スマイリーキクチのブログはなぜ炎上した?~『悪いのは私じゃない症候群』
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2009年3月28日...この日に起きた事件を覚えているでしょうか。そう「"スマイリーキクチ"ブログ炎上事件」。「人殺しがどうして芸人をやっているんだ」「あんた殺人犯」など、なんとも卑劣な言葉がネット上に書き込まれました。
スマイリーさんは足立区出身。このことだけで1988年に足立区・綾瀬で起きた「コンクリート詰め殺人」の犯人に仕立て上げられました。足立区出身者は「田舎者」「ヤンキー」などの偏見で語れることが多いですが、殺人犯扱いとはひどすぎです。スマイリーさん自身も「足立区はイメージが悪いんだけど、下町情緒があって筋と義理があるイイ~町なんですよ!」とブログで綴ってるのに。
結局、誹謗中傷した人たちは書類送検されましたが、彼らはこんなことを語っていたそうです。「ほかの人の書き込みを見て、事件への関与が本当だと思った」。
悪いのは私じゃないとでも言いたいのでしょうが、「『ちょっとでも悪い(と思われる)やつは、徹底的に叩いてよし』というのがネット世界での暗黙のルール」と精神科医の香山リカさんは分析しています。「ネットは他罰メディア」と著書『悪いのは私じゃない症候群』の中で言い切る彼女の主張は、ネット社会に生きる私たちにとって興味深い内容です。
ちなみにスマイリーさんのブログを覗くと、必ず日記の最後に「どうもありがとう!」と書かれています。犯人とは程遠い、謙虚な彼の素顔が見てとれるからこそ、余計にあの「"スマイリーキクチ"ブログ炎上事件」のことが恐ろしく思えてきます。