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連載第24回  10月その1

10/某
春に修行にでたバイトのH嬢が復帰。

ユリイカ増刊の矢川澄子特集号(ビバ!佐藤亜紀)が到着。バックヤードでH嬢交えながらキャアキャアと広げていたところ、タイミングよくドアを開けてしまったバイトWが「ゲッ、シメられる」って。何さ!

10/16(水)キャー、とうとう出ましたよ!黄色くてフカフカな熊の本。夏から私をヤキモキさせていた憎いヤツ。舞城王太郎の「熊の場所」講談社。

売場に並んだ本を意味もなく手に取り、腕に抱えたまま売場を二周くらいウロウロ。って不審な店員だが、興奮してたんですもの!って理由もありますがもっとショーもないが切実な理由もあってウロウロと。

というのも、事前にこの本はこれくらい頂きたい、とお願いしたのが数ヶ月前だった「熊の場所」。その時とは自分の舞城熱も世間の熱もちょっと変わっているかもと危惧していたのですが、案の定入荷した数字を見て「ああ!もうちょっとあれば!」ととっさに思ったのですよ。

普通に考えれば、充分な数字かもしれない。明日、今日の売れ行きを確認してから頼んだってちっとも遅くない。いや、むしろその方がいいに違いない。今日の私は欲しかった本が出たので興奮してる、ただのお客さんだ。
文芸担当も仕入れも売れてから追加でいいじゃない、って思ってるに違いない。が、が、が、この本がたっぷり並んで、どんどん売れるのが見たいんだよう。痛快じゃないか!ってこの気持ち、どうすればわかってもらえるかしら?

「あ、ほら、お客さんも盛り上がってるようー」←コレを担当に言いたいばかりに新刊が並んですぐの売場をウロウロし、盛り上がってそうなお客さんの姿を探すために二周。自分の腕に持ってウロついていたのは「あっ、出たんだ、あの本」と思ってくれる方がいないとも限らないから……ってバカですか?私。

(とはいえ、その時、二名ほど「熊の場所」を腕にしっかり抱えてらっしゃる方を確認したので、即座に担当に報告、追加の電話もしましたよ)

どうしたってねー、夢中になってると大騒ぎよねー、って話でした。

そーいえば、まだお店が開店して間もない頃のこと。
ポール・オースターの新刊の配本数がびっくりするほど少なく、売場に出す前に買う予定のある店員で購入して入荷次第すぐ完売って注文の電話をしよう、などと悪巧みをした覚えが……。
実際は店員は後で買うことに決め、そのためにも必死で追加の手配(今日中に売り切れてくれと祈る)をしたんですがね。

なんてことも思い出しつつ。

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