2009年10月 ハコフグ逐電号 No.316
新刊めったくたガイドは、三橋曉がトム・ロブ・スミスの第2作『グラーグ57』を文句なしの五つ星と絶賛すれば、山崎まどかは「語り」の作家の語り口に引き込まれて妄想の世界へ。大森望が神林長平『雪風』最新作の思索的ディスカッションをたっぷり味わえば、宇田川拓也は"魔王"再臨!の続編にひりひり大興奮。アライユキコが坂井希久子『恋活』で恋愛の「いま」をぶっちぎれば、金子のぶおは勝間和代が「おひとりさま宗教」だと知って、うーむと納得。そして北上次郎は超おすすめのネオ・ノワール『さらば雑司ヶ谷』の鬼っ子ぶりに拍手だ! さあ、ひりひりぶっちぎるか、パチパチパチ拍手するか。ばしばし読んでみよう!
そして今月から短期集中連載「名前変更物語」がスタート! なぞの怪魚ウモッカを求めて入国お断りの国、インドに入国すべく、あの高野秀行が「高橋秀行」に改名する!?という究極のドキュメントだ。エンタメ・ノンフ人生を地で行く「しゅうこう」の生き様を集中して堪能してくれぃ。好評企画「図書カード三万円使い放題!」は絲山秋子が登場! 愛車クーペフィアットで前橋の老舗書店・煥乎堂に到着するやいなや確変モードに突入。「使い放題」の文字を見たとたん、脳内からヘンな汁が出まくったパンクな芥川賞作家は3軒の書店で何を買ったのか、こちらも注目だ! さらに今月は古屋美登里がブッカー賞受賞作品リスト付きで「こんな授業をしています」なら、坪内祐三は「坪内先生」も学生時代は「ふはふは」していました、と告白。穂村弘が切り札を出せば、椎名誠はすきな本とすきなことを激白だ。さあ、エンタメ・ノンフからブッカー賞まで、秋の夜長は本の雑誌10月号片手にへんな汁を出しまくりで読書にいそしもう!
目次
今月の一冊
実録エンタメ・ノンフ人生/名前変更物語 (上) 高野秀行
図書カード三万円使い放題!/芥川賞作家が確変モードで買いまくり! 絲山秋子
特集:いま日本の出版社はどうなっているのか!?
座談会・出版社入社試験問題を考える!
読者アンケート・勤めたい出版社、勤めたくない出版社
出版社をX回転職した男 栗原昭二
銀の輔出版社の旅 高野ひろし
出版社の机拝見
坪内祐三の読書日記/「坪内先生」も学生時代「ふはふは」していました 坪内祐三
ミーツへの道/大ブレイクの光と影 江 弘毅
トヨザキ社長の「寄らば斬る!」/古くて新しい朝倉かすみの連作短篇 豊崎由美
こんな授業をしています/さまざまな表現に触れる 古屋美登里
文学賞記者日記
ブックス・墨瓦蝋泥加/常識がひっくり返る中世借金事情 宮田珠己
古本の青い鳥 鏡明
新刊めったくたガイド
スミス第二作『グラーグ57』に五つ星だ! 三橋曉
「語り」の作家エルサ・モランテの円熟短編集 山崎まどか
神林長平『雪風』最新作の深い議論を味わう 大森望
“魔王”再臨! 待望の続編にひりひり大興奮 宇田川拓也
恋愛の「いま」をぶっちぎる『恋活』がいいぞ! アライユキコ
勝間和代は「おひとりさま宗教」だった? 金子のぶお
ネオ・ノワール『さらば雑司ヶ谷』の鬼っ子ぶりに拍手! 北上次郎
手応え確かな日本初登場作家二連発! 穂井田直美
ビニールパックは雪崩式 伊野尾宏之
二大巨匠のSF史的名作新訳・改訳で復活! 山岸真
『b*p』ハルキ特集のインタビューがいいぞ! 柴口育子
スピルバーグが主人公の大胆時間SF 風野春樹
古本根問〜東都道五十三之次 kashiba@猟奇の鉄人
日本の殺人事件の意外な実態 渡邊十絲子
日本一小さな村の図書館に起こったびっくり事件 川上賢一
南の話/キンドルってそんなにいい? 青山南
マクシタテアン・オビスピエールのオビミシュラン M・オビスピエール
よさこい少女マンガ格闘記/男子禁制? 女の園の百合マンガ ビンゴ本郷
高野秀行の辺境読書/金玉が裂けても羨ましい怪魚格闘記 高野秀行
自在横丁/今月の畠中理恵子・高倉美恵・荻原魚雷
ヒーローたちの荒野/心理描写を一切しない『らんぼう』 池上冬樹
サッカーストーリーズ/告白 はらだみずき
文字とテクノロジーと作家の関係 円城 塔
写実的な女流スパイ小説の登場 吉野 仁
ハヤカワさん! 本棚のサイズを考えて。 池澤春菜
三冊三様リンダの自伝 柳下毅一郎
今月書いた人
掲載図書索引
今月本の雑誌に遊びに来た人
続・棒パン日常/切り札 穂村弘
三角窓口/中日フリーク漫画の金字塔はこれだ! 他
大竹聡の本のつまみ 大竹聡
「刑事コロンボ」の弁護士的読み方 その3「悪の温室」 木村晋介
歩く旅/大伴家持の歌 沢野ひとし
今月のお話/すきな本すきなこと 椎名誠
後記