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第1回

 はじめまして。南口真といいます。書店員歴約7年、現在はブックファーストの梅田店に勤務しています。
 以前はこぢんまりとした広さのお店で、まあでもそれなりに忙しい環境でやっておりまして、こぢんまりとしたお店なので全般のジャンル、具体的には雑誌・コミック・文庫・新書・文芸書・ビジネス書、あとわずかな実用書・語学書などを触っておりました。とはいえ、おのずと力の入るジャンルとあまりそうでないジャンルが出てきまして、文芸書や文庫などは割と頑張ってやっておりました。それとなく工夫もしておりました。
 ところが、一年ほど前に、大きなお店へ異動しまして、大きなお店といっても昨今の巨大メガ書店乱立状況から見れば中規模書店というほうが近く坪数も4ケタに遠く及ばないのですが、とにかく「ビジネス書担当」という「イチ担当者」になりました。ビジネス書など読んだこともないのに!?と驚愕しましたが、ともあれ一年やってるうちに少しは分別ができてきました。そんな身の上でございます。

 で、そういった身の上から考えるに、ビジネス書、というもの、ですよ。本の雑誌の読者に「ビジネス書」の情報を求める方々は存在するのか? 需要があるのか? うーむ。単にビジネス書の情報をお伝えしても「だからどーした」で済まされてしまう気がする。そこで、小説好き、エッセイ好き、文芸書好きの目から見ておもしろいビジネス書の読み方、ツッコミなどを紹介・提案すればそれなりには意義があるかなーと思ってみたのですが、如何せん、その力量が本人にない気がする。というより単にビジネス書を紹介するだけでも無理な気がする。分別はできていませんでした。
 というわけで、上記文芸リーグとビジネスリーグの橋渡し的意義深い仕事は将来の目標としまして、まずは思いつくままに書いてみたいと思います。いいんですよね、それがエッセイだもん。

 まずは手の内をあかしておきたいと思います。
 本を習慣的に読むようになってから、まだ数年しか経っていません。
 突発的な読書を除けば、それ以前は読むほうが珍しかった。むしろ書店員になってから読みはじめたというべきです。ならばなぜオマエは書店に就職した?という詰問調の質問には、また別の機会にお答えしてみたいと思います。そんなこたどうでもよいという方も多そうですし。

 ま、それで、いまのお店に来る前は習慣的読書の約9割が小説でした。現在は少し違います。
 それより、私は読むスピードが速くない。遅いのかどうかは何ともいえないが、速くないことには自信がある。
 しかし、なにぶん私には過去の読書経験が乏しい。蓄積がないのでいまから挽回したいのだが、速くなければ量が読めぬ。量が読めねば挽回できぬ。ということで一計を案じました。

 今年、私は読書量のノルマを課しております。ひと月に25冊、年間に300冊を設定。とにかく「数」をこなす。
 当初は一日一冊、年間365冊にしてやろう、と目論んでいたのですが、なんやかんや全く読めない日もでてきて、小心者の私はどんどん焦燥感が募ってくるのでやめました。いまのところ5月までで124冊と、ほぼペースは守っています。

 ところが、ここで問題なのは「数」を優先していることであって、「量」でないことです。
 というのも、時間がないと「薄い」本を読んでペースを挽回することがしばしばあるのです。『グッドラック』も一冊、『六本木ヒルズの若手社長たち』(ビジネス書? 100頁ちょい。ITベンチャーの社長たちの紹介だが、なぜか各章最後に占い師による今後の運気の判定が載せられている)も一冊、『僕らのサイテーの夏』『きのう、火星にいった。』も一冊としてカウント。上下巻ものもそれぞれ一冊としてカウント。いいんです、自分の決めたルールだから。
 とはいえ、ノルマによるプレッシャーがなくても、どうも近頃は短い、一気に読めるものがお気に入りなのです。長いのをだらだら読むのもいいのですが、一気に読んでハイ次、一気に読んでハイ次、といきたいのですよ。そんなカラダになっちまったんです……。

 そこで(ようやく最後です)、この連載では以下4つのテーマで話を進めていきたいと思います。
(1) イッキに読めた本!     ……よく「イッキ読み!」などオビや書評にありますが、私、なかなかイッキに読めません。そんななかでもイッキに読めた本はたまにあります。ということは他人に薦めても罰はあたらんはず。
(2) いい新書あります!     ……最近の読書において新書が占める割合がけっこう高いです。基本的に200頁ほどで主題が限定的なので速く読めそうな気がするからです。そこで、いい新書をお伝えしても罰は当たるまい。
(3) 私の日常的書店員生活    ……なにかおもしろいことがあったら書いてみても――。
(4) 昨今のお笑いブームについて ……全く関係ありませんが、趣味の話です。

 上記4テーマを随時書きつらつらつらねていきたいと思います。
 それではみなさま、よろしくおつきあいください。

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