第149回「芥川賞・直木賞」決まる
文・写真=新文化編集部
7月17日、東京・築地の「新喜楽」で選考会が開かれ、芥川賞に藤野可織「爪と目」(新潮4月号)、直木賞に桜木紫乃『ホテルローヤル』(集英社)が選ばれた。
藤野氏は2006年に「いやしい鳥」で文學界新人賞を受賞しデビュー。2度目の候補で受賞した。「大変嬉しい。まだ現実のこととは思えないくらいです」と控えめに喜びを語った。受賞作ほか2編を収録した単行本は7月24日に配本、26日に初版5万部で新潮社から発売する。
桜木氏は「書くことを止めなくてよかった。後から考えればやめてもおかしくない状況だった。今思えば必要だったがしんどかった」と安堵の表情。実家のラブホテルをモデルにした受賞作について「自分に起こることは何も無駄なことはないと思える一作。きっと私にしか書けない一行があると信じて書いた」と執筆にかけた思いを述べた。受賞を受け、発行元の集英社は10万部の増刷を決めた。
贈賞式は8月に都内のホテルで行われる。