連載第5回 2月その2
2月11日(月)
新潮文庫「鹿鳴館」三島由紀夫の問い合わせ。調べたらどうも版切らしい。
この戯曲、私の出身高校の三年五組は文化祭に必ず「鹿鳴館」をすることになってたはずなんだが、彼らは今、どうしているのかしらん。
2月12日(火)
待望の芥川賞「猛スピードで母は」が入荷。しかし二刷だ。何故?
お客さんからも指摘有。全部、確認しても二刷ですぞ、お客様。
待望の野溝七生子の短編集(展望社)も到着。でかい、装丁地味。しかも二段組じゃないぞ。なんかこう、つまった感じを想像してたのでちょっとがっかり。愛蔵版というより研究書みたいです。
2月13日(水)
今日から全面的に文庫も担当。一人で気の済むまで売場を見るというのは不可能なので、当面の予定を立ててアルバイトさんらに指示をして・・と考え、目玉新刊に伴う平台移動やらフェア台やらの地図を作っていたら、ぞろぞろと発注しなければならないモノが出てきてしまった。ぎゃーと心の中で悲鳴を上げたつもりが周りにも聞こえたようで、皆、こころよく仕事を引き受けてくれる。(てる、と思う)しかし、文芸班のやってる日記フェアの選書はとても楽しそうでまかせっきりにしてるのが悔しい。まざりたいなぁ。
と、あちこちに気もそぞろでハタから見ればうかれて踊ってるくらいにしか見えないかも。
2月14日(木)
早川「SFが読みたい2002」が到着。ついでなのでメインのフェア台のファンタジーフェアも出しちゃえと空いてる手をあつめて総入れ替えを始める。商品入れ替えの際、一番の楽しみは新しく売り出す本をどう並べるかを考えるときなんですが、悲しい事に今は返品の指示出しが私の仕事。
大人になるってさみしいことだ。
あと、遅くなったが、新潮文庫のミステリー&サスペンスフェアも登場。怖いパンダがすべての帯についてます。台の一角が黒くてなんか出てきそう。
2月15日(金)
文庫の注文数の適正がよくわからず、悩みまくる。どれくらい数を確保しとかないといけないのかいちいち過去データを確認しててまだるっこしい。前に文庫担当だったとき、フェアでとった5冊のうち3冊うれたら小躍りしてたんだけど。「屍鬼」の追加って・・・。
あと難問発生、って私が悪いんだが、あまりの悪筆で指示書が解読できないバイト続出中。文芸チームがこつを教えてる模様。
すんません。なるべくメモ書きは渡さないようにします。これからはコンピュータも導入します。でも読んでください。どんなに難しいと思われる本も読める時があるように読めます。しかもない本を注文してくれとか売れる本は売れる場所に置いてくれとか書いてあるだけなんですから。
2月17日(日)
無理を言って休みを交替。
自由が丘の青山ブックセンター(またABCのイベントだ)の山崎まどかの会に参加。晶文社の「オードリーとフランソワーズ」発売記念の会でゲストが杉浦さやか(近著では二見書房の「マーマリング・トーク」)‘かわいいもの‘‘素敵なもの‘‘女子的なもの‘などに過剰に反応するくせに実は心の底から大切に思ってるかどうか怪しい私にとって‘乙女‘と言って憚らない山崎さんって一体・・・という下衆な興味で向かったのですが、簡単にノックアウト。
同世代の女の人が「ワンダー植草・甚一ランド」を模して(で、いいのかな?)本を作ったんですもの、ちょっと考えればわかろうってものでした。