2011年4月 膝小僧赤チン号 No.334
新刊めったくたガイドは杉江松恋が前置き抜きで『死刑囚』を読め!とぐりぐりに推せば、山崎まどかは混沌に満ちた世紀末パリの姿にどっぷり。大森望が堂々の巨大ロボットSF『ダイナミックフィギュア』を活字でなければ描き切れない傑作と絶賛すれば、酒井貞道は『連続殺人鬼カエル男』の闇鍋っぷりを大歓迎。榎本文昌が突き抜けて明るい今村夏子の語りに「あみ子に会わせてくれぃ」と懇願すれば、内田剛は今月も偏重っぷり全開ラインナップで水の都に想像力無限大。そして北上次郎は圧倒的な執念で追う、俳人・鈴木しづ子の生涯にまいった、と平伏。読み始めるとやめられなくなる奇縁のノンフィクションに、あなたも挑戦してみよう!
そして今月は、古書現世の向井透史が、出た瞬間から古本屋の棚に似合う本を紹介すれば、大橋博之が武部本一郎の二組の『おやゆびひめ』の謎を体と金を張って検証。藤田香織が苦さが美味い!「女子のイヤ汁漏れまくり系小説」をおススメしたかと思えば、入江敦彦の「ベストセラー温故知新」がスタート!とゲスト陣も超充実。「ベストセラー温故知新」の第1回は81年の超ベストセラー『なんとなく、クリスタル』だ。30年の時を超え、ロンドンで今、なんクリを読むと、さあ、どうなる? さらに今月は「図書カード三万円使い放題!」に吉野朔実が登場。青山ブックセンターでリアルなお買い物ゲームに熱中したかと思うと、大矢博子は北原亞以子の10冊で「胸に沁みる市井の人々の名セリフ」を堪能。読者アンケートが「新入社員に贈る本」なら、坪内先生は「名編集長養成虎の穴」で新米編集長・浜本に、なんと愛人のススメだ! そしておなじみおじさん三人組は天皇陛下と同日同時刻に国会図書館に乱入! さあ、陛下と接近遭遇なったのか!? 沢野ひとし絶賛の麻婆豆腐168円と国会丼500円の味比べをしながら、本の雑誌4月号をいざ、読むのだあ!
目次
今月の一冊
トヨザキ社長の「寄らば斬る!」/動機なき世界のミステリー 豊崎由美
図書カード三万円使い放題!/リアルお買い物ゲーム 吉野朔実
『なんクリ』と『なんとなく、クリスタル』のこと 入江敦彦
名編集長養成虎の穴/名編集長たるもの愛人の一人や二人は持て! 坪内祐三・浜本 茂
特集:一人出版社の時代がきたぞ!
対談/一人で出版社をやるなら吉祥寺だ! 島田潤一郎vs文 弘樹
群像社・島田進矢氏インタビュー
コラム/一人出版社の今昔
ひとり出版社のできるまで 谷川 茂
殉死・失踪・病死──ひとり出版社の終わりかた 岩田 博
上海の印刷所で“自分出版”する! tamioo
もし一人出版社を起こすとしたら出したい本 土屋和夫/ 青木大輔
読者アンケート/私の冒険・探検本!
黒豚革の手帖/くるっくるの人 内澤旬子
活字に溺れる者/ワーク・ライフ・アンバランス 荻原魚雷
ブックス・墨瓦蝋泥加/言葉で説明できない奇跡的名著 宮田珠己
私がすすめる一冊
出た瞬間から古本屋の棚に似合う本 向井透史
武部本一郎の二組の『おやゆびひめ』のなぞ。 大橋博之
新刊めったくたガイド
前置き抜きで『死刑囚』を読め! 杉江松恋
混沌に満ちた世紀末パリの姿 山崎まどか
堂々の巨大ロボットSF『ダイナミックフィギュア』 大森望
『連続殺人鬼カエル男』の闇鍋っぷりを歓迎 酒井貞道
突き抜けて明るい今村夏子の語り 榎本文昌
地図と歴史で水の都が蘇る! 内田剛
圧倒的な執念で追う俳人・鈴木しづ子の生涯 北上次郎
熱意あふれるデビュー作『二流小説家』 穂井田直美
書店を追い込むのは何者か 大井潤太郎
「常識」がどんどん書き換わる人類進化の七〇〇万年 渡邊十絲子
気骨あふれるドクトロウの力作 山岸真
怪猫チナガンバー 浅生ハルミン
一冊の本をめぐる冒険 中嶋大介
日本最南端雑誌「ピヌムトゥ」 舘浦あざらし
オビミシュラン M・オビスピエール
苦さが美味い!「女子のイヤ汁漏れまくり系小説」はこれだ! 藤田香織
読者アンケート/新入社員に贈る本
『人間通になる読書術』を二百円で二冊も見つけてしまったよ 坪内祐三
レバノンで雪 鏡明
南の話/目をさますと、まだ 青山南
新刊クロスレビュー 東 えりか・林 カケ子・松井ゆかり・浜本 茂
代替医療に挑む議論の書 円城 塔
超絶エンタテインメント〈ミストボーン〉に燃える! 風野春樹
キラキラ帯でも怖くない! 池澤春菜
現実と幻想のはざまを歩く逃亡記 柳下毅一郎
今月書いた人
今月本の雑誌に遊びに来た人
掲載図書索引
続・棒パン日常/探求期間 穂村弘
三角窓口/ナチュラルで警察マークをくらう職業!? 他
ミミ中野の「これいただくわ」 ミミ中野
キムラ弁護士小説に学ぶ/『きことわ』を読んで 木村晋介
歩く旅/北京の麻婆豆腐 沢野ひとし
北原亞以子の10冊/胸に沁みる市井の人々の名セリフ 大矢博子
おじさん三人組国会丼に挑む!
後記