2010年2月 トンコツ地団駄号 No.320
新刊めったくたガイドは三橋曉がファニィな魅力たっぷりの短編集『壊れやすいもの』を堪能すれば、山崎まどかはたった一晩のベッドで繰り広げられる滑稽でせつない物語を絶賛。大森望が"新人"東浩紀の本格SF『クォンタム・ファミリーズ』にお見それしましたと頭を下げれば、宇田川拓也はぐいぐい進化する門井慶喜の新作『天才までの距離』をぐいぐい一気読み! アライユキコがことばを探してあがく大島真寿美作品に激しく同意すれば、金子のぶおは共産趣味&平屋生活で時期外れの共産主義社会に突入。そして北上次郎は迫力満点のケイリン小説『あねチャリ』を、いやあ読ませるとイチオシだ! さあ、『セカンドウィンド』も合わせて自転車小説の世界にどーんと飛び込んでみよう!
今月は2010年読書の旅にふさわしい初春企画が目白押し。まずは日本のミステリー・シーンを創った稀代の編集者にシンポ教授が聞く温故知新インタビュー。今回登場するのは、船戸与一、志水辰夫の作家デビューのきっかけをつくった講談社の慧眼編集者・白川充氏。ベ平連創設メンバーにして、週刊現代編集部から仮病を使って文芸編集部に異動、文庫編集部で「大衆文学館」を創刊した生涯一編集者の文芸魂に注目だ! そして、猪木信者・石橋毅史、プロレス古老・坪内祐三、本屋プロレス・伊野尾宏之が全日主義者・高野秀行(ジョー高野)をレフリーにプロレス本について語りまくるバトルロイヤル座談会を独占掲載。フリッツ・フォン・エリックの鉄の爪が胃袋を襲い、三沢光晴のエルボーバットが飛び交う60分一本勝負を、いざ、読んでくれぃ! さらに篠田節子が挑戦する「図書カード3万円使い放題!」に田口俊樹による「翻訳ミステリー大賞」からの報告、柴口育子が韓国グルメ本の謎に迫るコラムまであって、福袋もまいったの出し惜しみゼロ! 松が明けたら、読書三昧。おこたのお供に本の雑誌2月号を本年もよろしく!
目次
今月の一冊
白川充ロングインタビュー/梶山季之から船戸与一・志水辰夫、そして〈大衆文学館〉
新保博久
トヨザキ社長の「寄らば斬る!」/毒気炸裂の挑発的受賞作なのだ! 豊崎由美
吉野朔実劇場/取り返しのつかない失敗 吉野朔実
特集:読書手帳をつけよう!
読書ノートの敵は酒だ! 浜田公子
読者アンケート/こんな読書手帳が欲しい!
本の雑誌読者手帳開発会議
読書手帳拝見/古幡瑞穂・鏡 明・米光一成・花本 武
図書カード三万円使い放題! 篠田節子
プロレス本60分一本勝負座談会 石橋毅史・伊野尾宏之・坪内祐三・高野秀行
ブックス・墨瓦蝋泥加/非常識てんこ盛りの深海世界にレッツゴー! 宮田珠己
こんな授業をしています/友情と裏切り 古屋美登里
翻訳ミステリー大賞第一次投票結果発表! 田口俊樹
文学賞記者日記
ヒーローたちの荒野/レナード「決断の三時十分」のサスペンス 池上冬樹
新刊めったくたガイド
ファニィな魅力たっぷりの短編集『壊れやすいもの』を堪能! 三橋曉
滑稽でせつないたった一夜の物語 山崎まどか
“新人”東浩紀の本格SF『クォンタム・ファミリーズ』 大森望
ぐいぐい進化する門井慶喜の新作『天才までの距離』 宇田川拓也
ことばを探してあがく大島作品に激しく同意する アライユキコ
共産趣味&平屋生活! ノスタル爺の未来はどっちだ? 金子のぶお
迫力満点のケイリン小説『あねチャリ』がいいぞ! 北上次郎
F・リンが描くちょっと異質な台北の街 穂井田直美
ヘノオ書店の夜 伊野尾宏之
SF界最高齢合作『最終定理』登場! 山岸真
武田泰淳の散歩シリーズ 荻原魚雷
おもしろさ三重丸の『細胞発見物語』 渡邊十絲子
音楽と物語を丁寧に綴る『福岡音楽散歩』 満薗春菜
ティム・パワーズ復活を切望する! 風野春樹
オビミシュランM・オビスピエール
坪内祐三の読書日記/琴欧洲と肩を並らべた青馬の「百不思議」を私は支持します 坪内祐三
ミーツへの道/祭明けの救急車 江 弘毅
韓国グルメ本の謎 柴口育子
高野秀行の辺境読書/私は「日本人作家」だった! 高野秀行
世界の果てのホテル 鏡明
南の話/ごきげんよう、図書館 青山南
サッカーストーリーズ/ムクドリ はらだみずき
多幸感に満ちた文字の連なり 円城 塔
ゾゾブラの祭りとさまよえる主人公 吉野 仁
旅立ちだ。悩んでる暇などない…。決死のサバイバル 池澤春菜
コミック作家ムーアの魔術の書 柳下毅一郎
今月書いた人
今月本の雑誌に遊びに来た人
掲載図書索引
続・棒パン日常/再読の謎 穂村弘
三角窓口/中場利一パパにピッタリの絵本はこれだ! 他
小学3年生書評家ゆきちゃんの読んで育つ ゆきちゃん
キムラ弁護士小説を書く/町田秀子という女(その2) 木村晋介
歩く旅/金沢慕情 沢野ひとし
今月のお話/組写真を動かしたい。 椎名誠
後記