第9回
毎日売場に出て真っ先にすることは? それは平台に積まれた本の帯を直すことです。何が気になるって、曲がっている帯を目の端にとらえたらカワセミのように一直線。
ということで、今回は帯。腰巻(これはこの頃は使いませんね。腰巻は死語なんだろうか)。
ここ最近は『紀香バディ』(講談社)の帯を直すのが日課。もちろんお客さまの関心がとても高い本なので手に取られることが多く、当然乱れます。おお、こんなになっちゃって。今ワタシが巻きなおしてあげるからね、みんな待っててね。
紀香の帯は幅広で、ウエストまで巻かれています。が、ブーブー紙のようなものでできているので、一度カラダから離れる癖が付くと、もうてんでんばらばら。
幅広の帯というのも、実はちょっと大変。
本を積むときは、片側にかしいでしまわないように5冊づつ向きを変えたりして積み上げるのですが、帯が本の高さの半分まであると、向きを変えた境の2冊は帯と帯が噛んでしまって本同士がはまり込み、お客さまが手に取れなくなります。無理に取ると帯が破けます。破けると捨てます。ちょっと空しい。
なぜ、帯の幅を、本の高さの半分にしようとするんだろう。大き帯でアピールしたいになら、もうちょっと頑張って脇の下くらいまで広くすればいいのに。
帯着付け係のワタシを最も困らせたのは、『アヤツジ・ユキト1996‐2000』(講談社)。一度ずれると、帯が本にピッタリ張り付いて絶対動かない。表紙の表面が猛烈に粘着。結局帯を全部解いて巻き直さないとならない。これは手間がかかります。
ということで順位を付けました。
大変な帯1位 本のピッタリ半分の幅の帯
大変な帯2位 本の6分の1くらいの狭い幅の帯
大変な帯3位 ブーブー紙の帯
大変な帯4位 表紙とあまりに違う紙質の帯 特に薄い紙や滑りの悪い紙
更に、
大変な帯5位 下部に白い縁取りがある帯(ずり上がっていると錯覚する)
大変な帯6位 下半身ではなく上半身に付いている帯(頭でっかちはすわりが悪い)
大変な帯7位 背側の下部に刳りがある帯※文庫などで、価格や番号表示を見易くするために下部をくり抜いている (そこから破ける)
大変な帯8位 函に付いている帯(直す時間が相当かかる)
大変な帯9位 ひとつの本に何種類もある帯(ワタシもお客さまも迷う)
最近の文芸書の救世主、宮部みゆき『楽園』。この『楽園』にももちろん帯が付いていますが、これはどういう訳か帯がちょっとだけずり上がったまま入荷してきました。1ミリだったり、3ミリだったり、5ミリだったり。これには燃えましたなー。売行きも期待通りだったので補充も頻繁でしたが、そのたびにこのつんつるてんの帯を下げる仕事が待っている。もう夢中。でも、なんでずれてるんだ?それも全冊?