2011年10月 お月見あぶり出し号 No.340
新刊めったくたガイドは、杉江松恋が狂犬エルロイの暗黒三部作の完結を寿げば、鴻巣友季子は9・11をモチーフにした『ネザーランド』を静かな情熱を秘めた傑作と絶賛。大森望が秀作SF成長小説『約束の方舟』をおすすめすれば、酒井貞道は太田忠司『無伴奏』が紡ぐ一瞬のハーモニーを堪能。榎本文昌が書店トークから人生相談まで、小説家たちの対談本が面白い!と断言すれば、内田剛は一生モノの座右の書『世界の夢の本屋さん』を撫で撫で。
そして北上次郎は何も起きない物語『ポニーテール』をイチ押し。いまさら重松清の小説に感心してはいけないが、といいつつホントに、うまい、とダメ押しだ。さあ、ここにいるのは誰か、確認してみよう!
今月は「図書カード三万円使い放題!」に堀江敏幸が登場! クイズダービーとハンバーグのにおいから始まる高田馬場で買った15冊は66ページからスタートだ。そして、ただいま中央線の古本者たちの間で話題沸騰の古本屋店主が明かす「古書コンコ堂のできるまで」に、ロック漫筆家・安田謙一の「お世話になった音楽本」とゲストも強力。さらに間室道子が小川洋子のつながりあう10冊を紹介すれば、入江敦彦は見栄講座で羞恥プレイ!? おなじみおじさん三人組は、シンポ教授からの救援依頼を受け、書庫復旧作業隊に変身。罹災した教授の書庫で本棚を押していたかと思ったら、すっきり真っ白に整理された石田衣良氏の53畳の書斎でチェロの音に耳を澄ましていたりして......おお、復旧作業はどうなるのか......ハラハラドキドの顛末を7ページのスペシャル拡大版で独占掲載! おやつはなくても『三時のわたし』、生ビール半額ナイターで部数八千部増は間違いなし!の本の雑誌10月号で、どちらさんも読書の秋をスタートさせよう!
目次
今月の一冊
図書カード三万円使い放題!/息は足りていた 堀江敏幸
「古書コンコ堂」のできるまで 天野智行
黒豚革の手帖/捨てまくり人生第一歩 内澤旬子
活字に溺れる者/神話なき時代の人生設計 荻原魚雷
特集:平成時代小説八百八町!
おすすめ時代小説対談 青木逸美vs東えりか
私流時代小説相関図 青木逸美
文庫書き下し時代小説はやめられない! 鏡 明
ワン・アンド・オンリーの荒山伝奇を見逃すな! 風野春樹
ややこしい男たちの勇姿に酔う! 大矢博子
書き下ろし時代小説文庫編集者匿名座談会
縄田の言葉 東高円寺好夫
読者アンケート/この小説を時代小説にしてくれえ!
ブックス・墨瓦蝋泥加/おそるべしヘンな植物の世界 宮田珠己
おじさん三人組シンポ教授邸&石田衣良邸に行く!
トヨザキ社長の「寄らば斬る!」/インテリダメ男の皮肉な結末 豊﨑由美
お世話になった音楽本 安田謙一
新刊めったくたガイド
狂犬エルロイの暗黒三部作ついに完結! 杉江松恋
静かな情熱を秘めた傑作『ネザーランド』 鴻巣友季子
秀作SF成長小説『約束の方舟』をおすすめ! 大森望
太田忠司『無伴奏』が紡ぐ一瞬のハーモニー 酒井貞道
書店トークから人生相談まで対談本が面白い! 榎本文昌
一生モノの座右の書『世界の夢の本屋さん』 内田剛
何も起きない物語 重松清『ポニーテール』がいい 北上次郎
爽やかポケミスで小さな秋見つけた 穂井田直美
賢い王子の幸運な偶然(続) 大井潤太郎
一晩語り明かせるプロのデータ分析 渡邊十絲子
東欧ファンタスチカのアンソロジー刊行! 山岸真
お嬢様ご用達読本 浅生ハルミン
できたてホヤホヤのアホアホ本 中嶋大介
秋田・無明舎出版 安倍甲のアンバイ攻撃 舘浦あざらし
オビミシュラン M・オビスピエール
坪内祐三の読書日記/玉木正之の八百長批判こそ八百長だね 坪内祐三
未来にとりつかれた作家 鏡明
南の話/愉快なゴシップが(きっと)いっぱい 青山南
新刊クロスレビュー東 えりか・林 カケ子・松井ゆかり・浜本 茂
ベストセラー温故知新/『見栄講座』と羞恥プレイ 入江敦彦
見えない都市 円城 塔
「蘇った」記憶は本物か? 風野春樹
『ゴーストハント』で見えない恐怖を満喫! 池澤春菜
バラードを魅惑した孤高の医学書 柳下毅一郎
今月書いた人
今月本の雑誌に遊びに来た人
掲載図書索引
続・棒パン日常/夏休み 穂村弘
三角窓口/江戸川乱歩はニッポンのビートルズだ! 他
ミミ中野の「これいただくわ」 ミミ中野
キムラ弁護士小説に学ぶ/『芝浜謎噺』を読んで 木村晋介
歩く旅/黄昏の北京 沢野ひとし
小川洋子の10冊/つながりあう作品たち 間室道子
後記