2009年3月 ソラマメぶんまわし号 No.309
新刊めったくたガイドは三橋曉が殺し屋コンラッドのたどる自分探しのスリリングな旅路の幕切れですっきりすれば、山崎まどかは深い思いに貫かれたB・シュリンクの最新長編を堪能。大森望が還暦ギブスンの華麗な筆さばきにうっとりすれば、宇多川拓也は道尾秀介の新境地『鬼の足音』を必読と絶賛! アライユキコが中島京子の予想を裏切る肩透かしにニヤっとはまれば、金子のぶおは過酷な時代を生きのびた人間の生々しい証言に平伏。そして北上次郎は時代小説の新星、矢野隆の構成とテンポにうまい、と舌を巻いて、ついでに『ディック・フランシスの競馬人生』の日本語版を切望。詳しくは本誌16ページを開いてみよう!
今月のゲストは倉橋由美子の後輩たちに文学について語る古屋美登里。二年前から明治大学商学部で始めた外国文学の授業を誌上公開する不連続連載の第一回目だ。さあ、どんな授業をしているのか、注目してくれぃ! そして「世界の魔窟から」はタワーマンションの最上階のリビングの壁一面を本棚にした男が登場。さらに書かない作家が気になる吉野朔実と読んでいない本を堂々と語る円城塔がバートルビーでバッティング。オバマにゼルダにトレーシー、亀和田武が馬事文化賞を受賞しても、次号は本当に出るのか!?と危ぶまれているのか、発売日の電話問い合わせが連日殺到する今日この頃。ふふふ。友よ、心配には及ばぬ、3月号もちゃ〜んと出るのだ! さあ、一家に一冊、本の雑誌3月号をまずは買ってくれぇ!
目次
今月の一冊
吉野朔実劇場/書かない作家達 吉野朔実
こんな授業をしています/倉橋由美子の後輩たちに文学について語る 古屋美登里
世界の魔窟から/タワーマンション最上階リビングの壁一面を本棚にした男
ヒーローたちの荒野/風景と心情を重ねる結城昌治 池上冬樹
特集:史上最強の姑を探せ!
姑の道は善意で舗装されている!? 大矢博子
神様の姑がイヤすぎだ! 高倉美恵
最強妄想姑・精Gの母を見よ! ミミ中野
読者アンケート/この姑がすごい!
トヨザキ社長の「寄らば斬る!」/ケモノバカにはたまらん奇想小説 豊崎由美
ブックス・墨瓦蝋泥加/ちゅど〜ん!連発の東西中世性愛事情 宮田珠己
オバマと「ゲット スマート」 鏡明
南の話/ゼルダ、小さくなれ! 青山南
サッカーストーリーズ/芝生の広場 はらだみずき
新刊めったくたガイド
殺し屋コンラッドの辿る自分探しのスリリングな旅路 三橋曉
深い思いに貫かれたB・シュリンクの最新長編 山崎まどか
還暦ギブスンの華麗な筆さばきにうっとり 大森望
道尾秀介の新境地『鬼の跫音』を読むべし! 宇田川拓也
予想を裏切る中島京子の肩透かしがいいぞ アライユキコ
過酷な時代を生きのびた人間の生々しい証言 金子のぶお
時代小説界の新星矢野隆『蛇衆』に注目! 北上次郎
冬の夜に読みたい骨太ミステリー三連発! 穂井田直美
営業の松島さん 伊野尾宏之
C・ストロス必読の大傑作『アッチェレランド』 山岸真
チクチク地道な『キルトジャパン』でホッとひと息 柴口育子
科学万能イケイケのソ連発21世紀像 風野春樹
マークわんわん、犬の首 kashiba@猟奇の鉄人
『世界最大の虫食い算』のとんでもない熱情に引き込まれる 渡邊十絲子
奄美大島“スットゴレ”精神の痛快小説 川上賢一
坪内祐三の読書日記/浜本さん百万円までならなんとかするぜ 坪内祐三
ミーツへの道/脱「情報誌」志向 江 弘毅
高野秀行の辺境読書/マラソンをめぐるばかばかしいような、深いような話 高野秀行
自在眼鏡/亀和田武が馬事文化賞を受賞したぞ!他
コラム・今月の畠中理恵子/高倉美恵の本棚半ひねり/荻原魚雷の飲んだり読んだり
岸和田DNA/千尋の谷よりの帰還 中場利一
日本SF戦後出版史/ペーパーバック時代到来の巻 高橋良平
読んでいない本を語る方法と「特性のない本」 円城 塔
非情を見据えるトレーシーの〈ハードボイルド〉 吉野 仁
現代の魔女!?ちょっぴり意地悪なDWJの魅力。 池澤春菜
中田耕治の実録犯罪研究 柳下毅一郎
掲載図書索引
続・棒パン日常/記憶 穂村弘
三角窓口/無人島へ持っていくべき一冊は何だ!? 他
大竹聡の本のつまみ 大竹聡
「判決の誤差」の弁護士的読み方 木村晋介
歩く旅ひとやすみ/アンテナの家 沢野ひとし
今月のお話/沖縄限定雑談 椎名誠
後記