第152回芥川賞に「九年前の祈り」、直木賞は「サラバ!」
文・写真=新文化編集部
- 芥川賞の小野氏(右)と直木賞の西氏
日本文学振興会は1月15日、東京・築地の新喜楽で第152回芥川賞・直木賞の選考会を開き、芥川賞に小野正嗣氏『九年前の祈り』(講談社)、直木賞に西加奈子氏『サラバ!』(小学館)を選んだ。小野氏は4度目の候補での受賞。2001年、「水に埋もれる墓」で第12回「朝日新人文学賞」を受賞した。これまで、自身の故郷である大分県南部の町をモチーフにした「浦」の人々を描いてきた。小野氏は「小説はその土地に根づくもの。書いたのは僕だが、土地が書いた」と話した。講談社は同書について3刷を決め、5万部を増刷する。重版分の取次搬入日は1月22日と同23日。
西氏は2004年、持ち込みで『あおい』(小学館)で単行本デビュー。『サラバ!』は作家デビュー10周年を記念した自身最長の長編。受賞については「直木賞は規模が大きすぎてよくわからない。ただただびっくり」と話した。また、自身の趣味であるプロレス観戦の集客が最近盛り返していることを、文学界の現状と重ねて「本が売れないと言われるが、すごい作家が全力で書いている。絶対また盛リ上がる。いつか小説書いていてよかったと言いたい」とし、「おもしろい小説がめちゃめちゃいっぱいある。本屋さんに行って本を1冊買ってほしい」と呼びかけた。小学館は『サラバ!』の上下巻をそれぞれ10万部増刷する。