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【角川書店】
岩井志麻子
本体 1300円
2000/11
ISBN-4048732633
今井 義男
評価:B
身も心も<岡山>にどっぷり浸かった作者の第二作品集である。同じくホラー大賞出身ながら、新しい世界を模索する瀬名秀明とは対照的だ。どちらがいいとかいう問題ではない。いったん背負った看板をどうするかは作家の自由だ。この連作の主人公タミエは隻眼の霊媒師である。シャルル・ボネ症候群と聞いてミステリ・マニアがまっ先に思い浮かべるのは、京極堂シリーズにおける最重要人物、榎木津礼二郎だろう。一人では何も解決できないという共通項まである。相違点はアッパー系の榎木津に対してタミエが典型的なダウン系だということだ。陰気な作品に根暗な登場人物。全編に立ち込める土着的な雰囲気はこの作家ならではのものであり、決して不出来な怪奇小説ではないが、私には季語の多い俳句を披瀝されたような印象が拭えなかった。
小園江 和之
評価:D
妾をしておった女性が、商売にしくじった旦那に無理心中を図られて左目を 失ったら、なんだか霊視能力を持つようになり、今度はそれを種に生活してい くって咄です。それで、いろんな訳ありの依頼人がやってくるんですが、なん ていうか主人公の能力が大したことがないってのが得も言われぬ情緒を生んで いるやに思えます。しっとりとした怖さとでもいうんでしょうか、ホラーにも こういう静かな領域があってもいいんじゃないでしょうかね。ただし、インパ クトを求める向きにはちょいと物足りないかもしれません。六篇入ってます が、どれも似たような読後感です。見開きの女人画が素敵です。
松本 真美
評価:A
心洗われました。毅然とした話は清々しい。それにしても、<怖さ>に対する自分のスタンスも変わったもんだ。十代まではなんでもやみくもに怖がって、そのくせ怖いモン好きで、よしゃあいいのにまとめて借りちまった<ホラー漫画>の夜の置き場所に困り、押入に入れれば押入自体が怖くなり、思い余って夜中に茶の間のコタツの中に突っ込んで寝て、翌朝、ばあちゃんに怒られた自分がなつかしい。 人より少し正直で生々しく生きようとしたばかりに道を踏み外してしまった者達はぼっけえ哀しくて愛おしい。それを作者が奇を衒うことなくどこか柔らかい眼で見てる感じで前作より好感が持てた。よけいな装飾のない研ぎ澄まされた6編だと思う。個人的には「岡山ステン所」がイチバン好みだがどれにもきょうてえ感はなかった。それより、じんわり描かれた明治の最後の頃の妖しさと怪しさがたまらなく魅力的だった。
石井 英和
評価:A
西欧文明の侵入としての「文明開化」が、各地方都市にも当たり前の風景として定着した頃。「心中騒ぎ」に巻き込まれ片目の視力を失った女は、その代償として、「霊」を見る能力を得る。それはまるで、太古のカミからもたらされた聖痕のようだ。西洋の唯一神の命ずるままに厳しい競争社会に現実が変わり行く、その狭間で、老いたる地母神は囁く。「そのような争いから逃れ、私の元で安らぐがいい」と。それはしかし、大地の底に死体として横たわり腐敗して行く、そんな「安楽」なのだが。勝負は始めからついている。 生ある者はいつか死し、土へ帰るのだ。大地の底の死者の、束の間の夢としての現世。そんな現実が見えてしまう女の物語りが妖しく美しい。「開化」の中から庶民が気まぐれに選び取った「新時代の呪物」たるコ−ヒ−液や彩色写真やハレ−彗星が儚く哀しい。
中川 大一
評価:B
岡山出身の女性から聞いたことがある。この地では、3歳の子供でも「わしゃあ、アイスクリームがほしいんじゃが」という具合に話すので、全県通じて「まんが日本昔話」の世界が広がっている、と。なるほど岡山弁は昔話にぴったりだが、本書を読むと、怪奇譚にもよくなじむことがわかる。隻眼の霊媒師・タミエと依頼客が繰り広げる怪異なるストーリー。舞台は明治の終わり、珈琲・蒸気機関車・写真など、当時日本に入ってきたばかり西洋の文物が背景を彩っていて、それらを迎える人々のどことなく高揚した気分が、ホラーに奥行きを与えている。また、タミエの霊力が半端ですぐにはすべてを見通せないのも、物語に起伏をもたらすうまい設定だ。所々、幻想的な描写でちゃんと焦点を結んでいない箇所があるのでB。
唐木 幸子
評価:B
宮部みゆきの『怪』に比べて、本書の全般に漂う屈託とひねくれぶりはどうだろう。あやしげな人間ばかりで、真っ当な善人が誰一人として出てこない。しかし私は、この著者に決して不快ではない個性と正直さも感じた。愛人に刀で目を突きつぶされたタミエが、代わりに得た霊能力を以って生業とするようになる、、、という設定は悲惨だ。しかし、裏で実は両親が依頼者の身辺を探ってタミエを助けていたり、霊媒者であるタミエ自身が生霊死霊を恐れていたりして、その描かれる日常が非常に人間的なのだ。怪奇小説ではあるものの、彼らのうろたえぶりには可笑しささえ感じる。また、清水義則の『蕎麦ときしめん』を読んだときの衝撃と同じ地方感の面白さを堪能した。岡山って奥が深そうだ。
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