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第8回   「私的インターネット・ガイド」

 自宅にADSLを導入して以来、私もインターネットをよく使うようになったが、本の世界がそうであるように、インターネットの世界もまた、圧倒的多数のつまらないものの中に、一握りの面白いものが隠れている。となれば、それを探すのがまた楽しみとなる。
 まず仕事の上で役に立つのが、取次・太洋社のホームページ(http://www.taiyosha.co.jp/index.html)。特にゲーム攻略本についてのデータが使いやすい。毎週更新される売行きベスト10の他に、これから出る攻略本のリストと、出たばかりの攻略本のリストがそれぞれ用意されている。これを印刷しておけば、お客様からの「○○の攻略本はもう出てるんですか?」というよくある(けれども答えられないことの多い)質問にも、確かな答を差し出すことができ、大変助かる。
 攻略本の売行きは、ある程度ゲームソフトの売行きと連動するわけだが、これについてはオリコンのホームページが便利(http://www.oricon.co.jp/ranking/index.asp)。毎週水曜日に、CDやDVDなどと合わせてゲームソフトの週間ランキングも更新されている。攻略本担当者は要チェックだ。
 水曜日にはもうひとつ、朝日新聞の書評情報が更新される(http://book.asahi.com/)。次の日曜日の「読書面」に掲載される書評のリストが事前にわかるので、陳列場所を変えたり、POPを付けたり、追加発注をかけたり、いろいろと対応できてよい。できれば他の新聞社も、事前に書評リストを公開してくれるといいのだが……。
 もちろんインターネットを使った本の発注システムも広まってきている。講談社の場合は、webまるこ(http://maruko.kodansha.co.jp/shoten/)での発注が最優先の扱いになるらしく、実際、FAX等で注文するよりも、早く入荷するようだ。また、画面上で出庫状況を確認できるのがいい。例えば、ある新刊書籍を10冊注文したとする。いままでは、実際に入荷するまで何日かかるかも、何冊入荷するかも(何冊減数されるかも、=本の世界では、注文した通りの数では入荷しないのが常識となっている!)わからなかったが、このwebまるこでは、発注した次の日に再度アクセスすると、出庫予定日、出庫数が画面上に明示され、例えば3冊しか入ってこないらしい、ということが確認できる。そうすれば、再度その画面で追加発注をかけ、減数分を補うことも可能となるわけで、書店業界の常識も少しずつ変わってきていることを実感できる(本来的には、在庫情報を相互に公開することによって「減数」そのものをなくしていく方向=発注量の適正化と返品率の大幅削減へ進めていかなければならないだろう)。
 
 仕事を離れて個人的にいま注目しているのは、集英社新書のホームページ(http://shinsho.shueisha.co.jp/index.html)。webコラムというのがあって、その中でも、東浩紀と笠井潔の往復書簡は必読テキストだ。2000円の単行本でも迷わず買う内容が無料で読めてしまうのだから、なんともすばらしいサービスである。東浩紀の個人ページ(http://www.t3.rim.or.jp/~hazuma/)も充実しているが、こちらは「近況」の更新の遅さが難点か。
 批評空間のホームページ(http://www.criticalspace.org/)では、本誌の刊行ペースでは収めきれない時評的な文章が読めて面白い(反論投稿などもあって、なかなか生き生きとしている)。浅田彰が過去にあちこちで書いた文章がまとめて読めるのも大きな魅力だ。
 新潮社のホームページ(http://www.webshincho.com/)では、三島賞や山本賞の選評が読める。文芸書の担当者は情報として取っておいた方がいいだろう。他社もぜひ追随して、文学賞の選評がいつでも読めるようにしておいてほしい。新潮社のスタッフが個人的なおすすめサイトを紹介する「お気に入りBookmarks」も、大手出版社らしからぬ手作り感がなかなかGOOD。

 最後に宣伝。ここweb本の雑誌以外に、私の文章が掲載されているホームページを2つ。
 ひとつはもちろんweb Libro(http://www.libro.jp/)。書評をいくつか書いている。このページは現場スタッフからの自由投稿という形式を取っているので、更新は遅いし、点数は少ないし、ジャンルは偏っているし、書店のホームページとしてはまだまだ未熟だが、書きたいと思ったものについてしか書いていないので、お仕事的に宣伝文句を並べただけの紹介にはなっていないはずである。
 もうひとつは、リブロで知り合った友人が作っている個人サイト「インターネットボヘミアン」(http://www.geocities.co.jp/Milano-Killer/9766/index.html)で、不定期コラムを書かせてもらっている。会社とは全く無関係に自由な立場で書いているものなので、最も色濃く私の本性が表れているはずである。気が向いたら一度覗いてみてほしい。

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