2010年10月 さらばモヤシソバ号 No.328
新刊めったくたガイドは、三橋曉が稀代のストーリーテラーの青春文学にぐりぐりの五つ星を打てば、山崎まどかは個性派作家S・T・ウォーナーの『フォーチュン氏の楽園』にワクワク。大森望が小川一水の歴史的傑作『天冥の標』シリーズを見逃すな!と声高に訴えれば、宇田川拓也は仕掛け師・七河迦南の豪快な背負い投げを見よ!と返し技。アライユキコが新人・窪美澄のコスプレ性愛小説『ふがいない僕は空を見た』にどっぷりはまれば、金子のぶおは野外フェスと新宿の間に『ヒップ』という大著で補助線を引いて、おお、引かれたおじさんは『引かれ者でござい』を素晴らしいと大絶賛だ! シリーズ第一作の『つばくろ越え』にまったく触れなかったおじさんとは誰か。46ページを開いて確認してくれぃ(ってバレバレ?)。
今月のゲストはロンドン在住の京都評論家・入江敦彦。イギリスで本を出すために必要な条件とは何か。驚愕の契約内容を披露する、デブ必読のコラムだ。そして「図書カード三万円使い放題!」は桜庭一樹。真夏の新宿紀伊國屋書店本店まで徒歩でやってきた若き直木賞作家がお持ち帰りした本を、さあ、ご覧あれ。さらに今月は、シンポ教授の温故知新インタビューに新潮社の現役バリバリ編集者が登場。〈新潮ミステリー倶楽部〉船戸与一『蝦夷地別件』に隠された指紋の謎をいま明かすのだ。さらにさらに青土社営業部・榎本周平27歳が2010年出版界に期待する人々に登場すれば、連載終了からひと息もつかず、走り続ける高野秀行が今度はなんとサハラ・マラソンに挑戦! 30年振りの引っ越しにチャレンジする鏡明は、はたして魔窟からの脱却なるのか! というわけで(どういうわけだ)、J太郎氏が新宿から自転車を漕いできても、もう大丈夫!の秋がきて、本の雑誌10月号も、読書の秋万全号なのだあ!
目次
今月の一冊
トヨザキ社長の「寄らば斬る!」/子供の頃の自分とつながる小説 豊崎由美
図書カード三万円使い放題!/魔都新宿で極悪パワー炸裂!? 桜庭一樹
英国痩身出版事情控 入江敦彦
特集:世界の魔窟からスペシャル
仰天取材/杉作さんちに遊びに行こう!
魔窟の解消法 荻原魚雷
バベルの図書館への道 円城 塔
機能性魔窟 神谷竜介
床板に忍び寄る危機 林 カケ子
九十九・九九平米の楽園 松坂 健
読者アンケート/我が家の魔窟自慢!
ブックス・墨瓦蝋泥加/待ってましたのガイドブック三昧 宮田珠己
佐藤誠一郎インタビュー/船戸与一『蝦夷地別件』に残された指紋の謎 新保博久
絲的モノ道具/インターホンでピッチャー炎上 絲山秋子
ヒーローたちの荒野/『キッスで殺せ』結末の変更 池上冬樹
黒豚革の手帖/さっくり捨てたもの 内澤旬子
新刊めったくたガイド
稀代のストーリーテラーの青春文学に五つ星だ! 三橋曉
個性派作家S・T・ウォーナーの『フォーチュン氏の楽園』 山崎まどか
小川一水の歴史的傑作製作快調!『天冥の標』シリーズを見逃すな 大森望
仕掛師・七河迦南の豪快な背負い投げを見よ! 宇田川拓也
新人・窪美澄のコスプレ性愛小説『ふがいない僕は空を見た』 アライユキコ
野外フェスと新宿の間に『ヒップ』という大著で補助線を引く! 金子のぶお
シミタツ流股旅小説『引かれ者でござい』がいいぞ! 北上次郎
心に響くパレツキーのエッセイ 穂井田直美
路地裏の散歩者 伊野尾宏之
片理誠の電脳世界旅物語『エンドレス・ガーデン』 山岸真
後先考えず古書目録に溺れる 荻原魚雷
SF作家と生物学者の発想きらめくおしゃべり 渡邊十絲子
女性だけで作られた沖縄遊郭の真実 石川春菜
破壊力抜群リアルでホットな医療マンガ 日風野春樹
オビミシュランM・オビスピエール
実録エンタメ・ノンフ人生/世にも奇妙なマラソン大会 (1) 高野秀行
先々月号のハミ出しは私が書いたのではありません 坪内祐三
30年の本の山 鏡明
南の話/どこがメキシコ? 青山南
2010年出版界に期待する人々/青土社営業部榎本周平氏の巻
サッカーストーリーズ/虹 はらだみずき
レムの欠番を埋めるのは 円城 塔
フィルム・ノワールの傑作古典「過去を逃れて」 吉野 仁
国内SFアンソロジーで喰わず嫌い卒業! 池澤春菜
知性と冷たさが同居する犯罪回顧録 柳下毅一郎
今月書いた人
今月本の雑誌に遊びに来た人
掲載図書索引
続・棒パン日常/男本と女本 穂村弘
三角窓口/“全日本クランキィ・ファンクラブ”結成! 他
小学4年生書評家ゆきちゃんの読んで育つ ゆきちゃん
キムラ弁護士小説を書く/町田秀子という女(その10) 木村晋介
歩く旅ひとやすみ/秋の日の釣瓶落とし 沢野ひとし
今月のお話/猛暑がなんだ、カラスがなんだ! 椎名誠
後記