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シブミ
【ハヤカワ文庫NV】
トレヴェニアン
定価各798円(税込)
2006年2月
ISBN-4150411050
ISBN-4150411069
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
久々湊 恵美
評価:★★★★
うーん!タイトルが日本語だったとは!
まさかこの作品で日本人であることをしみじみと感じるなんて予想だにしませんでした。
アメリカナイズされてしまった自分にガツンときちゃいました。
よくあるガイコクジンが日本文化を見たらこんな風になっちゃいました、なんてものではないのです。
かつて日本人はこうであった、をとても嬉しくも情けなく感じてしまいました。
多分、今の日本人は(自分も含めて)こう見えてしまうのか。
この作品は1979年に発表されたのですが、むしろ今読むべき作品ではないかと思います。
昨今の米国石油事情の怪しげな裏背景ともリンクしていて、そんなに前の作品なのかという感じです。
洞窟に絡む冒険小説としても大変優れたものとなっています。素晴らしい。
ただ、どうしても日本が多く出てくる分翻訳が回りくどく感じてしまって、星を1つ減らしてしまいました。
この作品を読んで、背筋が伸びました。シブミ。素敵なタイトルです。
松井 ゆかり
評価:★★★
帯にある「ミュンヘン五輪のテロ犯vs孤高の暗殺者」のコピーを見て、映画「ミュンヘン」のような実録風の社会派小説だろうと考えたとしても誰が責められよう。いや、私は決してこの小説を貶めようとしているのではない。こんなに突っ込みどころが満載の小説だとは!
まず、上下巻合わせて700近いページの多くが、テロとは直接関係ない描写に費やされている。ではいったい何が書かれているのか。大部分が日本文化についてである。外国映画などでたまに目にする日本に関する知識の欠如(フジヤマ、ゲイシャ的誤解)はほとんど見られない。それどころか、大半の日本人が知らないようなことが自然な形で物語に織り込まれている(各章の副題となっている囲碁用語を読まれよ)。若き日の主人公ニコライ・ヘルが、人生の最終目標は〈シブミ〉のある人間だと心に決める場面など、申し訳ないが爆笑してしまった。日本人でもめったに思いつかないだろう、こんなこと。
…おそらくこのようなおもしろがり方は邪道だと思いますので、みなさんはもっとまっさらな心でお読みになるとよろしいかと存じます。
西谷 昌子
評価:★★★★★
父親がわりの日本人から、「シブミ(渋み)」を身につけた男になれと教わったニコライはやがて暗殺者となり、引退してのちもひょんなことからミュンヘン五輪のテロ犯と対決する。とにかく日本文化に作者が驚くほど精通しており、日本の描写にほとんど違和感がない(さすがにニコライが歩いていても目の色を見るまで外国人とわからなかった、というのは無理があるだろうと思ったが)。生粋の日本人でないからこそ「シブミ」が何かをつきとめようとする主人公の姿はとにかくかっこいい。作者がアメリカ生まれだからだろうか、アメリカの醜さと、日本やヨーロッパの文化の洗練を対比するような場面が随所に出てくるのも面白い。暗殺のアクションシーン、日本でニコライが育っていく様子、CIAの陰謀、洞窟探索など、様々なシーンを楽しみながら一気に読んでしまった。エンタテインメント性にあふれながら、背景にある作者の思想もしっかりと伝わってくる傑作。ただニコライがセックスの技術のみで次々に女を落としていく様子だけいかにもアメリカっぽいなあ、とは思ったが。
島村 真理
評価:★★★★
日本人作家?と思うほど、日本を正確にとらえ、日本人の感情を代弁してくれている作品に感激でした。なじみがないであろう文化の精神部分をうまくとらえられる作家の作品には、きっとそれだけで信頼できると。(もちろん文句なく面白い)
孤高の暗殺者ニコライ・ヘルがマザーカンパニーと対決するストーリーであるが、ニコライの生い立ちが語られている部分が非常によかった。特に日本人で軍人の岸川さんとの交流が胸を打つ。彼らの間に大きな感情の起伏はない。淡々としたなかに見え隠れする言葉にしなくても感じられる、本当の父と息子のような静かな心の交流の様がたまらない。
後半の後半まで弦をじっくりとひき、ためるがごとくゆっくりとすすむストーリーは一気にクライマックスをむかえる。25年以上前に書かれたとは思えない。新鮮で迫力がある素晴らしい1冊でした。
荒木 一人
評価:★★★★★
面白い、参った! 珍しく、帯の文句に納得した。まさに「時代を切り拓いた冒険小説の金字塔」 残念ながら逝去してしまった著者。ちょっと偏屈で出版物に興味が無く、天才だと言われていた。訳者も非常に上手いのだと思う。
時間軸は2つ。現代と太平洋戦争の戦中・戦後。ミュンヘン・オリンピックのテロ事件に報復しようとし、逆に虐殺されたグループの生き残りハンナ。ドイツ人だが、日本を体全部で受け入れ、理解しようとしたが時代が赦さず、フリーランスの殺し屋になったニコライ・ヘル。交錯する時間と人間達。
表題も目次もカタカナ「シブミ」、「フセキ」、「サバキ」何故かワクワクする。「シブミ」と言う意味が幾つか取れるのだが、日本人より日本語に精通しているのか? 意図的に複数の意味を持たせているのだとしたら著者は本当に天才かも。時代は人を創る。考証や細部も抜かりは無く、翻訳物は、ちょっと苦手と言う人にも是非お奨め!
水野 裕明
評価:★★★★
30年ほど前にこのような作品が発表されていたとは驚きだ。文章は何となく古く生硬な感じを受ける(これは30年前の作品ということでなく、翻訳家の問題なのかもしれないが)が内容は興味深く、面白いというよりも納得させられる1作。本の帯に冒険小説とあるが、この作品は冒険小説の体裁を撮った日本と西欧(主にアメリカ)の比較文化論とも読める、内容の濃い作品。アメリカ文化を商人の文化であり、計算しかないと言いきり、“腹の底では人が良く親切で、自分たちの富とイデオロギイを世界中の人間と分かちあうことをいとわない”としながらも“文化的に未熟で、物質主義的で……”と喝破している。さらに日本文化のわび・さび・シブミを高く評価している。ここまで日本の文化に傾倒されて褒められると、日本人としてはちょっと面映ゆい気がするが、戦後の日本についてはアメリカの文化に毒されていて見るべきものがないと批判している。ということで、冒険小説らしいアクションシーンや手に汗握る描写はあまりないことだけはちょっと残念。