信長は時々ぼおっ~としていた~『戦国武将の脳』

戦国武将の脳
『戦国武将の脳』
津本 陽,板倉 徹
東洋経済新報社
1,470円(税込)
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 大河ドラマ「天地人」のヒットによる歴史ブームの中、歴史上の人物に思いを巡らす「歴女」や戦国武将を愛する「戦国乙女」も増殖中だ。そんな歴女たちのハートを射止める武将たちの性格や生き様、恋愛観などを現代の脳科学で紐解いた本が発売された。

 『戦国武将の脳』。歴史好きも脳科学好きも興味をそそる1冊だ。

 戦国武将の中で、いい意味でも悪い意味でも型破りなのが織田信長。戦では天才的な能力を発揮し、誰も思いつかないようなオリジナリティあふれる戦術で数々の勝利を収めたが、信長のような独創的な考え方は、13歳で学問をやめて戦に出たことで発達したようだ。学問をしなかったことで"枠"にとらわれない発想が身についた。常に死と隣り合わせという極限状態で脳をフル回転させ、生き残る術を学んできた信長だからこその"脳力"である。

 戦に明け暮れた信長だが、意外にも"能"を見るのも好きだったという。実は、このことが信長の脳を活性化する要因になっていたというから驚き。戦などで攻撃的なことに頭を使っているときは左脳が働く。反対に、能やお茶といったリラックスタイムに働いているのは右脳。信長は、戦まみれで左脳で考えることが多い中、ふと能などを楽しみ右脳を使う。このように左右の脳をバランスよく使うことが脳を活性化させるカギとなる。

 これを、現代を生きるわたしたちにもあてはまてみると、仕事をしているときは大体が左脳でものを考えている。それ以外で、自分なりの趣味の時間やリラックスタイムで右脳を使うと、脳にいい刺激を与えられるのだ。こうすることで「うつ病」になりにくくなるという学説もあるぐらい。

 ぼおっ~としているときに「突然アイデアをひらめいた!」というのは、お風呂に入ったり、スポーツをしたりして脳をからっぽにしたときに、何かの刺激で脳がより活性化する=ひらめく状態となるから。独創的なアイデアを求められる時は、えてして時間がないことが多い。そんなときでも焦らずに、限られた時間の中でぼおっ~とする戦国武将並みの度胸が必要なのかも。

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