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波のうえの魔術師
【文藝春秋】
石田衣良
本体 1,333円
2001/8
ISBN-4163202803
石井 英和
評価:D
人は経済をテ−マに小説を書く際、何故か、小学生の絵日記の文章の発展形のような箇条書き文体を用いてしまう場合が多くあるようだ。「今日は海水浴に行きました。お父さんとお母さんと行きました。スイカを食べました。おいしかったです」といった具合の。この小説も、その一例である。その「経済小説用箇条書き文体」は文体のみにとどまらず、物語の展開そのものにも影を落とす。スト−リ−が、各エピソ−ドを順繰りに置いてゆくだけの箇条書きなのである。そのため、一つの物語としてのダイナミクスが感じられない。結果、物語のクライマックスとして置かれた「老人の復讐劇」にも、さほどのカタルシスは感じられず、各登場人物も、紋切り型の演技をロボットが演じているようだ。結局、何を読んだのだろうな、との物足りなさばかりが残ってしまう。
今井 義男
評価:AA
なんの変哲もない一人の若者と、風変わりな老人が、詐欺まがいの融資で顧客を食い物にしてきた大手の銀行に闘いを挑む。アナログ方向からは周到に布石を打ち、同時にデジタル面ではモニターとキーボードを駆使して株価の動きを読み操作する。私は株式市場の仕組みをまったく知らない。それでも秒刻みの投機がスリリングであることは容易に想像がつく。それは経済行為というより、知略を尽くした攻防戦のように緊迫感がある。本書の読みどころはコンゲームの成り行きと、青年・白戸則道が小塚老人に仕手の手ほどきを受ける場面にある。パチンコ三昧だった白戸が、したたかに変貌を遂げていく様には誰もが目を見張ることだろう。最後に用意された仕掛けも心憎い。まったくもって食えないジジィである。
唐木 幸子
評価:C
就職浪人の『おれ』は、ある日、老紳士の投資家に見込まれて高給で見習となる。この主人公が投資の妙を体得して大きな金額を動かすようになる様が実にわかりやすく描かれている。経済関係の業務内容には無知な私も本書で初めて、トレーダーという仕事も面白いのかも、と思ったし、『融資付き変額保険』の仕組みも理解した。薄井ゆうじよりも説明の仕方は上手いかもしれない。しかし、肝心の物語そのものは結局は大金もうけだったりして多少、鼻白んでしまうのだ。恋人の銀行総合職のキャリア女性・保坂遥も、葬式で焼香灰を頭から振りかけられても動じない登場シーンには感動したが、その後がいけない。若い主人公とのやり取りが類型的で、読んでいて辛くなってしまった。どうも私は、この著者が描く女性を気に入ったことがないんだよなあ。
阪本 直子
評価:B
面白い物語は1頁目で判る。この本は1行目でピンときました。だけど“マーケット”なんて単語が早々に出てきてウッと唸る。経済話は門外漢、幸田真音とかも読んでない。市場用語は外国語同然。まずいなあ、これじゃ読んでも理解できないかも、と不安になりつつ先へ進んだら、経済の話じゃなくてコンゲームの話でひと安心。無事、楽しむことができました。
話自体に目新しさはない。巨大な敵に挑む個人。専門知識を駆使しての戦い。目的は復讐と、そして巨利。もう手垢のついてるようなこんな設定を使って、しっかり読ませてしまう手腕は相当のものです。でも少しだけあらさがしを。大学を1留・成績不良で卒業、就職浪人、それで中途半端なパチプロになった主人公、さぞかし投げ遣りな奴かと思いきや、実は頭の回転は速いし熱心だし、知識の幅も広い。ぐうたら青年が「ジジイ」との出会いで生まれ変わったんじゃなくて、元々が鋭かったとしか見えないぞ。
谷家 幸子
評価:A
遅ればせながら「池袋ウエストゲートパーク」を文庫で読んだばかりの私にとって、石田衣良はまさに、旬の作家だ。帯の「経済クライムサスペンス」という言葉にわくわくしながら読み始めたが、読了した今、確信を持ってこれから追っかけることを決意。小説を読む面白さを満喫させてくれる作品だ。株のことなんてまるでわからない、経済音痴の人間(それは私だ)でも、銀行との付き合いくらいはある。他の職種に比べて高給取りらしいということも知っている。それでも、「おれ」が「想像を越えている」というように、「午後三時に閉じられたシャッターの裏側で起きていること」など、知るべくもない。知ったところで、やっぱり理解は出来ないだろうが。しかし、理解は出来なくても感じ取れるものはある。「秋のビッグディール」へとなだれ込む終盤に感じた手に汗握る感覚は、その最大のものだと思う。
中川 大一
評価:B
近ごろ友人のK氏は、昼休みごとに電話にかじりついている。アメリカで起きた同時多発テロに伴う株価の変動につけこんで、一儲けしようとたくらんでいるのだ。まったく……。大事件が起きたときの反応で、人は二種類に分けられる。まずは「えらいこっちゃあ」と茫然自失する、私のようなタイプ。次に「チャーンス!」と膝を叩くやつ。本書のタイトルにある「波」は株価の変動のこと。私とは人種の違う相場師たちが、銀行をやっつけるお話しだ。経済情報の羅列や説明に陥らず、きちんとした小説に仕上がってます。ノルマを果たせなかった銀行員が罰を食うエピソードは、ちょっと浮いた感じがするけどね。銀行の内幕については、横田濱夫の「はみ出し銀行マン」シリーズ(角川文庫など)でも楽しく学べるぞ。
仲田 卓央
評価:D
石田衣良はあくまでクールだ。そこが魅力なのだが、同時に欠点でもある。同じ世界を扱った、白川道「流星たちの宴」と、なんと肌触りのちがうことであろうか。私には、本作品に登場する株式や市場、金融商品、主人公たちのテクニックについての描写がどれだけ正しいか、ということを判断する知識を持たない。そんな私ですら、とりあえずは面白い、と思って読み終えることができたのだから、小説としてはなかなか上等の部類に入るのだろう。しかし、物足りない。これは、図らずも小塚老人の「私たちの時代は坂本竜馬や高杉晋作を生まないだろう。これからは青雲のロマンも、働き盛りの成長も望めないだろう」という言葉に象徴される。この言葉は我々に突き刺さり、翻って作者自身にも突き刺さる。この傷を、石田衣良は深いとみるのだろうか、それとも浅いとみるのであろうか?
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