2009年2月 カンジキ夜歩き号 No.308
新刊めったくたガイドは三橋曉が北欧スウェーデンのとんでもないツワモノ、スティーグ・ラーソンの強力サスペンスを一気読みすれば、山崎まどかはアメリカの新進作家が描く移民の物語を堪能。大森望が早くも本年度国内SFベストワンの最有力候補登場と断言すれば、宇田川拓也は『約束の地』を今こそ読むべき、と太鼓判。アライユキコが田中慎弥の男子純文学で呵呵大笑すれば、金子のぶおは『そこにシワがあるから』に第1回金のアイロン賞を贈呈! そして北上次郎はタイムマシン的装置がついた藤谷治『船に乗れ!』になるほど、と納得。年配読者もどんどん引き込まれる青春小説で、心もおこたもヒートアップ。いざ、秘密兵器で青春時代にタイムスリップだあ!
そして今月は、小森収が『都筑道夫ポケミス全解説』がまとまるまでのほぼ40年のミステリー評論、エッセイを総まくり。久々登場・藤脇邦夫は『おかしな時代』にインスパイアされて日本ロック出版の事始をじっくり考察。さらに炎の営業が丸坊主覚悟で依頼したはらだみずきの「サッカーストーリーズ」がいよいよスタート! 2008年のベスト10をあらためて振り返る鏡明に編集長・椎名誠、家飲みで『枯木灘』を再読する大竹聡に近田春夫の感想文で贅沢な読書を考える荻原魚雷と、長期連載陣も新連載陣も絶好調! マル秘おまけつきの福袋セットもあるぞ!の「本の雑誌」2月号はウソ偽りなしに1月13日取次搬入。いつもより少ーし遅いが休刊じゃないので、忘れずに買ってくれぃ!
目次
今月の一冊
サッカーストーリーズ/グラウンド探し はらだみずき
トヨザキ社長の「寄らば斬る!」/『星のしるし』は不穏な傑作である! 豊崎由美
吉野朔実劇場/就寝時読書用電気スタンド 吉野朔実
ブックス・墨瓦蝋泥加/珍妙ブームの元祖!?ピエール・ロチの日本旅行記 宮田珠己
特集:タカタマ対談リターンズ!
高野秀行vs宮田珠己
☆辺境作家と外出作家が、関東の清流・那珂川をカヌー漕ぎ漕ぎ下りつつ、旅、趣味、仕事もろもろを語り合う突発対談なのだ!
『都筑道夫ポケミス全解説』がついに出るぞ 小森 収
日本ロック出版事始 藤脇邦夫
ノンフィクション、恐るべし 鏡明
南の話/凱旋する犬たち 青山南
新刊めったくたガイド
巻措く能わずの傑作『ミレニアム』を読むべし! 三橋曉
新進作家が書く印象深い移民の物語 山崎まどか
本年度国内SFベストワン候補が早くも登場! 大森望
『約束の地』は今こそ読むべき物語である 宇田川拓也
田中慎弥の男子純文学で呵々大笑! アライユキコ
『そこにシワがあるから』に、金のアイロン賞を贈ります! 金子のぶお
タイムマシン的装置付青春小説『船に乗れ』に引き込まれる 北上次郎
前代未聞のヘンテコミステリー『麗しのオルタンス』 穂井田直美
「いっぱいありそう」幻想と小さな本屋のやれること 伊野尾宏之
福音館の新叢書〈ボクラノSF〉スタート! 山岸真
超絶アバウトな『野宿野郎』があっぱれだ! 柴口育子
「天国と地獄のスプーン」のルーツを探せ! 風野春樹
吾輩はシャノアール kashiba@猟奇の鉄人
“数学の詩人”岡潔の渾身の評伝 渡邊十絲子
幕末の探検家松浦武四郎の四国お遍路記 川上賢一
坪内祐三の読書日記/早稲田大学中央図書館特別資料室は宝の山だった 坪内祐三
ミーツへの道/下町地方論 江 弘毅
よさこい少女マンガ格闘記/本、三味線、弓道、かるたの大当たり四連発! ビンゴ本郷
ヒーローたちの荒野/ゆったり変容していく音道貴子シリーズ 池上冬樹
自在眼鏡/広げて仰天、折り畳みカバーの使い方!?他
コラム/
・今月の畠中理恵子
・高倉美恵の本棚半ひねり
・荻原魚雷の飲んだり読んだり
高野秀行の辺境読書/魔境の異文化接近遭遇に感動! 高野秀行
岸和田DNA/父帰る 中場利一
オースター百%の『幻影の書』と本のスカート 円城 塔
〈セリ・ノワール〉五巻目の男 吉野 仁
いつもとちがう世界の見方を提示するSFの魔力 池澤春菜
スパイ大作戦もそこのけの『事件記者』 柳下毅一郎
掲載図書索引
続・棒パン日常/著者近影 穂村弘
三角窓口/柴田寿裕53歳はインドで何を考える!? 他
大竹聡の本のつまみ 大竹聡
「OUT」の弁護士的読み方 木村晋介
歩く旅ひとやすみ/山の手帳 沢野ひとし
今月のお話/言いたりなかった昨年の本当のベスト 椎名誠
後記