連載第19回 7月その3
7月14日(日)
こけしの興奮がさめぬまま出勤。芸術書ボスをつかまえて「今、こけしが熱い!!」などと適当なことを進言。こけし本が並んでるのが見たいようと駄々をこねて困らせる。
7月16日(火)
六本木ランダムウォーク店に行ってみる。いつも自分の店にある本も違った顔に見え、ついつい購入。多分あの人が渡辺さんだ!と思いつつも挨拶できなかった私。この後、浜松町の談に行き、反省して帰る。ポップか~。
7月17日(水)
講談社『十五歳の遺言』アメリカのティーンの女の子がダメになってゆく課程の日記録。六月にどっかの新聞で紹介されてるのを見て気になっており、店につもうと注文したが「今、品切れ中」という微妙な返事のまま。
本日、店頭在庫の最後の一冊に問い合わせが入り、まじまじと眺めてるうちによからぬことを考えるが、潔くお客さんに売る。って当たり前ですね。
あと、夜は直木、芥川賞。インターネットのニュース速報(便利)で確認してからレジ前に受賞作を並べようと売場へ向かうが、もうお客さんが『生きる』の一刷チェックをして腕に抱えているのでびっくり。早い。この後、続々と初版の在庫問い合わせの電話が続く。
(余談)次の日の新聞記事を見ていたら、乙川氏は高校の先輩(大分離れてますが)と判明。ちょっとうれしかったです。そして、私が高校生だった時の江戸川乱歩賞受賞の人にも先輩の人がいたぞと思い出したので、調べてみたら、それは真保裕一さんだったのでした。フガー(鼻息荒くして、単純)。
7月某日
「タッキー環境ビデオ」と言うのは7,8軒隣の本屋の人の弁ですが新潮文庫『太陽の季節』はあっという間にベスト10入り。タッキー人気なのか、石原人気なのか?
なんて言っていたら幻冬舎から単行本がお目見え。後ろの帯にあの名場面部分が抜粋されてます。
『パウラ、水泡なすもろき命』(イザベル・アジャンテ 国書刊行会)も入荷。ついたばかりをペラペラ開けて「長編小説とは複雑な刺繍をするようなもの」とか「首に巻いた絹のマフラーが彗星のよう」などといった文を目にして贅沢な気分に。
講談社『発火点』真保裕一。次の日に東野圭吾『トキオ』入荷。あっという間にミステリコーナーが講談社色に。『トキオ』手書きコピーポップをさっそく入手。いつものネコがパラシュートをしょってる絵が描いてあり、そりゃトキオだものと嬉しく。
内田春菊『愛だからいいのよ』はブラウンがいいと思うのですが、ブロンドが一番人気。
7月某日
一階の喫茶店前の廊下も使って、夏の文庫フェア展開。店内中かけずり回って棚板を探すも本の量が多すぎて、無料配布冊子の展示場所がつくれないというピンチに。
なんてことをしながら、ああ、夏だなあと。(一階の売れ行き集計を取っているのですが、ちょっと二階の文庫売場とも動きが違ってておもしろいです。柳美里よりもローソクの科学が人気だったり。)