス・墨瓦蝋泥加/謎とこじつけに満ちた八犬伝の世界 宮田珠己
トヨザキ社長の「寄らば斬る!」/名刀・川崎徹の文体を味わう  豊崎由美

特集:車を捨てよ、本を読もう!

出版界「鉄人」座談会/鉄道本オールタイムベスト23はこれだ!
これぞ宇宙尺取り虫航法だ! 中村 融
駕籠も舟も必要ない、忍法移動術&妖術超乗り物 青木逸美
魔法のバスと夢のエレベーター 金子のぶお
自転車小説十傑/自転車のあらゆる楽しみが詰まった青春小説 大矢博子
読者アンケート/この乗り物に乗りたい!

自在横丁/
 ・今月の林カケ子 林カケ子
 ・ミミ中野のこれいただくわ ミミ中野
 ・古本屋セドロー君の午後 向井透史
SF音楽の箱 鏡明
南の話/みんなまだ読み終わってないのに 青山南

活きのいい新米弁護士シリーズにわくわく 穂井田直美
グラスに浮かぶ歴史の味わい 神谷竜介
各社思惑乱れ飛ぶ“夏の100冊”今年の結果は? 田口久美子
四半世紀をかけた渾身のSF叙事詩『神獣聖戦』完結! 山岸真
妄想が詰まった竹林 書店に現る 近藤庄太郎
豆本女子の凝りに凝った作品にびっくり! 柴口育子
“自分だまし”は大切な能力なのだ! 渡邊十絲子
信州料理の名脇役梅の復活 川上賢一

坪内祐三の読書日記/『鏑木清方文集』全八巻が一万円! 坪内祐三
ミーツへの道/だんじり編集部 江 弘毅
吉野朔実劇場/北京的開会式  吉野朔実
ヒーローたちの荒野/ユーモアとシリアスの中間をいくシリーズ  池上冬樹  
高野秀行の辺境読書/コロンブスの卵がグシャッと潰れる傑作 高野秀行
日本SF戦後出版史/第一回日本SF大会開催の巻 高橋良平
岸和田DNA/オカンのビンタ 中場利一
“普通の主婦”の日々がカッコいいのだ! 大矢博子
「裏切り」と「破滅」のある英雄冒険神話 吉野 仁
「閉店時間」に見るケッチャムの核 霜月蒼
殺人から本泥棒まで全米犯罪実録傑作選 柳下毅一郎
掲載図書索引
コラム・今月のお買いもの 目黒考二

続・棒パン日常/「変」になる 穂村弘
三角窓口/稲垣足穂はマスクをして読め! 他
長島千尋のうきうき道場 長島千尋

歩く旅ひとやすみ/崩れの季節 沢野ひとし
今月のお話/ウ・リーグ最近事情 椎名誠
後記

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