『猪変』

著者:中国新聞取材班

定価1728円(税込)

2015年2月4日発売

イノシシは、そこにいる。

 

山を降り里へ、海を泳いで島へ、人を恐れず街へ──

収穫前夜の田畑にイノシシが迫る! 人獣接近した暮らしのなかでどうすればいいのか?

瀬戸内海、中国山地からポーランド、フランスまで、共生の道を探るルポルタージュ。

■四六判並製 ■248ページ(カラー8ページ)

【目次】

はじめに   3

第一章  島で
島を越える  海を渡る  18
増え過ぎ越境「疫病神め」  18/風評で油断、対策後手に  20/禁断の実 22/仕置き人、百五十頭を半年で捕獲  24/計算違い  26/泥縄のツケ  29/たい肥・食肉、利用模索  31/恋の波路か窮余の策か  33/歴史的経緯  35/「殺生、嫌ですよ」島の心構え  37
データで見る中国地方のイノシシ事情  39
イノシシ対策費七億六千四百八十九万円  中国地方の自治体アンケート  43
コラム◉「山里荒れ、里に下る」  41/「肉の解体・販売  島根県美都に施設」  49

第二章  山里で
山里の獣道  52
人影薄れ「わがもの顔」  52/実り横取り  耕作放棄も  54/中国地方  十年で狩猟免許取得二・五倍に  56/禁猟の楽園  58/一頭十万円  盆地の町、猟果上がらず  60
果てなき模索  63
移住先の田畑で影再び  63/主客転倒  集落防衛「人がおりに」  65/牛を放牧  獣害消えた  67/根絶やしはかり多額の予算  69
行政の試み  保護と管理、調和探る  74
調査研究の拠点設置  島根県  74/捕獲増えても減らぬ害  76/被害額算定基準なし  データに基づく検証必要  77/「踏み荒らし」面積のデジカメ測定法研究  78
コラム◉「自衛手段は"わな"が有効」  56/「集落ぐるり"万里の長城"」  71

第三章 欧州事情
狩猟の伝統と生態系  82
ハイシート猟  「国民の財産」待ち伏せ  82/敵役は人間  84/捕食者  保護獣に  86/「知恵比べ」根強い人気  89
獣害対策  フランスの場合  92
森に餌まき「封じ込め」  92/猟ビジネス  地域ほくほく  94
『イノシシ博士』奮闘中  中国地方で研究重ねる五人  101
コラム◉「野生を支配、気骨の狩人  農家への獣害補償も負担」  90

第四章 合縁奇縁
歴史にみるイノシシとの共存  110
牙も毛も余さず工芸品に  110/人と獣の歴史刻む傷  112/嘆き節  畏敬の心にじむ万葉歌  114
中国地方・地元に残るイノシシ伝  118
恩獣  「神仏の使い」  118/薬食い  肉食禁忌の例外  120/猪の字、名字や地名  親しみ刻む  122/忘れまい、命奪う重み  中国地方で供養の動き  124/神事に息づく共存の気風  125
コラム◉「多才で繊細  知力も自慢」  130

第五章 食らう
げなげな話  138
夏肉も逸品に  138/法の網  商品化に「待った」  140/北海道・エゾシカ協会に学ぶ  ハンター育成や流通ルート開拓  142/エゾシカを食卓へ❶  「害獣も資源」─協会発足  146/エゾジカを食卓へ❷  黒字転換へ運営試練  149
猪肉を商品に  資源化への取り組み  151
特産狙い、珍味ラーメン 151/地域発  天然の味、全国に宅配  153/「厄介者」から名産に  155
ぼたん鍋の"主役"  158
追跡  猟師が直接、問屋や店へ  158/猪肉  食の安全管理  163
コラム◉「害獣一転、煮てよし、揚げてよし  中国地方で調理の試み」 166

第六章 人こそ天敵
街なかに馴染んでいく獣  172
野性奪う餌付けの罪  172/イノシシの街  素知らぬ顔、奇妙な「共存」  174/あの手この手  脱・獣害へ  182/しっぺ返し  里山乱す都市の食欲  184/農家支援に獣害ハイク  186
つづく試行錯誤  対策を担う決意  189
用心棒  放牧牛  189/剣が峰  農と集落守る自衛心  195
コラム◉「害獣対策、オオカミ浮上」 191
イノシシトリビア  199

終 章 「猪変」その後
獣害の世紀をむかえて  211
イノシシ「半減」作戦  212/伴走者たち  215/「現場」というやすり 219/災いを転じて  221/まず「守り」から  225/いまだに謎だらけ  229/人づくりが鍵  232

おわりに  237

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