連載第49回
今年も弁当持っての花見が出来ないまま桜が散っていきます~。ちょっと悔しいので仕事後にダンナと待ち合わせて、上野公園へ。なぜか提灯の明かりが消えてて、暗闇で宴会をする人たちの姿が怖い。住んでる人たちとの違いがわからなくて怖い。
などと、ちょっと時間の余裕も出て参りました昨今ですが、先月は棚卸し、フロア社員の退職とそれに伴う新入社員登場とイベント続きでした。他にも、入社の時に面接官だった本部の方の退職やら、諸処の事情による荷分場所の大幅移動などもあり、渋谷店開店からの六年間をそっと振り返る機会がいろいろあった月でもあります。振り返っての感想はもちろん、ああ、いたずらに歳を取った~取った~。(しょんぼりメロディで歌いながらフェイド・アウト)
そんな中読んだマンガは尾玉なみえ『アイドル地獄変』(集英社)。12月に出てたのに気づかず、担当に「もう、教えてよね」と切れ気味に。しかし、累計でかなりの数売れててびっくりです。人気作家(情報操作)。これは電車ではなく、家で読んで存分に笑う。
マンガといえば、旧聞になりますが、BSの番組のおかげで『自虐の詩 上・下』(竹書房文庫)の嵐もありました。テレビがすごいのか、自虐の詩がすごいのか。通販サイトでも次の日注文が殺到した模様ですね。店頭でも、どんどん売れて減ってくなぁ~と棚前でニヤニヤしてました。久しぶりに「あ、それで売り切れですよ」の現場を見たです。
これまた、旧聞。『ファウスト』2号もとっくに発売になりました。舞城王太郎のトム・ジョーンズの翻訳有。ファウストはなんでもつめこんで、ファッション・カルチャーと小説の雑誌になればいいのに!なんて私の妄想はともかく。
発売日、お金が足りず買えなかったので、大人なのになさけないと反省しながら自慢のipodでファウストの『ソー・ファー』を聞きながら帰宅。ipodは駄洒落用BGMマシンとして生活を彩ってくれます。(宣伝)
最近の(ちっともセットにする必要なんてないのに)セット読み。
1、蘊蓄について
キアラン・カーソン『琥珀捕り』(東京創元社)、ベットを使って寝ているのなら、枕元の引き出しに絶対常備な、綺麗なモノについての文章が並んだ本。今の私は畳の部屋で枕元に扇形にマンガを並べて寝てる始末ですが、大人になったら薄暗い部屋でこういう本や何かと埃にまみれて暮らす予定だたことを思い出しました。宝石の一つでも買わなきゃと反省。
で、もう一冊はミシェル・トゥルニエ『イデーの鏡』(白水社)、フランス人作家のエッセイ。‘男と女’とか‘ネコとイヌ’から‘存在と無’まで、並べて説明してみよう、な本。‘愛情と友情’の項など、ベタな内容ではありますが、「そうそうそうですよ、先生」と嬉しく。しかし、この本の言葉を見て、おお!説明上手なんて思ってる限り、友達100人は無理なんだよな、とさみしい気持ちに。まぁ、せっせと売るのが仕事だから、いいんだけど。
2、分厚さ勝負
ジェフリー・ユージェニデス『ミドル・セックス』(早川書房)とゼイディー・スミス『直筆商の哀しみ』(新潮クレストブックス)が発売に。両者500ページを超えるページ数。ぜひとも量を確かめにだけでも店頭に来ていただきたい。それに、内容もおもしろいです。なんか、話すこといっぱいあるんだな、ウフフってな具合。(しかし、二冊カバンに入れて歩くのは失敗。舞台は今、アメリカなのかイギリスなのかごっちゃになるし、なにより、カバンが太って大変です)
3、ちょっと不思議な
河出の奇想コレクション、『二人ジャネット』テリー・ビッスンと早川(プラチナ)ファンタジィ文庫『スペシャリストの帽子』ケリー・リンク。この二冊を読んで、短編小説、そしてちょっと不思議な話のフェアをしなくちゃ、と思っています。
テリー・ビッスンは熊のキャンプファイヤやら、ひょっこりイギリス島やら、実家の近所に有名作家がどんどん引っ越してくる話(なんでお母さんがその作家を知ってるの?という娘らしい疑問)など、ニヤニヤできます。それから『スペシャリスト~』は女子必読。最初の話からして「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」とそそられるタイトル。作者のケリーさん、小島麻由美のCDもお持ちらしい。って謝辞に書いてあったんだけどね。
↓これまた、ケリーさんの謝辞に「30回目の誕生日に紙に包んだ30冊の本をもらった」とありますが、良いアイデアですよね。もらいたいし、あげたい。
そうそう、早川SFJコレクションより『凹村戦争』西島大介著が発売になってます。詳しくはまた来週。
ところで平凡社新書『カエルを釣る、カエルを食べる』周達生著、の帯の件ですが、「可愛くて美味しいカエルのいろいろが、ケロっとまるわかり!」はいかがなモノでしょうか?