チベット 万感の想いをこめて ふりあおぐ 風と光の大地
現在は中国領とされ、「消された国」となったチベットに20年以上も通い続けている渡辺一枝氏。そんな旅のなかで撮り続けてきた写真の中から「いつまでも残って欲しい」という情景をこの1冊にまとめています。
風が、チベットの人たちの願いを運びますようにと、私も祈ります。チベットに通い、通うほどになお魅かれてきた私です。国は消されても、そこには豊かな自然があり、自然と共に生きる人々の暮しには、古くから受け継がれてきた智恵がありました。けれどもここ数年のチベットの変化はすさまじく、自然も、人々の生活も大きく変ってきています。私の見てきた光景も、やがて失われてゆくのだろうかと危惧しています。チベットの人達の悲願が届くまで、どうか失われずに残りますようにと、私は祈ります。(まえがきより)