なくしものを探しに
サブ・カルチュアのスピリットを求めて
日本のウエストコースト 神戸から現れ
時代の最良の精神たちを集めて 風のように来て風のように行ってしまった
「SUB」という名の最高にクールな雑誌があった
ハード・デイズ・ナイトを生きる全てのマガジン・フリークに贈る
ラディカル・エレガンスなノンフィクション
浅井愼平、かまやつひろし、草森紳一、谷川俊太郎、辻まこと、富士正晴、湯村輝彦、横尾忠則ら、豪華な執筆陣。
今も色褪せない画期的なエディトリアル・デザイン。
「ビートルズ・フォアエバー」「情報のカタログ」「ウエストコースト73」ほかの名特集。
1970年代の伝説的雑誌『SUB』と編集者・小島素治の仕事と波乱の生涯に、同時代を生きた人々の証言から迫り、「サブ・カルチュア」とは何かを問う。
【本文より】
その雑誌といつどこで出会ったのか、今となっては判然としない。自分でも雑誌を創ったり、イヴェントをオーガナイズし始めるひとつのきっかけになっているというのに! おそらく、一九九〇年か九一年あたりだったはずだ。いずれにせよ、何の知識も事前情報もなく、ふらっと入った古本屋で見つけた。
それは、『ユリイカ』や『現代詩手帖』のバックナンバーが並んだ棚に、一部だけ無造作に差し込まれていた。「季刊サブ 特集=ヒッピー・ラディカル・エレガンス〈花と革命〉1970創刊号」という背表紙の文字にハッと目を奪われた、その瞬間の衝撃だけを、今でも鮮明に記憶している。(「三十年後」より)
「『SUB』は、雑誌を作ってる人間にとって〈踏み絵〉だよ」
「『SUB』は踏み絵......」
「そう。踏める人もいると思うけど、ボクは踏めない。踏めるっていう人は、雑誌から何かを発信するという感覚がまったく無い人なんじゃない? (後略)」(「雑誌狂時代PART1」より)
「私はね、この商売やってて、二人、おもしろい人だなぁ、と思って付き合ったのが、一人は小島で、もう一人が杉山登志。『夢がないのに夢は売れない。嘘をついてもばれるものです』って遺書を残して自殺した日天(日本天然色映画)の天才CFディレクター。(中略)
ただ、登志さんの感性の煌きっていうのは、瞬発力。小島の感性の煌きっていうのは、妖刀なのね。で、登志さんの感性は万人にわかるんですよ。だけど、小島の感性の光り方は万人にはわからない。だから妖刀なんです。あの妖刀に切りつけられると、傷はでかいんですよね。自分も渦中に巻き込まれる」(「フール・オン・ザ・ヒル」より)
<著者略歴>
北沢夏音(きたざわ・なつを)
一九六二年東京都生まれ。ライター、編集者。上智大学文学部新聞学科卒業後、少年マンガ誌、ジャーナル誌等の編集に携わる。九二年、街と音楽をつなぐインディペンデント・マガジン『Bar-f-Out !』を創刊。同誌を離れ、マガジン・ライターとして独立後は、数多くの雑誌にサブ・カルチュアにまつわる文章を寄稿。Edit + Creative Writingを基本に、山口隆『叱り叱られ』(幻冬舎)の構成やCDボックス『人間万葉歌 阿久悠作詞集』三部作(いずれもビクターエンタテインメント)のブックレット編集・執筆等、多岐にわたる活動を続けている。本書が初の単著となる。
サブ・カルチュアのスピリットを求めて
日本のウエストコースト 神戸から現れ
時代の最良の精神たちを集めて 風のように来て風のように行ってしまった
「SUB」という名の最高にクールな雑誌があった
ハード・デイズ・ナイトを生きる全てのマガジン・フリークに贈る
ラディカル・エレガンスなノンフィクション
浅井愼平、かまやつひろし、草森紳一、谷川俊太郎、辻まこと、富士正晴、湯村輝彦、横尾忠則ら、豪華な執筆陣。
今も色褪せない画期的なエディトリアル・デザイン。
「ビートルズ・フォアエバー」「情報のカタログ」「ウエストコースト73」ほかの名特集。
1970年代の伝説的雑誌『SUB』と編集者・小島素治の仕事と波乱の生涯に、同時代を生きた人々の証言から迫り、「サブ・カルチュア」とは何かを問う。
【本文より】
その雑誌といつどこで出会ったのか、今となっては判然としない。自分でも雑誌を創ったり、イヴェントをオーガナイズし始めるひとつのきっかけになっているというのに! おそらく、一九九〇年か九一年あたりだったはずだ。いずれにせよ、何の知識も事前情報もなく、ふらっと入った古本屋で見つけた。
それは、『ユリイカ』や『現代詩手帖』のバックナンバーが並んだ棚に、一部だけ無造作に差し込まれていた。「季刊サブ 特集=ヒッピー・ラディカル・エレガンス〈花と革命〉1970創刊号」という背表紙の文字にハッと目を奪われた、その瞬間の衝撃だけを、今でも鮮明に記憶している。(「三十年後」より)
「『SUB』は、雑誌を作ってる人間にとって〈踏み絵〉だよ」
「『SUB』は踏み絵......」
「そう。踏める人もいると思うけど、ボクは踏めない。踏めるっていう人は、雑誌から何かを発信するという感覚がまったく無い人なんじゃない? (後略)」(「雑誌狂時代PART1」より)
「私はね、この商売やってて、二人、おもしろい人だなぁ、と思って付き合ったのが、一人は小島で、もう一人が杉山登志。『夢がないのに夢は売れない。嘘をついてもばれるものです』って遺書を残して自殺した日天(日本天然色映画)の天才CFディレクター。(中略)
ただ、登志さんの感性の煌きっていうのは、瞬発力。小島の感性の煌きっていうのは、妖刀なのね。で、登志さんの感性は万人にわかるんですよ。だけど、小島の感性の光り方は万人にはわからない。だから妖刀なんです。あの妖刀に切りつけられると、傷はでかいんですよね。自分も渦中に巻き込まれる」(「フール・オン・ザ・ヒル」より)
<著者略歴>
北沢夏音(きたざわ・なつを)
一九六二年東京都生まれ。ライター、編集者。上智大学文学部新聞学科卒業後、少年マンガ誌、ジャーナル誌等の編集に携わる。九二年、街と音楽をつなぐインディペンデント・マガジン『Bar-f-Out !』を創刊。同誌を離れ、マガジン・ライターとして独立後は、数多くの雑誌にサブ・カルチュアにまつわる文章を寄稿。Edit + Creative Writingを基本に、山口隆『叱り叱られ』(幻冬舎)の構成やCDボックス『人間万葉歌 阿久悠作詞集』三部作(いずれもビクターエンタテインメント)のブックレット編集・執筆等、多岐にわたる活動を続けている。本書が初の単著となる。