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第10回:~明日に架ける橋・売り場以外の戦場編~

 6月3日、4日 琵琶湖にビワッシー(怪獣)を探しに行ってきました。
 
  
 ウソです。真っ赤な嘘。
 
 真相は白泉社さん主宰の「コミックモニター会」に参加してまいりました。
  
 このモニター会は毎年恒例の、そしてコミック業界最大級の催しなのだ☆(白泉社さんといえば「花とゆめ」「LaLa」などの少女漫画の老舗。近年では「ヤングアニマル」連載の「ベルセルク」が社会現象になるまでヒットしましたね。)そんな大手出版社さんが"書店の今"に耳を傾けるため、白泉系のコミックがよく売れる書店を招待して大きなディスカッションをする場を設けてくれているのです。1泊2日、交通費は出版社持ち、マーベラス! 毎年ホテルで開催。今年は琵琶湖です。
  
 リエコさんは、熱川、軽井沢、大阪、千葉の舞浜、琵琶湖、と5回目の参加です。
  
 この会ね、事前にアンケートが配られて、白泉社の売れ筋商品から過去一年間の他社のヒット商品まであらかじめ色々勉強をして参加します。送られてくるアンケートの内容が売り場に密着しているため、初めて参加する書店さんは「売り場担当者」さんを送り込んでくるのですが ところがどっこい、なかなか格式は高く、地方の有名オーナーさんなんかがウジャウジャいて萎縮しちゃう……そんな"社交"の場でもあります。
 昔はこのオーナーさん達が会議の場でもゴルフの話とかしてる位に和やかな感じだったらしいのですが、近年出版不況の波に、本来の目的である「より本を売るには?」という真剣な話し合いの場に変わってまいりました。実際に昨年議論にあがったものは1年のうちに次々と形になりコミック売り場に展開されております。
 4年くらい前には「新古書店の参入における新刊書店への影響力について」とか「万引き対策、当店の秘策」とか「コミックをビニールパックするか否か」「書店における効果的なPOPの使い方」などが議題にあがりましたね。昨年はたしか「オマケ付きの限定版」についての話し合いが印象的でした。
 今年は「過去の名作を復刻する際の注意点」が白熱の意見交換となりました。本の大きさ、紙の質、表紙のイラストについて効果的なもの、オマケの有無、愛蔵版や限定版、完全版、などの名称の違いについて、などが具体的な白泉社のコミックのタイトルと共に議論されました。
 招待された書店が70店以上あり、それに白泉社の編集さんや営業さん、取締役の皆様から社長まで参加する大きさなので、あらかじめ会議場がA~Eまで5つに分かれていて同じ議題で話し合いがされます。後から他のお部屋の事も聞いてみたらやっぱり同じ感じだったらしいですね。
 
 3時間から4時間の会議場でのディスカッションが終わると、夜は「懇親会」という名のパーティです。一流ホテルの催事場をぶち抜いての大規模な集まり。本当に「絵に描いたような」立食パーティが繰り広げられます。なみの結婚披露パーティより豪華な食事のオンパレードなんですよっ。近江牛、伊勢海老、オマール海老、アワビ、ウニ、トロ、ケーキ盛り合わせ、各種カクテル、などなど。でもね、そんな豪華な料理をむさぼり食う……失礼、口にする間もないほど「お名刺交換」が盛んに繰りひろげられるのだ~。人によっては名刺の箱をそのまんま持ってくる人も入る位。みんなねぇ、日本各地で一生懸命本を売っている言わば「最前線のツワモノ」なので遠慮なんかしないでガンガン話しかけてお友達になっていく様は、あっぱれ!の一言。かくゆうワタクシも「自腹~S、応援団」のお仲間はこういった場でナンパしたケースが多いですね。仲良くなった方々とは土地が違えど、共通の漫画話や業界話でスグ盛り上がっちゃいます! 勉強会に続く「裏勉強会」がこの「懇親会」です。
 前の「勉強会」から時間をさほど置かない開催の「懇親会」なので服装はそのまま。でもパーティは本格的な物なので、逆に「勉強会」の方の服装が普段より気張っていてお洒落さん。この普段と違う自分っていうのが意見交換には緊張感を醸し出し良い影響をあたえます。普段話し下手な方もアメリカ人のようにガツガツ自分の意見を前に出してくるような……。「勉強会」と「懇親会」実によく出来た趣向だと毎年感じますね。
 パーティの後は、2次会のホテルのラウンジでの2次会、バーでの3次会、各部屋での4次会、と続きさらに新密度が増す琵琶湖の夜。終電や次の日を気にしないで思う存分楽しんでしまいました。

 2日目は「観光」です。大型バス2台で毎年開催地にあったところを巡るの。この「観光」は基本的に移動時間まで自由行動なのですが、やはり要所要所でお名刺交換はしますね。社交☆チャンス。
 私はどうしても関西の書店めぐりがしたくて今回「観光」はキャンセルさせていただきました(白泉社さんゴメンナサイ)沢山勉強して、売り場に還元しますのでどうぞご勘弁を!

 あまり知られてはいませんが、この「モニター会」や「勉強会」というのは白泉社さんだけでなく他の出版社さんなどでも開催してます(形は様々ですが)。 あくまでも「モニター」なので、ごく一部の意見交換会なのですが決して無駄では無い!と私は強く感じています。もちろんコミックだけではないんですよ。文芸書、実用書、などでも積極的に行われているのだ。売り場担当は違っても、リエコさんは過去に「講談社のノベルスのモニター会」というのに参加させていただきまして、大変大変大変、勉強になったのを今でも覚えています。
 自分ひとりで頑張っているとね、どんどん視野が狭くなってくるような気がして怖いです。知らない間に根腐れする感じ。そんな時、こういった意見交換の場は自分が思いつかなかった販促方法や、本に対しての考え方を聞くことが出来て新しい水路に水を流し込んだようにスッキリとするんです。次の日から、イヤ、帰りの新幹線の中から「アレをこうしてコレもこうして~」なんて色々新しい活力が沸いてニンマリ★ご機嫌。

 出版社さん側もお金も手間も大変かかる「モニター会」。その成果を実にして返すことが出来るよう。褌を引き締めて(装着してませんが)頑張りたいと思います。充実の2日間で、200%活性化されたリエコさんでした。美味しいものも食べれて色んな意味でピチピチです!!!

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