2010年6月 梅干し反撃号 No.324
新刊めったくたガイドは三橋暁が6冊すべてにお奨め印を打って海外ミステリー大攻勢を寿げば、山崎まどかはキャンパス・ノヴェルの代名詞デイヴィッド・ロッジの新作で名人芸を堪能。大森望が阿部和重の超能力SF(?)『ピストルズ』に爆笑すれば、宇田川拓也は真に誇り高き本格ミステリー『伽羅の橋』の登場に拍手。アライユキコが林真理子『下流の宴』で気持ちいいほどの通俗をマンキツすれば、金子のぶおは「シェー!」「どづぞ」から、壮絶波乱の人生に注目。そして北上次郎は中学生小説のイメージをぶち破る香坂直『ストロベリー・ブルー』を素晴らしいと絶賛。この作家のターニング・ポイントになる作品だと断言するおじさんのイチオシに注目してくれぃ!
今月の「図書カード3万円使い放題!」は編集長・椎名誠が登場。3万円も出して大丈夫なのか、本の雑誌!と言いつつ、7,403円の超過分を自腹で払い、買いまくった17冊。この企画毎月連載にしてもらいたいなあ、と本音炸裂の編集長が買った本は、さあ、なんだ!? そして今月は炎の営業が「2010年カバー掛けの旅」で、3か月間の旅の収穫をレポート。書店カバーはいまどうなっておるのかを徹底検証するのだ。さらに白水社カレー部の小林圭司が30年(?)の研究成果を本とカレーとして発表すれば、古屋美登里は『グレート・ギャツビー』の授業の成果を報告。文学賞記者が吉川英治賞、本屋大賞と冲方丁スペシャルの2ページなら、江弘毅「ミーツへの道」はついに怒濤の最終回だ。はらだみずき「サッカーストーリーズ」のあっと驚く展開に心奪われているうちに、気がついたら、本の雑誌は、なんと先月号が35周年記念号。つまり今月は35周年とひと月記念の通常号なのだあああ!
目次
今月の一冊
図書カード三万円使い放題!/この企画毎月連載にしてもらいたいなあ 椎名 誠
吉野朔実劇場/いつか猫を飼う日まで 吉野朔実
絲的モノ道具/おばちゃんと元ヤン 絲山秋子
高野秀行の辺境読書/エンタメ・ノンフ理事長、中島義道の「奇書」 高野秀行
特集:古本お宝鑑定団!
みんなで古書現世へ行こう!
古本○○話 中嶋大介
古本屋になったわけは忘れたが 戸川昌士
読者アンケート/私の古本体験!
ブックス・墨瓦蝋泥加/なんかダメだったんじゃ?な武士の実態 宮田珠己
炎の営業レポート/二〇一〇年カバー掛けの旅! 杉江由次
本とカレー 小林圭司
語りに技ありのコミックノベル『釘食い男』 豊﨑由美
黒豚革の手帖/カタストロフ到来 内澤旬子
文学賞記者日記
新刊めったくたガイド
六冊すべてお奨め印の海外ミステリー大攻勢だ! 三橋曉
名人芸全開 ロッジ『ベイツ教授の受難』 山崎まどか
爆笑ネタ満載の超能力SF(?)阿部和重『ピストルズ』がいいぞ! 大森望
誇り高き本格ミステリ『伽羅の橋』を見よ! 宇田川拓也
気持ちいいほど俗っぽい林真理子『下流の宴』が凄い! アライユキコ
「シェー!」「どづぞ」に発して、壮絶波瀾の人生はやりなおせる? 金子のぶお
中学生小説のイメージを打ち破る『ストロベリー・ブルー』 北上次郎
名探偵“犬”チェットにぞっこん参った! 穂井田直美
ソウルメイト 伊野尾宏之
ディック十七年半ぶりの長編『未来医師』が出るぞ! 山岸真
健康にいい二千年前のエッセイ 荻原魚雷
ノイズきらめく杉浦デザインに身もだえする! 渡邊十絲子
座礁寸前?!札幌のアザラシを救出せよ! 石川春菜
赤ん坊の言語をめぐるミステリー『こどもの国の殺人者』 風野春樹
オビミシュラン M・オビスピエール
こんな授業をしています/手に入れられなかった「夢」の物語 古屋美登里
坪内祐三の読書日記/『濹東綺譚』の「非賣品」が四千五百円だって! 坪内祐三
ミーツへの道/さらばミーツ 江 弘毅
ヒーローたちの荒野/『サブウェイ123』の価値観の逆転 池上冬樹
二重写しの街 鏡明
南の話/いつかクマになる日 青山南
サッカーストーリーズ/卒業アルバム② はらだみずき
長い小説が書けない理由!? 円城 塔
深層心理に迫る米国産クライム・ノヴェル 吉野 仁
性的倒錯の踏み絵『ドクター・アダー』にレッツチャレンジ! 池澤春菜
ノックス先生もびっくりのキーラー・ミステリー 柳下毅一郎
今月書いた人
掲載図書索引
続・棒パン日常/アリかキリギリス 穂村弘
三角窓口/私がバームクーヘンにウッとなる理由! 他
小学4年生書評家ゆきちゃんの読んで育つ ゆきちゃん
キムラ弁護士小説を書く/町田秀子という女(その6) 木村晋介
歩く旅/坪庭の達人 沢野ひとし
今月のお話/三丁目のファッションリーダー 椎名誠
後記